In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

音楽鑑賞履歴(2018年8月) No.1269

月一恒例の音楽鑑賞履歴です。
定期的にここのブログをご覧になっている方はお分かりと思いますが、先月はほとんど音楽を聴く余裕がなかったので一枚しか聴いていません。これを書いている時点で9月もあと僅かというところですが、9月にいたってはまともに一枚も聞けていない状況が続いています。
日々の記録代わりですから、これを目当てにいらっしゃる方がどれくらいいるかわかりませんが音楽鑑賞については徐々に復帰できて生ければなとは考えています。復帰はアニメ感想の片がついてからになりそうですかね。まあ仕方ないですが、やるといったからには完遂するつもりです。


というわけで以下より感想です。


ライヴ・イン・ジャパン(紙ジャケット仕様)

ライヴ・イン・ジャパン(紙ジャケット仕様)

・72年発表ライヴ盤。72年6月の来日ツアーの模様を収録した、日本独自リリースの2枚組ライヴアルバム(後に海外でもリリース)。なにより驚くのはライヴ音源にしては録音がとてつもなくいいことだ。しかも当時「シカゴV」製作途中の絶頂期の演奏が聞けてしまうのだから、まさに空前絶後といったところ。
いわゆる「シカゴⅣ」である「ライヴ・アット・カーネギーホール」の冗長さもなく(あれも彼らのライヴセットを完全収録するという点では意義深いが)、コンパクトかつタイトなセットリストで一気呵成に聞かせてくれるし非常に熱っぽい演奏がやはり凄まじい。2曲ほど日本語で歌っているのがご愛嬌だが。
ライヴバンドとしてのシカゴのテンションの高さを思う存分体感させてくれる点ではこちらに軍配が上がる。スタジオ録音ではあのバタバタとしたダニー・セラフィンのドラムがまさしく暴れ太鼓で暴れまわるのと、テリー・キャスのギターの艶やかさが映えるし、なによりホーンの華やかさが眩しい。
完全に音の塊として、シカゴという「音」が存在しているような奇跡的なバランスとそれを見事にパッケージングした日本チームの仕事が時代を超越している。なによりアドリブパートの縦横無尽さは筆舌にしがたいほど。一度は聞いてみてほしいアルバムだ。聞いていて自然と心躍るエネルギーが詰まっている

「少女☆歌劇レヴュースタァライト」アニメ#8 ひかりの人生の物語


第8話『ひかり、さす方へ』
ここまでがBD-BOX第2巻収録内容。三幕構成といいますか、1巻収録内容ラストエピソードである4話で華恋とひかりの「約束」が確かめられたのを受けて、ひかりサイドの物語背景が明かされた回でもありました。前回のばななの背景に引き続き、本筋の舞台裏で展開されていた物語が明かされていく一方で、作品全体を覆う「なにか」もいよいよ朧げに見えてきた、のかもしれません。

今回も舞台版の筋も含むネタバレですので読み進める場合は以下をクリック(スマホなどで読まれている方はそのままお進みください)

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「少女☆歌劇レヴュースタァライト」アニメ#7 舞台少女の条件


第7話『大場なな』
この物語の全容が「少しだけ」明らかになった回。大場ななというキャラクターを通じて描かれる、その内容は予想外というよりはわりと予想の範疇に収まった感じでしょうか。舞台版を見ていると、ばななが一番闇が深い人物だったので何かあるだろうとは思っていました。ただここまで物語の鍵を握る人物だったのはちょっと意外ではありましたが。その得体の知れなさを紐解いていくと、一筋縄では行かないばななの背景がおぼろげに見えてきました。今回はその辺りをば、考えていこうかなと。


今回も舞台版の筋も含むネタバレですので読み進める場合は以下をクリック(スマホなどで読まれている方はそのままお進みください)

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「少女☆歌劇レヴュースタァライト」アニメ#6 そしてふたりは出会った


第6話『ふたりの花道』
香子と双葉回。作中のカップリングの中でも一番分かり易いかつ付き合いの長い二人を描いたエピソードでした。反面、主役の二人が今までで一番出番のなかったわけですが、物語的には大きな動きも。シリーズの折り返し地点ということもあり、後半戦への布石も抜け目なく行われていた印象ですね。次回以降、物語が急展開していきそうですが今回はそんな嵐の前の静けさもあり、ここまでのテーマを集約した展開だったと思います。

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「少女☆歌劇レヴュースタァライト」アニメ#5 愛はキラめきの中に(How Deep Is Your Love)


第5話『キラめきのありか』
ここからBD-BOX第2巻収録内容。ソフトの収録内容から、TVアニメの構成が三幕構成である可能性が強くなってきていますが、今回のエピソードも「序破急」でいう所の「破」の始まりを示すようなお話だったのかなと思います。メインはまひる回でしたが、全体のエピソードとしても今後の展開に向けてなにかが胎動していくのを感じるエピソードでした。

いつものように舞台版の筋も含むネタバレですので読み進める場合は以下をクリック(スマホなどで読まれている方はそのままお進みください)

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「少女☆歌劇レヴュースタァライト」アニメ#4 キミとワタシの物語


第4話『約束タワー』
ここまでがBD-BOX第1巻収録内容。エピソード的にも第一幕終了というようなお話でした。初のレヴューシーンがない話数でもあったわけですが、今回も気になる箇所は今まで通りたくさんあった感じ、でしょうか。ついに舞台版とのリンクも強まってきたので、アニメが初見の人たちがどう受け取っているかは気になるところ。それはそれとして、当ブログは舞台版と総合して見ていくつもりですのでよろしくお願いします。


今回も舞台版の筋も含むネタバレですので読み進める場合は以下をクリック(スマホなどで読まれている方はそのままお進みください)

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音楽鑑賞履歴(2018年7月) No.1263〜1268

月一恒例の音楽鑑賞履歴です。

5枚。
ブログで鑑賞履歴始めてから、最も少ない枚数です。その理由は直近の過去記事をご覧いただければお分かりいただけるかと(笑)いや、もう仕方ないです、これは。まあ、今年の初めから「夏に入ったら本気出す」を明言してましたのでこうなることは目に見えていたわけですけども。あとはどこまでこれが続けられるか。なんとか終わりまで続けたいと思いますが、あと約二ヶ月。しばらくこの調子なので、聞く量はぐっと減るかもしれません。申し訳ない。
というか日々の記録代わりなのでこれを目当てにいらっしゃる方がどれくらいいるかわかりませんが。
そんなこんなで今回はSleater-Kinneyしか聞いてません。まあ、こういう時期もあるさと言うことで。いや、いろいろアウトプットするときに集中したいので音楽が聴けないのが一番のストレスなんですけどもね。書くのも好きなので、今はそっちを頑張ります。

というわけで以下より感想です。


Dig Me Out

Dig Me Out

97年発表3rd。The Kinksのレコードジャケット意匠を借りたジャケットで有名な彼女たちの代表作。ベースレスでツインギターが鳴り響くトリオ演奏はオルタナらしいギターロックではあるが、珍しく焦燥感は皆無でキッチュな浮遊感と地に足着いたノイジーな重力感とともにフェミニズムを押し出した歌詞が独特。
女性の3ピースバンドという以上に、彼女たちのアディテュードはパティ・スミスと似通っているようにも感じる。そういう点ではNYパンクに接近したサウンドなのも納得は行く。今聞くと、雑味を抜かずに押し出したThe Strokesのローファイ・ギターサウンドという印象を持つのも興味深いところだ。
オルタナグランジを経て、醒めた知性をラディカルに音楽に響かせると、NYパンクや古くはヴェルベッツにも至る音の上に、彼女たちの音楽は成立しているし、90年代末期という時代を反映した音を出している。エキセントリックでパンキッシュだが非常にクレバーな内容の傑作に違わぬ一枚だろう。

Hot Rock

Hot Rock

99年発表4th。ガレージロック色が減退し、NWサウンドらしい退廃的な雰囲気に包まれた一枚。全体的にミッドテンポ気味の演奏なので、疾走感のあった前作と比べても大分印象が異なる。そのルーズな印象と気怠さが漂う中、ユルさとチリつく焦燥が同居しているのが当時の流行らしくもありまた独特でもある
サウンド的にはやはりトーキング・ヘッズテレヴィジョン、ソニック・ユースといったバンドと地続きであり、そのクールな知性とラディカルな姿勢は本作においても一貫している。女性のあけすけな感情をギターノイズに乗せて歌えることが個性でもあり、その赤裸々な歪みにじっと耳を傾けて聞く良盤だ。

All Hands on the Bad One

All Hands on the Bad One

00年発表5th。音と演奏が骨太になった印象がある一枚。The StrokesWhite Stripesの台頭に先駆けて、ガレージロックへの回帰を意識したようなサウンドにもなっていて、ツインギターはざくざく、ドラムは適度な重さを保ちながら、荒地を物ともせずに突き進む4WDのようなワイルドさを感じるのがクール。
前作のNW色やダルな趣から打って変わって、目の覚めたようなスピード感とパワフルな演奏とともに彼女たちらしいロックに対するアディテュードとラディカルな部分が呼応したゆえだろう。傑作と謳われた前々作の印象をアップデートしたような痛快な一枚だ。その磐石さには余裕すら感じられる。

One Beat

One Beat

02年発表6th。前作より音の出力がパワフルになった印象を受ける作品。サウンドがハードになったとか、音圧が高くなったというのではなく、前作のガレージロック感を引き継いで高出力に上げた、感じ。密度がグッド上がって、強度が高くなったと言えばいいだろうか。ともかく枠が太くなった。
一音一音がかなり太くなったイメージで、ギターリフやドラムから叩き出されるビートの強さがとてもエネルギッシュに聞こえる。マッシヴになったというべきか、余計な贅肉がなくなった分、筋肉質なバネの強さが目の前に迫ってくる。キレよりも音の弾力をとことん突き詰めた強靭な一枚。乾いた響きも良い

Woods

Woods

05年発表7th。前作のパワフルな出力そのままに、音のボリュームを思いっきり引き上げた爆音ガレージロックの傑作。もうプレイボタンを押した直後の最初の一音だけで圧倒される、パワフルかつ豪快なサウンドはバンドには今までなかった感触。名付けられたタイトルやジャケットの如く幹の太い大木の音だ
激情、と言えばいいのか。今までのクールな視線に怒りが混ぜられ、とにかくバンド史上、最も攻撃的な演奏が繰り広げられる。理路整然にやけっぱちな、その矛盾した音が理性を保って、フルドライヴで駆け抜けていく爆音の鬼気迫る勢いが有無を言わさず振りかざされていくのが圧巻だ。
ハイライトは終盤二曲、とくに9はバンド史上最長の11分の演奏時間でスタジオライヴのアドリヴセッションをそのままぶち込んだような、テンションの振り切れようが凄まじい。まさに完全燃焼といった向きの一枚で、再始動に10年も要したのも頷けるほど。知性と激情の火花がぶつかり合う名盤だろう。