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話数単位で選ぶ2011年黄金バット10選

先日、話数単位で選ぶ2011年TVアニメ10選の記事を書きました。
その流れでやってしまおうと思ったのがこの記事です。
現在、ニコニコ動画で毎週更新中のアニメ「黄金バット」10選です。
第一話常時無料、最新話は一週間無料配信。一週間を過ぎると有料コンテンツとなります。
http://ch.nicovideo.jp/channel/ch1131
現在36話までが公開中。
全52話ですので残り16話ですね。
基本的にあらすじは「なにがあろうと黄金バット必ず悪に勝利する」という単純明快極まりないもの。
しかし、その単純さの中に内包されるカルピスの原液のようなネタと面白さは他の追随を許さない、
快感と笑いに満ちた素晴らしいアニメ作品となっています。
一話完結なのでどこから見ても楽しめますし、アニメの面白さを堪能できるかと。
登場人物などの解説はニコニコ大百科が詳しいですので是非そちらをご参照ください。
今回は2011年版としまして、2011年に配信された1〜36話からのチョイスです。
全話放映が終了したらまたやるつもりでいますが、年納め的な意味で。
それでは始めていきます。



1.第1話:「黄金バット誕生」D
全ての始まり、伝説の幕開け。
記念すべき第1話。
最初の1話はニコニコ会員ならば常時無料となっており誰でも見る事が可能です。
百聞は一見にしかずで、ぜひぜひ作品を視聴していただいて、魅力に気付いていただきたい。
しょっぱなからフルスロットルですから。
ご覧になった方には「なんだ、南極か……」と言う台詞が黄金バット初の名言として耳に入ってくることだろう。
黄金バットの豪快な登場、ヤマトネ博士一行の常人のようで超人という人間描写。
そしてダレオ。
さらにダレオ。
まさにダレオ!
そしてナゾー!
この作品の魅力が一話に集約されていると言っても過言ではない、まさに初回。
しかし驚くなかれ。
これらは伝説の始まりに過ぎないと言う事を・・・!


2.第11話:「謎のフィンカーメン」
ここからはニコニコ動画の動画紹介に記載されているあらすじを引用しながら紹介していきます。

エジプトで発見された重要文化財フィンカーメン”護送中のトラックが、マゾと手下たちに襲われる。“フィンカーメン”の額のエメラルドには、エジプトのピラミッドの宝の在処が記されていたのだ。バルバラ博士とヤマトネ博士はピラミッドに赴くが、そこには既にナゾーの手下たち、そしてバルバラ博士の友人で、古美術に目が眩んだがためナゾーに協力しているコレクター博士の姿もあった!

一見するとピラミッドの秘宝を巡る回であるが、そんな生半可なものではない。
この回はなんと人間側の主役の一人、ヤマトネ博士がその英知あふるる頭脳以上に
コマンドーとして戦闘能力を覚醒する回である
ヤマトネ博士は世界唯一無二のオールラウンダーの科学者としてファンの間では有名であり、
別名「魔法使い」と呼ばれるほどの才覚の持ち主!
その超人っぷりは回を増すごとに強大になっていく事から、この作品の悪役ナゾーにすら恐れられる存在となっている。
強さで言えば、この作品の人間の中では頭脳、運動能力共にトップクラスである
この回ではいかんなく戦闘能力を発揮し、重要文化財である遺跡の中で銃を乱射すると言う、
ランボー真っ青の所業を行う事のが注目点。
もちろん黄金バットも暴れている。


3.第13話:「ミュータント5」
さて、怒濤の1クールを越えた辺りから黄金バット黄金期を迎える。

ヒマラヤに住む5人のミュータントの少年を探すマゾ一行。やっと見つけたが、やんちゃで手に負えない。そこで彼らの母親である雪女と交渉し、協力をとりつける。実はナゾーは宇宙ステーションを奪うため、低温下でも活動できる人間を必要としていたのだ。少年たちをテストする意味で、ナゾーは彼らに冷凍電波で守られた美術館から絵を奪わせようとする。だが、そこにはマリーがいた・・・・・・。

この回の冒頭は筆舌に尽くしがたいものがある。
あらすじからは全く読み取れないが冒頭はなんとミュージカルである。
主演はナゾーの腹心の部下、マゾー。
ファンの間では中間管理職と呼ばれるほど愛されているキャラクターで、
ナゾーの枚挙に暇がない理不尽かつ、無茶苦茶な命令に右往左往しながらもこなしていく有能っぷりが涙を誘う。
なおこのエピソードは彼の独壇場と言っても過言ではない。
彼の歌唱に始まり、前半はほぼ彼の出番に終始しておわる。
ここまではマゾーの、マゾーによる、マゾーのためのエピソードであろう。
後半はいつもの調子に戻る、ヤマトネたちが登場せず、
黄金バットを呼び出すシャーマン、マリーちゃんのみが出ると言うのも、
異色回に拍車を掛けている気がする。
生き生きとしたマゾーを見たい場合にはオススメのエピソードと言っていい。必見。


4.第14話:「原子ブラックギャット」

世界一大きな原子力発電所での会議を終えたヤマトネ博士の車が謎の黒猫に襲われた!続けてあちこちに黒猫が出没。再び黒猫に襲われたヤマトネ博士たちを黄金バットが救い、「黒猫を撃つな」というメッセージを残して去ってしまう。実は黒猫はナゾーが発明したロボットで、中には高性能爆弾が仕掛けられていたのだ。黒猫はついに原子力発電所に潜入、もし警備員に撃たれれば大爆発の危機だ!

2011年3月11日、東日本大震災が発生。
震災による福島第一原発の事故が重なり、歴史に残る未曾有の大災害となってしまった。
既にタイトルからしヤバさ全開のエピソードなのだが
なんと放送から44年も経て、時代とリンクしてしまった脅威のエピソードでもある。
元々、原子力大好きもとい、原子力礼賛の激しい作品ではあったが、
希望を掲げておいて、リスクを全く描写しないという認識の軽さがトンでもない。
じゃなけれ、原子力発電所の近くで軍隊が戦闘開始し、
ナゾー一味がバズーカをぶっ放すというフッとんだ展開にはなるはずがない。
このエピソードを見た、我々はここから教訓を得るべきであろう。
ちなみに中国の高速鉄道脱線事件まで予見している先見性の高さは恐ろしいの一言である。


5.第15話 「破壊魔ネロ」

ナゾーの新型円盤ロケットを操るネロ指揮官は、ナゾーの命令も無視する暴れん坊。そのロケットを追えばナゾーの本拠地が分かると、スーパーカーで後をつけるヤマトネ博士たちだが、アトランティス大陸によく似た遺跡で怪獣サブゴンに襲われる。黄金バットの活躍で窮地を脱した一行だが、博士がマゾに捕まってしまった。タケルは地下工場で働かされていたクスコと協力して墓地に潜入する。

黄金バット黄金期三部作のラスト。
13〜15話の話の充実っぷりは凄まじいものがあるが、この回もおかしいくらいである。
タイトルにもなっている「破壊魔ネロ」であるが、ぶっちゃけ内容はあまり関わってこないのがミソである。
ナゾーの命令さえも聞かない反逆児として扱われているが、製作側も扱いに困ったのか、扱われ方はかなりぞんざいだ
このエピソードはそれを補うかのごとく、
映画的なボリュームをわずか25分半のという尺の中に納めてしまった壮大な実験作と言えよう。
スペクタクルあり、怪獣あり、ガンアクション、脱出劇、ピカレスク復讐劇、爆発、そして大爆発と、
目まぐるしく展開が移り変わる様は、まさにアニメを超えたエンターテイメントである。
黄金バット絶対に勝つという設定があるからこそ成し得る業と言える。
ナレーションが言う、「強い、絶対に強い!」は決して過言ではないという事がお分かりいただけるだろう。


6.第17話 「怪鳥ガルガー」

世界のあちこちで列車や船が消えるという事件が発生。同じ頃、ヤマトネ博士は国際同盟本部の依頼で、世界中の原爆や水爆を保管している倉庫の警備を任される。その場所を記した地図が何者かに盗まれてしまったからだ。実は犯人はナゾーで、彼は目から反重力光線を出す怪鳥ガルガーを使って、水爆倉庫を根こそぎ奪おうとしていた。先の事件はそのためのテストに過ぎなかったのだ!

14話の衝撃も冷めやらぬまま、突入した狂気のブラックコメディ回。
反重力を操る怪獣と言うのもさることながら、
ここにおいても核への認識がとんでもなく希薄である。
14話では未然に防げた核爆発がこの17話において、盛大に爆発
そしてヤマトネたちもナゾーも世誰も気付かぬまま、世界は核の炎に包まれた
兵器としての反核を訴えておきながら、その管理が極めて杜撰すぎるのは時空を超えて
現在を批判しているとしか思えない。
このエピソードの爽やかなオチがいつになく歪んだ味わいを醸し出しているのは
我々が核の恐ろしさを知っているからに相違ないだろう。
こちらも必見である。


7.第20話 「青い炎の国」

ダレオは何者かに追われている老人から青い玉を預かる。それは水底の“青い炎の国”になくてはならないコバルト70だった。追っ手は、その国で虐げられていた水棲人のダゴンたちで、玉と引き替えにナゾーに内乱の手伝いを頼むつもりだったのだが、学者の老人に先に奪われてしまったのだ。ダゴンはミラージュペンという道具を使って巨大なムカデと毒グモを出現させ、ダレオたちを襲う。

初の続編シリーズの前編。
このエピソードのハイライトは黄金バットvs巨大蜘蛛&巨大ムカデであるが
巨大ムカデが黄金バットカスタムウェポンと化した瞬間、抱腹絶倒の展開が待ち受けていた。
腹筋崩壊とはまさしくこのことを指すのであろう。
この回を視聴していた筆者はこの異種格闘技プロレスを見た瞬間、本気で5分程度笑い続けたくらいの破壊力があった
それ以外にもこの回以降、ニコニコ動画のコメントで流れるようになった、
「ジジイと薬はなんだったのか」はここに端を発する。
前後編にも拘らず、予告が紛失してしまった回というのも印象に強く残るエピソードであるに違いないだろう。


8.第30話「超能力改造人間」

ナゾー一味は新興国・ブラックスターと手を組み、オリンピックを撹乱し、その間に各国首相を暗殺しようとする。早くも不穏な動きに気づいたタケルだったが、ナゾーの手に落ち、改造人間にされそうになる。一方、ブラックスターの選手の尋常でない活躍に沸く会場にはスナイパーが配置され、混乱の渦に。さらに、怪獣ウガンギーが呼び出され、黄金バットと闘いを繰り広げる。

正しくは「超・能力改造人間」と区切る。
この作品が公開された当時は東京オリンピックが開催されたこともあり、それに便乗する形で作られた回だろう。
しかし、これが黄金バットのエピソードの中でも一、ニを争うほどの超絶回である。
なにしろ平和の祭典である。
世界征服をたくらみ、悪事の手段を緩めないナゾー一味ですら、
わざわざ革命を起こし、国を建国しまうほどのオリンピック推しである。
しかもその国の国旗が六芒星である事がなおさらヤバイ。
ナゾーはわざわざ国際連合に加盟し、
発言力を強めて世界転覆を図ろうと言う正攻法なのか回りくどいのかよく分からない攻め方もポイントが高いが、
今回のハイライトはサイボーグ化したナゾー一味の選手に対抗して作り出した原田選手と言う名のロボットと、
オリンピック殺法を繰り広げるナゾーの手下どもをあしらいながら、オリンピック競技も嗜んでしまう黄金バットだろう。
特にハードルを嗜むお茶目ッぷりは声を上げて笑うしかないだろう。
そしてさりげなく重量挙げのメダリストとなったダレオもさりげなく華を添えている
オリンピックと言うネタでここまでのチャンバラを繰り広げられる当時のスタッフにただ脱帽である。


9.第34話 「世界大洪水」

各国から派遣された南極観測隊が次々と消えた。一方、海の水位が徐々に高くなり、世界に大洪水の危機が迫る。原因は南極にあると睨んだヤマトネ博士は現地に飛び、氷山が溶け出していることを発見。謎の生物が身体から強力な電熱を放射して、氷を溶かしていたのだ。ナゾーの企みを見破り、怪物と戦った黄金バットは、怪物の身体の一部を手がかりとして残していくが・・・・・・。

またしても時代を超えてリンクするエピソードの登場である。
あらすじの一行目がなんと冒頭のナレーションで処理されてしまう豪腕も凄まじいが、
いくら敵怪獣の電撃攻撃を食らっても感電せずに、ダメージを食らうだけのヤマトネ一行が
もはや常人ではない事を証明されてしまうエピソードでもあった。
それでなくとも学習したのかいつも世界会議で丸投げを食らうヤマトネ博士が場の空気を読んで、
丸受けを決めると言う新鮮な味わいもあるが、
それ以上に南極の雪が解けて世界が明日にも水没してしまいかねないという最中、
平穏な暮らしを続ける一般市民の危機感のなさは背筋が凍る空虚感に満ちていると言えるだろう。
マゾーのお家芸であるマシンガン説得が炸裂したり、
マリーちゃんが今さら黄金バットのメインテーマらしきことを呟くなど、
小ネタにも枚挙の暇がないエピソードであった。


10.第36話「地球大爆発」

原因不明の火山爆発はまだ続いていた。解決策を探るためヤマトネ博士らは地熱研究所を訪れるが、研究員はほとんど逃げ出した後だった。ドリルカーに乗って再び地底へもぐり、とうとう一行は地球の中心にある空洞へとたどり着いた。彼らが手がかりを探している間に、ウルフ博士が大爆発を引き起こす装置のボタンを押してしまう。危機一髪、果たして地球の運命は!?

そして最後に紹介するエピソードは2011年最後に配信されたこのエピソードである。
物語的には前回の35話に続く後編なのであるが、
そんなことはもはや作品に置いて気に掛けるほどの事ではないのが常識と化している
恐ろしいのは一般人のラブストーリーと地底探検ものと地球爆発スペクタクルを一緒くたに扱って成立させてしまった、
シナリオ構成の辣腕に目を光らせざるを得ないだろう。
おまけにそれらが後半怒濤の展開となって、クライマックスに押し寄せてくる様は抱腹絶倒しつつ、
その周到さにただただ敬服するしかない。
しかし、ヤマトネたちの倫理観は地震権研究員を拉致するくらいにトチ狂っているのももはやお約束であろう。
とはいえ、今回はその研究員ガードナーの豹変振りがとても面白く、作品の軸となっており、
最強ゲストキャラの称号を妻のエスターと共に与えられるくらいの功績を残してしまったのは記憶に新しい所である。
黄金バット自体も大活躍してる。特にマゾーに走り迫る所の珍妙な味わいは得もしがたい。
さらにマゾーの中間管理職っぷりも遺憾なく発揮され、ヤマトネ血族の戦闘種族らしさも存分に味わえる。
某ラーメン店のチョモランマ盛りの如き密度の濃いエピソードであり、
間違いなく全エピソード中のトップクラスに値する話数であるといって、間違いないだろう。


【終わりに】
以上、黄金バット10選でした。
黄金バットという作品は基本駄作なし、ツッコミどころ満載であるにもかかわらず、絶対に面白いと言う、
非常に稀有な作品であります。
ここに上げた作品だけではなく全話面白いです。
悪い事は言いません。
金を払ってでも見て下さい。
それほどに価値のあるアニメだと信じて疑いません。
これを期に作品が皆さんの目に届く事をお祈りして、この記事を締めたいと思います。
あ、それ、QQQ。
ありがとうございました。