In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

音楽鑑賞履歴(2016年10月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴。音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。

32枚。
久々に30枚台。一日に一回は聞けている計算になりました。
2014年度新規購入分も20枚を切っていよいよといった感じです。
先月前半はEW&Fがメイン、後半はファンクと90年代にいって、最終的にフュージョンに戻ってきたみたいな。
相変わらず節操がないですが、日記みたいなものなのでご了承いただければと思います。

では、以下から感想です。

10月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:32枚
聴いた時間:856分

I AmI Am
79年発表9th。彼らが実力人気ともに絶頂時に発表された作品。当時はまだ無名に近かったデヴィッド・フォスターやジェイ・グレイドン、ビル・チャンプリンのAOR勢をソングライターに迎え、セッションメンバーにもTOTOのメンバーも参加している為、ライトメロウ色が濃くなった一枚だろう。
後にAORの一大潮流になる面子が参加しているからこその爽やかさと軽妙さがグループに新風を呼び込んだのは間違いなく、特有のディスコファンクの煌びやかさと合わさって、クセがない高品質のダンスチューンとなっている。この盤のニュアンスが一周して今のトレンドらしさも伴っているのは興味深い。
ゴージャスでライトメロウ、スポーティな響きかつダンサブルな内容はそういった若手のライターとグループの地力が良いバランスで表れた結果なのだろうと思う。なにより総合的なポップスとしてハイセンスに纏まっている点もエヴァーグリーンな魅力を出しているのだろう。改めて聴かれるべき名盤かと。
聴いた日:10月01日 アーティスト:Earth Wind & Fire
All 'N AllAll 'N All
・77年8th。波に乗ったグループが自身の印象を決定付けたアルバム。この作品と続く次作が全盛期のピークと位置づけられるだろう。ディスコ全盛期のポップ性と華々しさも兼ね備えながらも、コンセプチュアルな神秘性をも纏った先鋭的なサウンドを送り出しているのがこの盤の恐ろしいところだ。
コマーシャル性の高さは次作に譲るものの、メンバー陣のクリエイティヴィティには本作が軍配が上がるだろう。ラテンにブラジリアン、ジャズにフュージョン、そこにポップやロックを取り込んで、高度な演奏を平然と繰り広げているのには舌を巻くほど。ほとんどプログレやテクニカルフュージョンの世界。
ジャケットワークスにも象徴されるように、宇宙の神秘やエジプト文化などの神秘性が絡み合い、愛をテーマに神話性が強いスピリチュアルな歌詞もアルバムの完成度を高めており、グループの様式美を固めている。これまでの片鱗がガチっとはまって、炸裂した代表作だろう。もちろん入門編としてもお勧め。
聴いた日:10月02日 アーティスト:Earth Wind & Fire
SpiritSpirit
76年発表7th。結成初期からの盟友でソングライターでもあったチャールズ・ステップニーの急逝に伴って彼に捧げられた作品となった。その為か、アルバムタイトル、ジャケットワーク、収録内容など一貫して、EW&F流の「鎮魂」が表現されている。彼らの作品群でも非常にスウィートな響きを持つ盤
初期のソングライトパートナーを失い、次なるフェーズに進まなければならなくなった点では過渡期的な作品だと言えるが、フィリップ・ベイリーのファルセットが美しく映えるミディアムナンバーが印象が強く残る内容。ホーンの鳴り響くファンキーサウンドの陰に隠れたもう一つの一面がこの盤ではメインだ
音の印象もまだ後のコズミックな印象は薄く、ベイサイド的な洗練されたファンクという趣が強い。スピリチュアルな色合いも濃くはないが、全米1位を記録した1を初めとして爆発前夜の雰囲気を感じる作品。穏やかながら力強さを感じられる佳作だ。ボートラでは3のアカペラバージョンが特筆すべき美しさ
聴いた日:10月02日 アーティスト:Earth Wind & Fire
灼熱の狂宴灼熱の狂宴
75年発表ライヴ盤。1〜9までがライヴ音源、10以降がスタジオ録音の新曲という構成のLP2枚組だった作品。絶頂期を駆け上がる直前の初期総決算といった、文字通り「灼熱の狂宴」が収められている。とにかくライヴ音源の熱気は凄まじく圧倒されるほど。この熱量をツアーで繰り広げていた事に感嘆
爆発するように鳴り響くホーンにタイトなドラム、そこに絡む16ビートのギターカッティングとパーカッションとシンセ。ライヴバンドとしての実力も高かったのは知っていたがここまでど派手だったとは。これを聞いてしまうとスタジオ録音がいかにもおとなしいものに感じられてしまう。
併録されたスタジオ録音の完成度も高いが、やはり端正さが重視されていて、ライヴの弾けっぷりに比べてしまうと彼らの魅力が伝えきれていないようにも。思えば、ライヴでの姿をどのようにスタジオ録音に収めるかが月並みながら、彼らの命題だったのかもしれない。それだけの魅力がこの盤に詰まっている
実際、このアルバムを口火に彼らの人気はうなぎ上りになるのだが、スタジオ録音の完成度が本作のライヴ音源を上回るにはまだまだ時間を要した。この時点で彼らのポテンシャルの高さを十全に実感できる最良の形がライヴであり、その熱狂が伝わる名盤だろう。EW&Fの既成概念を良い意味で壊してくれる
なお余談だが、本作よりEW&Fの全盛期を支えたホーンセクション、フェニックスホーンズが正式にクレジットされている(クレジットは無いが直前の作品、「暗黒への挑戦」には参加済み)。そういった点からも絶頂期の始まりといっていい名作ライヴアルバムだろう。
聴いた日:10月03日 アーティスト:アース・ウィンド&ファイアー,ペリー・ジョーンズ
InterviewInterview
76年発表8th。架空のラジオインタビューを受けて、バンドが楽曲で受け答えしてるという、ユニークなコンセプトで展開されている作品。音の方は前作までトラッドやフォークソング色が薄くなり、よりモダンな肌触りに。構築的かつシステマティックな大道芸的演奏はキレを増している。
トラッドなどの伝承音楽の要素が鳴りを潜めた一方で、コンテンポラリーな現代音楽っぽさが高度な演奏と相俟って強くなった。クラシカルでもあり、レゲエっぽいのもあり、プログレという音楽が斜陽に差し掛かる時代に新要素を取り入れようとする意欲的な姿がうかがえる。わりポップな趣も加味されている
技巧的過ぎるが故に曲展開のメリハリに欠けるのはバンドの欠点だが、その辺りは特に思想や物語性、テーマ性を持たないバンドゆえに複雑なアンサンブルに特化したためのようにも思える。曲芸過ぎて、人間味があんまりないのもご愛嬌だが、都市的な響きを感じるカラフルな盤かと。
聴いた日:10月04日 アーティスト:Gentle Giant
Missing PieceMissing Piece
77年発表9th。時代の波を受けて、楽曲がコンパクト&ポップ化したアルバム。数多のプログレバンドがポップ路線に向かった結果、自沈するという姿はよくある事だが、このバンドにおいてはその舵取りが見事にハマったという点で稀有な成功例だと思う。ここまでの音楽性をそのままにポップ化している
というのも、彼らの特徴は高度かつ複雑な構成の曲をいともたやすく演奏してしまうアンサンブルであり、少なくとも哲学的なテーマや神話的な物語性、あるいは社会へ警鐘を鳴らすようなメッセージ性が皆無だったのがこの盤においては功を奏しているように思う。
良くも悪くもアメリカナイズドされた音、翻って言えばポップソングのフォーマットを借りて、彼らの特徴である高度なアンサンブルを繰り広げているのだが、分かり易い枠に音楽性を当て込んだことで、彼らの欠点である「曲展開のメリハリの無さ」がある程度払拭できているのだ。
元々、構築的な演奏をしていて、演奏技術だけが一人歩きしている状態だったバンドなのでこうやって「型」にはめると魅力がより引き立つのは嬉しい誤算だったのかもしれない。曲がコンパクトになったのもちょうどいい塩梅に。プログレというよりハイテクポップとして面白い。
こうなるとアルバムタイトルが「失われたピース」なのには、彼らの自虐と皮肉が詰まっていそうにも感じられるがバンドとしては「完成形」なのかもしれない。一般に評価の低い作品だそうだが、改めて再評価すべきなのではないかと思う。高度ながらポップミュージックの在り方も考えさせる一枚。
聴いた日:10月05日 アーティスト:Gentle Giant
ヘッド・トゥ・ザ・スカイヘッド・トゥ・ザ・スカイ
73年発表4th。前作のメンバーが三人脱退して、アル・マッケイを含む新メンバー三人が加入して、黄金期メンバーが出揃った一枚。音の方はまだまだ洗練し切れていない、60年代末からグツグツ煮えたぎるベイエリアファンクが繰り広げられており、垢抜けない猥雑さが残る。
キレがあるというよりはまだまだ粘っこいリズムにジャジーでスピリチュアルなメロディが乗っかってくるのみであの特徴的なホーンセクションの姿も見えない。全盛期に比べるとかなり地味目だが、大ヒットを飛ばす彼らの実力の片鱗は感じられる。6が13分ものインストナンバーなのも興味深い一枚。
聴いた日:10月05日 アーティスト:アース・ウィンド&ファイアー
Open Our EyesOpen Our Eyes
74年発表5th。初期の粘っこいベイエリアファンクから一歩抜け出して、ジャズを下敷きにアフリカ音楽やブラジル音楽の要素をふんだんに取り入れた作品。それに伴ってパーカッションや管楽器の比重が徐々に増した事によって音が洗練し出し、ブレイクする下地が整った印象を受ける。
後の大ヒット街道を進むグループの素地が本作から感じられ、収録曲にホーンが重なれば一気に華やかさを増すような原石の輝きが収められている。年代的にはディスコブーム前夜。あの煌びやかな派手さはまだないが、地味ながらクロスオーバーサウンドが展開されているのがこの盤の魅力だろう。
ブラジル音楽の導入からも察せられるようにチック・コリアが70年代前半ごろから展開したラテン&ブラジリアンクロスオーバーへ接近しており、スキャットを取り入れたり、ジャズのスピリチュアルな神秘性を得たことが後の布石ともなっているのが興味深い。過渡期の作品ながら何かを掴んだ一枚だ。
聴いた日:10月05日 アーティスト:Earth Wind & Fire
One Foot in the GraveOne Foot in the Grave
94年発表インディーズ3rd(通算4作目)。メジャーデビュー後にリリースされたインディーズ最終作。アコースティックなサウンドを基調にトラッシーなガラクタエフェクトをここぞとばかりに練り込みまくった捻くれSSW、ベック・ハンセンのもう一つの原点。本人が最も気に入っている作品だそうな
アルバムタイトルを日本語にあえて意訳すれば「棺桶に片足突っ込んでる」か。何が片足を突っ込んでいるかはさておき、当時のそういった閉塞感を解消しようなんてさらさらなく、それを引き摺ったまま繰り出している感じは同時代のアーティストと同じ匂いがする。あるがままを受け入れるみたいな。
ヒップホップ色が薄く、後のフォークサイドの初作だと考えれば、メジャー1stとは表裏一体の作品だ。その為か、後の同傾向作品よりローファイ感がかなり強く出ていて、鬱屈したルーツミュージックといった趣。こうやって聞くとグランジと同じ時代を生きたミュージシャンなのだと改めて実感する。
そういった「諦念」が蔓延した作品で徹底的にダルで倦怠感が全開のやる気があるんだかないんだかといった雰囲気がまさしくローファイなのであって、このアルバムはまさしくローファイの中のローファイな作品だと思う。好き嫌いは分かれるだろうけど、クセになりそうな魔力を秘めた一枚だ。
聴いた日:10月06日 アーティスト:Beck
TONS OF SOBSTONS OF SOBS
・69年発表1st。当時平均年齢18歳(最年長19歳、最年少は16歳)のバンドが送り出した処女作。内容は当時の流行を真っ向から受けたブルースロック。ここから僅か1年強で極渋に枯れた味わいの音になるが、デビュー作の段階ではまだ若さに身を任せた熱気の迸る音が聞ける。
ここまで早熟の天才という言葉の似合うバンドも他にいない。溜めの効いたタイトなリズムに我が意を得たような歌声とギターフレーズが悠然と響き、何十年もの貫禄を錯覚させるほど。その新人らしかぬ実力の高さは今聞いても色褪せることはないばかりか燦然と輝いている。
ティーンエイジャーのバンドがここまで腰を落とした重みのあるブルージーな音を繰り広げているのは驚異的だし、何よりそこに若さゆえの初期衝動もつんのめるほどに篭っていて、情念がたっぷりと感じられる。年不相応な程のスケールに荒削りな若さが重なった稀有な一作。演奏の熱っぽさが魅力的だ。
聴いた日:10月07日 アーティスト:Free
ZAZEN BOYSIIZAZEN BOYSII
・04年発表2nd。1stにあったナンバーガールの残影がほとんど見えなくなり、ZAZEN BOYSサウンド骨子がより明確に提示された作品だろうと思う。2と4に椎名林檎が客演している。同時に初期ラインナップ最後のアルバムでもあり、今聞くと隔世の感すらある。思えば遠くに来た。
音はナンバガで培ったNW/ポストパンクやプリンス、ラップなどの影響が渾然一体となって畸形的なロック&ファンクネスなサウンドを繰り出している。向井秀徳テレキャスの音にも代表されるように、ザクザク刻み込むような硬質な肌触りが一線を画しており、バンドそのものを独特な存在に仕立て上げた
しかし注目すべきは歌詞か。禅問答というか念仏的というか。諸行無常と自問自答を繰り返しながら、都市に繰り広げられる欲望と狂気を叫び、人間らしさを問うのは現在まで続く永遠のテーマになっているように思う。現代のカオスを生きる様を向井秀徳は愚直なまでに繰り返し訴えかけているのだ。
ラストの15でふっと抜けたようなロッカバラードになるのは、同じように愛と欲望を歌い上げたプリンスへのオマージュをどことなく感じてしまうのは気のせいだろうか。その甘ったるくない慈愛と己が狂気が妙に心地よく思えてしまう。ただひたすらに生の実感を求め続ける、傑作だろう。
聴いた日:10月08日 アーティスト:ZAZEN BOYS
オーガストオーガスト
・86年発表10th。前作に引き続き、プロデューサーにフィル・コリンズを起用して、当時のポップシーンの流行に沿った音作りのなされたアルバム。作曲も複数人の共作が多く、クラプトンの色合いは薄い。そういう点ではコンテンポラリーなサウンドでクラプトンは歌と演奏に徹しているとも言える。
内容はフィル・コリンズの手腕が大きく影響してると思われる、シンセ主体のブルーアイドソウル風のポップス。そこへクラプトンのギターソロや歌で纏め上げるといった感じ。なのでフィル・コリンズのソロ周辺作という趣がかなり強く、商業的なニュアンスが全体を占めるのは評価の分かれるところだろう。
当時の売れっ子ミュージシャンであったコリンズの尻馬に乗った向きも感じられなくはないが、楽曲そのものは聞きやすく、コリンズをはじめ、ネイザン・イースト、グレッグ・フィリンゲインズなどの腕利きが脇を固めているので退屈はしないし、楽しめる内容。とはいえ、目玉はYMOのカバーである11か
このYMOカバーは当初、マイケル・ジャクソンがかの「スリラー」に収録予定だったものを参加ミュージシャンの一人で、この盤にも演奏メンバーに名を連ねている、グレッグ・フィリンゲインズが84年のソロ作で先んじて披露しており、察するにこのアルバムに持ち寄ったのは彼なのではないかと推察する
お蔵入りになったマイケルのバージョンを基にしているためにオリジナルより作詞が補填されているバージョンとなっているのはこの為。YMOのカバーというよりはカバーしたマイケル・ジャクソンのカバーと見たほうが正しい。なんにせよ、コリンズとクラプトンで演奏してるのは興味深くはあるか。
この11を抜きにしても、アルバムとしてはきっちり「商品」としてまとまっているポップな佳作といったところ。なお、マイケルのカバーは死後に出た10年作「MICHAEL」に収録されてます。基本的な構成はほぼそのまま。違いはクラプトンのギターソロがないくらいです。(グレッグの方も同様)
聴いた日:10月09日 アーティスト:エリック・クラプトン
UnpluggedUnplugged
・92年発表ライヴ盤。いわゆる「エレキギターとアンプを繋がないアコースティックセットライヴ」=アンプラグドという言葉を定着させ、一大ブームを起こすきっかけになったアルバム。クラプトンにとってもソロ後半期の代表作の一つとなった。シブく小洒落たアコースティックブルースが鳴り響く。
ブルース・コンプレックスと呼ばれるほど、ブルースに偏執的な敬愛を見せるクラプトンが初めて全編でアコギを使ってのライヴアルバムなだけあって、エレキでは出せない違った魅力を出せた事が再評価にも繋がった。実際、以降のキャリアでアコースティックなサウンドが主軸の一つとなっていく。
テンポダウンして、味わいの増した7や大ヒット曲の2なども収録されているが何よりも、クセのない穏やかなタッチで奏でられる楽曲の数々がスムースで心地よく聴ける。落ち着いた静かな部屋でじっくりと耳を傾けたい。ブルースの深みはあまりないけど、旨味と雰囲気は十分味わえるカジュアルな一枚かと
聴いた日:10月09日 アーティスト:Eric Clapton
Mtv Unplugged (W/Dvd)Mtv Unplugged (W/Dvd)
・96年発表ライヴ盤。グランジブームの一角を担ったバンドのアンプラグドライヴ。ドラッグに溺れ、夭逝したVo、レイン・ステイリー(02年死去)の数少ない晩年の公式録音でもある。実際、ここで聞ける彼の歌声は弱々しさを伴うもので、健康状態が芳しくないことがパフォーマンスから感じ取れる。
特に序盤はギターのジョニー・カントレルがレインのVoとユニゾンで歌うなどしてサポートする様子もあり、かなり危うい。力を振り絞って歌い上げる彼の姿は破滅的でもあり。その独特な声も相俟って、幽玄さが醸し出されている。元々ダークかつダウナーな音を奏でるバンドだからというのもあるが。
バンドの雰囲気はアコースティックになっても変わらずだが、より寂寥さが増しているように思う。そこに心身がボロボロになりかけてるレインの歌声は全盛期に程遠く悲痛さもあるがこのライヴの空気感を作り出している一つだ。ダウナーな中に途方もない切なさと儚さが滲み出ている作品だろう。
聴いた日:10月10日 アーティスト:Alice in Chains
ブラック・ヒートブラック・ヒート
72年発表1st。ワシントンDC出身の8人組ファンクバンド。Vo曲とインスト曲が交互に絡み合う構成で、大所帯バンドらしくホーンやパーカッション、ワウギターにオルガンといったファンクの定番楽器が気持ちよく鳴り響く。レアグルーヴ的に発掘されたバンドだけあってなかなか乙な盤。
JB〜スライ以後でディスコにはまだ早いという時期にリリースされている作品なので適度に粘っこく、適度にソフィスケイトされて、適度にソウルフルでもありファンクマナーに忠実な楽曲がオーソドックスに楽しい。当時はそれが食い足りなかったのかもしれないが今聞くとこの塩梅の良さが魅力なのかも。
聴いた日:10月10日 アーティスト:ブラック・ヒート
ノー・タイム・トゥ・バーンノー・タイム・トゥ・バーン
74年発表2nd。彼らのディスコグラフィの中で一番商業的に売れたアルバム。1stのサウンドが洗練され、全体的に華やかさとキレが増した。クロスオーバー色の強いファンクという感じだが、ホーンアレンジに妙味があり、前作にもまして厚みのある感じが盤の美味しさを高めてくれている。
ホーンに加え、エレピとシンセの使い分けやウネるベースラインが絡み合う演奏はずっと聴いていたくなる位、グルーヴィな仕上がりだろう。ファンクの粘っこさや重みにソウルの溌剌さがうまく重なっていて、洒脱なブラックミュージックとして精度が高くなったおかげで快楽度も比例して上がっている。
聞いていて楽しくなる良作だが、サンプリングソースとしても有名で日本では8のイントロがスチャダラパーの「5th WHEEL 2 the COACH」、TOKYO No.1 SOUL SETの「Jive My Revolver」に使われているのが印象に深い。レアグルーヴ的にも名盤
聴いた日:10月10日 アーティスト:ブラック・ヒート
Unfinished Money BusinessUnfinished Money Business
97年発表1st。ストーンローゼズ解散後の復帰作。メンバーはローゼズ最晩年をそのまま引き継いだ構成。ローゼズっぽい、グルーヴィなロックから後半に行くにつれて、ダークな質感を伴ったダビーかつヒップホップなものへと変貌していくのが面白い。あの存在感のある声も健在である。
ローゼズらしい音を呼び水にして、そこから離れていこうとしていく様子が感じられるし、強力なギタリストだったジョン・スクワイアの不在によって楽曲にダンスグルーヴが内包されるようになっているのは非常に興味深くある。ローゼズっぽくっても、ダークな方面に向かってもグルーヴからは逃れられない
少なくともローゼズはロックとグルーヴを突き詰めようとしていたバンドだったので、そのフロントマンであったイアン・ブラウンが「グルーヴ」に囚われ、深く突き進むことになるのは必然という以外にないと思う。そういう点では、ソロ活動の一発目として見事な初手が決まったと思わせる一枚ではないかと
聴いた日:10月11日 アーティスト:Ian Brown
Golden GreatsGolden Greats
99年発表2nd。前作の後半にあったダークな趣の打ち込みサウンドを深化させた印象のある作品。かとなくエスニカルな旋律を挟みながら、シリアスさも感じさせ、ミディアムテンポでねっとりとグルーヴしているのが特徴か。華やかな印象はないけど、なにか鈍い弾力があってまとわりつく音。
音がヘヴィになったかというとそこまででもなく、シンセをベース音に使い、分厚く歪ませて聞かせる辺りはEDMの先駆に聞こえなくもないか。ポップさには欠けるが沈んだ趣でのたうち回る酩酊感が味わえる横ノリが不思議と心地よさを覚える。シラフでバッドトリップする感覚がクセになりそう。
聴いた日:10月12日 アーティスト:Ian Brown
歳月の記録歳月の記録
89年発表インディーズ4th。インディーズ時代最後のミニアルバム。山口洋の掻き鳴らす歯切れの良いギターに乗っかって、乾いた味わいのブルージーなロックがなんとも魅力的な作品。骨太でがっちりとした芯のあるシンプルなトリオ演奏なのもあって、メンバーの軸のぶれなさがひしひしと伝わってくる
山口洋の歌はトーキング・ブルースに近く、歌詞を吐露する様がぶっきらぼうながらも力強い。趣は異なるが初期のU2のような武骨さとひたむきさが率直に響いてくる作品だろうと思う。派手さはないが歌わなければならない理由があるからこその真っ当な音楽を彼らは奏で続けるのだ。意志の強さを感じる盤
聴いた日:10月13日 アーティスト:HEATWAVE
Pop TatariPop Tatari
92年発表3rd。日本が誇るアンダーグラウンド異能音楽集団のメジャーデビュー盤。なお93年の再発盤も存在していて、曲順と数曲タイトル変更されており、また1曲削除されている。今回聞いたのは93年盤。カオスでハードコアな世界が全編に展開されている。音楽であって音楽でない感が凄い。
ハードコアパンクにノイズミュージックとザッパとファンカデリックと現代音楽がギタギタに切り刻まれて、形容のしがたい音が鳴り響く。これを聞いているとベック(・ハンセン)辺りとは同系統なのだがまったく方向性が違う音。唯一無二なのは間違いないが、言葉で説明しづらい音楽でもある。
ただひたすらゴミクズを作って撒き散らすような、玉石混交を動物的反射の世界でツギハギしたような感覚。反面、センスと組織力が物をいう構成でもあるのである意味クレバーだがやってることはとってもクレイジーだ。紙一重で「聞きやすい騒音(雑音)」を繰り広げている
これでバンドとしては聞きやすい部類に入るというのだから、どれだけ異形のバンドというのがよくわかる。もちろん個々の演奏力は聞いていて非常に高度だが、そこに表現されているものは異次元の彼方でもある。プログレや前衛音楽が好きならお勧めできる。名盤にして劇薬なので聴くのには注意が必要だ。
聴いた日:10月15日 アーティスト:Boredoms
Chocolate SynthesizerChocolate Synthesizer
94年発表4th。前作のカオティックな雰囲気に整理がついて、一曲ごとのまとまりが出た、ように感じる一枚。自らの奏でる音楽に非常に冷静になっていて、客観視してるような印象を受ける。過激さとクールさが入り混じっているのがこの盤の熱の浮いた感じに繋がっているようにも思った。
アヴァンギャルドなことをやればやるほど、形式的なものに嵌って行く袋小路のような状態になっていて自家中毒ぎみ。しかし一方で、そういったハードコアな音から急に差し込んでくる半ば覚醒したような音がおそらくは後の路線へと繋がっていくと思えば、この水と油な状況はなんとなく理解はできる。
決して出来が悪いというわけではなく、盤のテンションは高いのだけど、こういう音楽をやるためのサーキットが確立してしまっていて、化学反応があまりないように思えてしまう盤。過渡期といってしまえばそれまでだが、バンドを脱構築した先の構築化に煮詰まってしまった一枚だと思う。面白いが佳作。
聴いた日:10月16日 アーティスト:Boredoms
Jar of FliesJar of Flies
93年発表3rdEP。2nd発表後に出したアコースティック主体の作品。EPという形式で初めて初登場全米1位を取った事でも知られている。ダウナーで陰鬱な趣だがそれでいて、ポップだと感じさせる彼らの特徴が遺憾なく発揮されており、これを最高傑作に推す声もあるほど。
ディストーションノイズの効いたギターサウンドではなく、こうやってアコースティックにサウンドが置き換わってもバンドの本質にさしてブレがない事がより魅力を引き立てている一端だろう。音の歪みがない分、よりダイレクトに陰鬱さが伝わってくる事で剥き出しの音が肌で感じられるのもミソか。
秋の晴れ空のようにスキッとしてはいるがなにか憂いや、アンニュイさが残るメロディがやはり独特ではあり、唯一無二だ。クセがありけして明るくはないがポップさを感じるのは奏でられるメロディの多彩さゆえ。レイン・ステイリーの存在感は強いが、演奏面でのジェリー・カントレルの力量も見逃せない。
病んだ質感と陰鬱さ、ダウナーなイメージは纏わりついているがそれで何か引き付けられる麻薬的な常習性もあるのはカントレルの独特な作曲センスが成せる業でもある。楽器をアコースティックにしたことによって、バンドの魅力を分かりやすく抽出した作品。より深く魅力を知りたい人用だが良作。
聴いた日:10月17日 アーティスト:Alice in Chains
完全版「バンドBについて」完全版「バンドBについて」
09年発表インディーズベスト盤。バンドのインディーズ時代の音源をほぼ網羅した2枚組ベストアルバム。バンドサウンドの変遷と成長度合いが著しく、聞いていてとても興味深い。Disc1とDisc2でかなり趣が異なっていて演奏技術も雲泥の差が出ているのを記録として収めているのは度量が大きい
Disc1はナンバーガール経由でNW調のギターロックを拙いながら形作ろうとしていて、そこにパンクだったりいわゆるJ-ROCK的な雰囲気が見え隠れしていて、青さが残るつくりだが若さゆえの勢いと瑞々しさが随所に感じられる。音楽的には未成熟な部分がある一方でその瞬間にしかない魅力もある
Disc2は借り物だった音楽要素を自分たちのものにしており、NW調の鋭利なギターカッティグをダンスリズムに乗せて、ポップに響かせるというメジャーデビュー後の音に接近している。音楽性にしっかりと芯が入って、強固なブレなさを強く感じさせる作りでアマチュア感が抜けているのが面白い。
こうやって通していくと、一介のアマチュアバンドが音楽性を得て、プロのバンドとして成長していく「過程」を記録しているのがよく分かり、こういったベストしてはストレートながら思い切った構成をしてると感じる。バンドの原点を窺い知る点でもファンには必携のアイテムだろうし、面白いベスト盤だ。
聴いた日:10月19日 アーティスト:Base Ball Bear
BIG“SAD”TABLEBIG“SAD”TABLE
93年発表3rd。初の日本語歌詞をフィーチャーした作品。音はこれでもかというくらいに60年代末〜70年代初頭の洋楽へのオマージュと引用を濃密に盛り込んだもので非常にサイケかつ垢抜けないブラックミュージックのファンキーさをそここに感じる快作に仕上がっていると思う。
発売当時のマンチェスター界隈の影響はどうあっても否定はできない盤だが、単なる引用で終わっていないのは、バンドサウンドとしてそれらを手中に収めたことによって、さらにその先の原点回帰的な音へと向かった事が彼らのオリジナリティーを高める要因となった。しっかりと地に足の着いた作り。
9のサイモン&ガーファンクルのカバーなどもあるようにバンドも自覚的にオマージュしているし、その雰囲気を発売当時の空気感も纏っていて、内省的でサイケでペシミスティックな趣は呼応していると思う。ダンスグルーヴの印象はあまりないが万華鏡のような密な世界を魅力的な良盤だろう。
聴いた日:10月22日 アーティスト:ビーナス・ペーター
ハバナ・ムーンハバナ・ムーン
・83年発表3rd。ソロ三作目。ウィリー・ネルソン、ブッカー・T・ジョーンズにスティーヴ・レイ・ヴォーンの兄ジミー・ヴォーンの参加していた、ファビュラス・サンダーバーズも参加。全体に肩の力が抜けたリラックスした作りでまるでジャムセッションをしているような小気味よさを感じる一枚。
アルバム前半はサンタナ自身が慣れ親しんだだろう、ブルースなどのカバーがメイン。後半はラテンやアフリカン、南洋音楽の雰囲気が濃厚で異国情緒が溢れる。恐らくはサンタナの音楽的ルーツを掘り下げたもので、そういった点では原点回帰の趣も。休日に良き仲間と演奏を楽しむ姿が浮かぶ穏やかな佳作だ
聴いた日:10月23日 アーティスト:カルロス・サンタナ
処女航海処女航海
・65年録音盤。代表曲の一つでアルバムのタイトルである1を配した新主流派(モード・ジャズ)の名作。厳かな趣で繰り広げられる、ストイックな演奏はそれこそ1の出だしに詰まっているといっても過言ではない。ジャズと言えば一般に高尚なイメージが浮かぶがこの盤はその印象を強く与える一枚だろう
良く言えばシックでスタイリッシュ、悪く言えば小難しく堅苦しい。コード進行ではなくモード(旋法)で組み上げられた演奏は自由闊達だが華やかさには欠ける。しかし、鮮烈な印象を与えるのはリーダーのハービーは元より参加メンバーが当時「新世代」のジャズミュージシャンだったことに他ならない。
血気盛んな若者たちが新しい表現を求め、その勢いをもってして自由に切り開いた演奏だからこそ、半世紀経った今でも古びない魅力を放っているのだと思う。一歩間違えば、フリージャズにもなりかねないが、その辺りの綱渡りなバランス感覚も若さゆえだろうか。ジャズの持つ一面を映し出す名盤だ。
聴いた日:10月24日 アーティスト:ハービー・ハンコック
From the BeginningFrom the Beginning
67年発表2nd。バンドの創作意欲と著しい成長によるレーベル側との契約&移籍トラブルのどさくさに紛れて発表された事実上の2ndアルバム。前作の曲や移籍先で発表されたアルバムと収録曲が重複しているのはこのため。それゆえに当時らしいシングル曲の寄せ集めの編集盤みたいな趣が強い一枚。
楽曲の方は前作よりメロディが重厚になっていて、ずっしりとした生地のパウンドケーキといった印象。R&B感覚を基調にしたビート感の強いロックで聴き応えは十分にある。当時のロックグループがサイケ的な色合いを帯びるのと同じく、このバンドもそういった雰囲気を濃くしているのも特徴だ。
が、前作にあったメロディのシンプルさやビートの軽妙さはあまり感じられなくなり、何層にも重ねられたメロディを比較的ミドルなテンポで演奏されるために全体的にもったり感が残る。あと録音が時代を考慮しても結構粗いのも難点か。ポップな佳作ではあるが、時代に呑まれている節も感じなくない一枚。
聴いた日:10月26日 アーティスト:Small Faces
大車輪大車輪
90年発表1st。イカ天出身バンドのメジャーデビュー作。王道なファンクをメインにR&Bやレゲエ、セカンドラインを取り込んだバラエティ豊かなサウンドが聞ける。音の感触は当時らしいHI-FIなもので、シャラシャラとした軽さが目立ち、ビートの重量感は薄めだがグルーヴは存在している。
歌詞が下世話な卑猥さをコミカルな雰囲気で覆ったものなのが面白いというか、本場で歌われているだろう、セクシャルなものをそのまま日本語歌詞に落し込んでいるのがなかなか興味深い。歌詞と演奏の両面からファンクを自分たちなりに捉えてホンモノに近い形を提示しようとしている姿に好感を持つ良盤だ
なお一度も解散せず、現在もライヴハウスなどで活動を続けているそうで息の長いバンドとなっている。できれば、現在の姿をどんな形でも良いので聞いてみたいなと思わせるグループです。あわよくば新作アルバムをお目にかかりたいなあと。
聴いた日:10月27日 アーティスト:宮尾すすむと日本の社長
スモール・フェイセス+5(デジタル・リマスター)スモール・フェイセス+5(デジタル・リマスター)
・66年発表1st。ザ・フーと並びモッズを代表するバンドの初作。そのザ・フーのメンバーをして「真のモッズバンドはスモール・フェイセスのみ」と言わしめるほど。ただひたすら直球勝負で押し切る、シンプルだけど力強い作品だと思う。その若々しさと勢いが鮮烈な印象を与えている。
R&Bの影響を包み隠さず、そのまま自分たちの音として繰り出す奇の衒いの無さで突っ走るのは若さゆえだろうと思う。ひたすらにシンプルなビートと直線的なメロディの心地良さはメンバーのセンスの良さもあるが、純粋に好きな音楽をやりたい一心で突き進んでいるからこその弾けた勢いのように思う。
黒人のグルーヴ感とは違う、カラッとしたスピード感のある演奏はR&Bを下敷きにロックミュージックと化していったその絶妙な混ざり加減ゆえだろう。おそらくはこの当時のその瞬間でしか成立し得なかった音楽。ロックの若かりし「青春時代」を切り取ったエヴァーグリーンかつとてもポップな作品かと。
聴いた日:10月29日 アーティスト:スモール・フェイセス
LIVE! tour 2000+1LIVE! tour 2000+1
01年発表ライヴ盤。同年のNHKホールでのライヴを収録した実況録音。選曲は1st〜2ndの曲がメインで大沢伸一プロデュース期の集大成的な内容。アシッドジャズ的なクラブサウンドを生演奏で再現している。2〜4辺りのシングル曲はアレンジも変えており、ライヴらしい仕掛けもそここに。
とはいえMCや歓声が入っているにも拘らず、空間的な熱のこもったステージに聞こえないのは、全体的に音量が小さいのとミックスが平面的過ぎて、きれいに整ってしまっているように感じられる。CDで聞いているとスタジオライヴみたいな印象を受けて、イマイチ食い足りない、迫力不足の音なのが残念。
ライヴの後半戦は演奏のテンションが上がっていて、6〜9辺りはなかなか迫真のプレイが聞けるが、先にあげた不満点が相俟って、温度的にはぬるま湯な感じ。全体にオーガニックな穏やかな雰囲気が漂うのもマスタリング段階の整え方が原因のように思う。内容はいいのだが肝心な所でキレが鈍っている一枚
聴いた日:10月30日 アーティスト:bird
Curse of LoveCurse of Love
14年発表未発表音源集。公式発表としては「ロストアルバム」という位置づけの作品。3rdと4th(05〜07年)の間に作られた楽曲を集めたものとなっている。内容的には3.5th。バンド休止期間中の最中で、突如のリリース&日本盤発売なしだったので危うく見過ごすところだった。
内容はオリジナルアルバムとしてカウントしてもいいくらいに素晴らしい出来のもの、お蔵入りになったのがおかしいくらいで、クラウトロック的なハンマービートに英国特有のサイケデリックなメロディが上掛けされていて繰り広げられており、彼らのコーラスワークも神秘的に響いている。
後に洗練されていくことになるフォーク&トラッド的なサウンドと3rdのハンマービート的な音が絶妙に混ざり合って、ディスコグラフィーの隙間を生めるミッシングリング的な良盤かと。下手に作りこんでいない分、素の良さを感じとれる一品。ファンなら必携アイテム。聞いておいて損はなし。
聴いた日:10月31日 アーティスト:Coral
ライフ・アンド・タイムズ<FUSION 1000>ライフ・アンド・タイムズ
76年録音盤。若き日のジョン・スコフィールド、変名でジョージ・デュークが参加している作品。同年、この二人と共にモントルー・ジャズ・フェスで演奏し、その時の記録がライヴ盤にもなっている。本盤でも後のライヴ同様、エネルギッシュな演奏が繰り広げられており、実力の高さが窺える出来。
メンバーにホーンがいない分、ソリッドでシャープな演奏が一気呵成に流れていく様は聴き応えのある作りだ。超人的な暴走プレイの一方で、きっちり緩急をつけたスローな曲もプレイできる多彩さも魅力的。華やかさはないがパワーとテンションの高さ、エネルギッシュさは他の作品に負けず劣らずの一枚だろう
聴いた日:10月31日 アーティスト:ビリー・コブハム

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