In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

90年代J-POP極私的100曲リスト+7

レジーのブログ LDB : 【レジーが見た90年代プロジェクト】1/2 90年代の私的50枚リスト

今回は↑の記事に触発されての記事です。90年代のJ-POPを自分なりにチョイスしてみました。けどさすがに90年代のアルバムを50枚持ってるか怪しかったので、自分の中で印象に残っているだろうJ-POPの楽曲を思いつくがままに100曲選定しています。当時耳にして印象に残っている曲もあれば、後追いで知った曲もいくつかありますが、基本はヒット曲ばかりになってしまいました。仕方ありません、当時はCDバブルです。シングルCDも売り上げがミリオン、ダブルミリオンを連発していた時代でしたから、どうしても売れ線に偏ってしまいがちだなと。けど、そういうチョイスでもやっぱり人が選ぶことによって、その人なりの色合いが出るのではないかと。そこらは十人十色です。まあありきたりのチョイスになってるかもしれませんが、どうかご一覧いただければと思います。自分は思春期真っ只中にいた人間なので、振り返るたびに懐かしさが湧き上がりながら、一気にやってしまいました。当時の時代の雰囲気はなんとなく感じられるのではないかと。あ、ちなみに基本、1アーティスト1曲で選びましたので、そこは違うだろというのだけはご勘弁。自分も現時点ではこのチョイスですけど、多分次やったら変わる部分はあると思いますので、気分的なものという風に思っていただけば。きわめて印象重視で選んだ100曲です。

では以下より。一言コメントつけつつ。思いついたものを年代別にまとめています。


1 LINDBERG :今すぐKiss me('90)

→並べ直してこれが初手って面白いな。この余白の多いシンプルなロックが時代的。
2 たま:さよなら人類('90)

イカ天ですね。童謡的かつプログレッシヴ。しかしこれが売れたっていい時代だったんだなあ。
3 KAN:愛は勝つ('90)

→いまだ活動中。バブルらしい高級感のある白いイメージがとにかく印象的だった。クラシカルでビーチボーイズ
4 BBクイーンズ:おどるポンポコリン('90)

→こっちはバブルのフィーバー感を伝える一曲。いや実際、雰囲気や空気はこんな感じだった。なんか突き抜けている音。
5 THE BLUE HEARTS:情熱の薔薇('90)

→裏表なし、シンプルイズベストな音が逆に余白の奥行きを感じさせる曲。
6 フリッパーズ・ギター:恋とマシンガン('90)

→反対に過剰な洒脱感と脱日本を志向しつつ、日本語で歌われるラディカルな曲。
7 忍者:おーい!車屋さん('91)

→バブル期のジャニーズ。バブルのお祭り感がよく出てる。今の関ジャニのご先祖的存在。
8 槙原敬之:どんなときも。('91)

→当時のトレンディ感がよく出ている一曲。一歩引いたシックさがらしい
9 小田和正ラブ・ストーリーは突然に('91)

→トレンディ感その2。カクテルネオン感強め。カッティングギターとサビが好きですね
10 森口博子ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜('91)

ガンダムF91。輝かしい未来を感じさせる悠久さが素敵
11 谷村有美:21世紀の恋人('91)

21エモン。同様にメトロポリタンな明るい未来を感じさせてくれたという点では名曲だと思う。
12 山下達郎ターナーの汽罐車('91)

→我が道を行く職人芸。地味ながらも力強さがあるのが歌われている汽罐車のごとく。
13 Zoo:Choo Choo Train('91)

→いまやEXLIEのカバーで有名。今思えば、日本におけるストリートダンスカルチャー開闢の曲だったのかも。
14 FENCE OF DEFENSE:時の河('91)

→アニメ三国志。大陸的な雄大さのあるアジアンテイストとデジタルな音はいかにも当時らしい
15 HIS:日本の人('91)

→そんなアジアの片隅の「日本」を感じさせてくれる名曲。歌詞が染み入る。
16 The Bubble Gum Brothers : Won't Be Long ('91)

→バブルのお祭り感と和製ブラコンの成熟を感じる一曲。和製ブラックミュージックの先駆者たるグループの一つ。
17 とんねるず:ガラガラヘビがやってくる('92)

→今聞くと意外とアフロファンク。みんなのうた(同局的にポンキッキか?)とおどるポンポコリンのパロディ。秋元康の嗅覚が凄い。
18 B'z:BLOWIN'('92)

→どんなにロックっぽくなろうと、このデジタル音と絡み合う感じが彼らの素のような気がする。
19 米米Club:君がいるだけで('92)

→ザ・結婚式ソング。この祝祭的な無垢さ加減と圧倒的な高級感の強い白さにバブル極まれりといった印象。
20 CHAGE and ASKA:YAH YAH YAH('93)

→時代の空気を吸った躍動感がやはり鮮烈。「今からあいつをこれからあいつを殴りに行こうか」というフレーズがまさしく強烈。
21 SMAP:$10('93)

→ポストバブルのジャニーズ。グループ的にもターニングポイントの1曲だがバブルの浮ついた感じがあまりないのも注目。
22 ユニコーン:大迷惑('93)

→サラリーマンの悲哀を歌ったパンクソング。この相反するユーモア感覚がやはり稀有だ
23 広瀬香美:ロマンスの神様('93)

→レジャースポーツとセットな印象。今聞くと特徴ある歌い回しが演歌っぽく聞こえる。インパクト強し。
24 松任谷由実真夏の夜の夢('93)

→冬彦さん。バブルの残り香が顕著だがこの蟲惑的な妖艶さが絢爛ではあるよなあ。
25 ザ・ブーム島唄 (オリジナル・ヴァージョン)('93)

→「お祭り」が過ぎ、民族音楽な響きに「安らぎ」を見出すことに。歌詞はシリアス
26 上々颱風:いつでも誰かが('93)

→ぽんぽこ。同じく民俗音楽的アプローチだが祝祭感と無常観が入り混じる胡乱な雰囲気が強い。
27 ZARD:揺れる思い('93)

→狂騒が過ぎ去った後の真っ直ぐな曲なんだけどどこかちょっと屈折してるというか淀んでる気がする。
28 井上陽水:Make-up Shadow('93)

→こちらもバブル的な音だけどもはや儚い幻影だという醒めた視線で歌われているようにも。
29 ピチカートファイヴ:東京は夜の七時('93)

→バブルな洒脱さを保ったまま、シックにダンサブル。しかし「夜」なんだよなあ。
30 YMO:ポケットに虹がいっぱい('93)

→再集結YMOもかつてのカラフルさは色褪せ、ポストモダンチックな焼け野原の趣。
31 フィッシュマンズ:いかれたBaby ('93)

→幽玄な趣の音には「祭りの後」の草臥れた感じと人間性の核を貫く鋭さが混在している
32 TRFsurvival dAnce 〜no no cry more〜('94)

→ここから小室サウンド全盛期。トランシーなテクノサウンドをポップフィールドに乗せた辺りに時代の寵児差を垣間見る。
 反面、開放感はあるが音が密室的になって閉鎖性がより高まったのは景気の陰りが影響してるようにも。
33 田村直美ゆずれない願い('94)

レイアース。煌びやかだけど、音の陰影が濃くなっているのが顕著。
34 スチャダラパー今夜はブギーバック (Smooth rap)('94)

→この年はラップが世間に広く認知された年。スチャダラパーのフロウのキレが凄い。
35 EAST END×YURI:DA.YO.NE('94)

→当時はネタ扱いだが、完成度は恐ろしく高い一曲。YURIの喋るようなラップが上手すぎる。紅白でのパフォーマンスは伝説的
36 中島みゆき:空と君のあいだに('94)

安達祐実家なき子。この寂寥感と荒涼さが溢れる力強さはこの時代の険しさの表れでも。
37 篠原涼子 with t.komuro:恋しさと せつなさと 心強さと('94)

ストII。この時代、サビが旋法使いの曲が結構多いのが印象的。
38 東京スカパラダイスオーケストラ:朱い鳥のバラード('94)※アルバム「FANTASIA」収録

→夭逝した二代目フロントマン、クリーンヘッド・ギムラの歌うメロウな無骨さが映える曲。
 当時では珍しく未来への希望を歌ってる気がする。
39 THE ALFEE:冒険者たち('94)

→モンタナ。このカオスな音の詰め方はそのまま90年代後半の先駆けなのではないかと。
40 H Jungle with tWOW WAR TONIGHT 〜時には起こせよムーヴメント('95)

→浜ちゃん。お笑いとダンスホールレゲエとドラムンベースを絡ませるサウンドテクスチャーは遊んでるようで実に計算高い。しかも大ヒット。
41 シャ乱Q:ズルい女('95)

→完全に深夜の恋愛模様でお茶の間に流れるにはキワどい感じはこの当時の雰囲気が漂う。
42 小沢健二カローラIIにのって('95)

オザケン最大のヒット曲。歌以外関わってないけど枯れた味わいが当時の日本らしい中庸さ。フォーキーなのにも着目したい。
43 高橋洋子:残酷な天使のテーゼ('95)


エヴァ。鬱屈さが阿波踊り的ハウスサウンドで覚醒する享楽性に日本的趣を見出す1曲
44 大黒摩季:ら・ら・ら ('95)

→音の響きがそこそこナチュラル。歌詞はラブソングだが、この飾らなさがバブル以後だと感じさせる。
45 DREAMS COME TRUE:サンキュ.('95)

→上の曲と同系統の響き。この牧歌的な雰囲気にバブルの高揚感はないのが分かる。
46 安室奈美恵:Chase the Chance('95)

→その一方で、刹那的かつ密室的な快楽を突き進む小室サウンド。クラブの黎明期。
47 TOKIO:ハートを磨くっきゃない('95)

バブル崩壊後のジャニーズ。メンバーが自ら演奏する点からもDIY感を最初から背負ってたグループなんだなと思う。
48 V6:MUSIC FOR THE PEOPLE('95)

バブル崩壊後のジャニーズその2。上と比べて王道路線を志向したグループである反面、それが通用しづらい時代でもあった。
49 スピッツ:ロビンソン('95)

→非常にセンチメンタルな響き。この色褪せた音から感じられる物寂しさにわずか数年前の狂騒が遠くなったことを感じる曲。
50 MY LITTLE LOVER:Hello, Again 〜昔からある場所〜('95)

小林武史。これもわりと物憂げな曲で彷徨ってる雰囲気はそのまま、当時のメランコリーな空気を切り取っている。
51 サザンオールスターズ愛の言霊 〜Spiritual Message('96)

→時代を反映した魑魅魍魎さを感じるハウスサウンド。こういった曲を繰り出せるからこそサザンは「時代を映す鏡」足りえてるように思える。
52 玉置浩二:田園('96)

玉置浩二最大のヒット。かつてのスタイリッシュさはもはや無く、その泥臭さはバブルの反動のようにも
53 相川七瀬:恋心('96)

→のちのV系へ繋がりそうな、ちょっぴりインダストリアルな雰囲気があるメロハー。ウェットでシリアスな音。
54 PUFFY:これが私の生きる道('96)
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→その対極で恐ろしくユルいアイドル。もはや着飾ってスタイリッシュじゃなくて、飾らず自由気ままにカジュアルというのが時代だった。
55 猿岩石:白い雲のように('96)

電波少年。これがなかったら、今の有吉弘行はいなかった。曲自体も何も縛られず自由にというのが、閉塞感からの解放を感じさせる。
56 爆風スランプ:旅人よ 〜The Longest Journey('96)

電波少年その2。バンド最末期の大ヒット。この切な系ワイルド感が時代の厳しさにも立ち向かうようで共感を得たのかもなあ。
57 久保田 利伸 with NAOMI CAMPBELL:LA・LA・LA LOVE SONG('96)

久保田利伸最大のヒット曲。ミッドなテンポで奏でられるアーバンソウルは洒脱感はあるけど、素朴さを感じる落ち着いた雰囲気。
58 近藤真彦ミッドナイト・シャッフル('96)

→銀狼。マッチ最後の大ヒット曲。改めて聞いたが完全にメタルだ、これ。アイドル×メタルなんて20年早すぎる。金属質な音は時代だ。
59 SPEED:Steady('96)

伊秩弘将。90年代後期になるとプロデューサーの群雄割拠期という印象。
 同時多発的にスパイスガールズもデビューした時期でそれっぽくも。個人的には同世代の人間が歌って踊ってたのが印象的だった。
60 森高千里:ララ サンシャイン('96)

伊秩弘将その2。デビュー時とは180度、印象が変わってむしろ素を出したことがいい方向に抜けてる。
 作詞とドラマーとしての個性には驚くばかり。この曲でも叩いてます。個性を際立たせるというのもこのころからの傾向ではないかと。
61 globe : DEPARTURES('96)

小室哲哉絶頂期。華やかさとは打って変わって、寂寥さや孤独さを強調した音で切なさを伴う感じが自然と「冬」を感じさせた。
62 華原朋美:I'm proud('96)

小室哲哉絶頂期その2。この頃の華原朋美は何を歌っても扇情的だった印象が強くある。
 爛れたイメージでインモラルな感じは当時蠢いていた、病んだ何かと時代的な混沌が見え隠れしてる。

63 憲三郎&ジョージ山本:浪漫-ROMAN-('96)

生ダラ企画ユニットながら北島三郎が全面プロデュースした、演歌の氷河期に送り出されたヒットソング。
 木梨憲武の天才肌がやはり凄まじいがこれで紅白出場もやってる。バブルで失われつつあった演歌に復活の狼煙を上げた
64 篠原ともえ:ウルトラリラックス('97)

→こどちゃ。アイドル突然変異体というかサブカルをそのまま背負ってきたオフザケ感満載のカオスが表に出てきた印象。
65 AGHARTA:WAになっておどろう('97)

→長野冬季五輪&V6のカバーで有名。ディープフォレストのようなニューエイジ的な思想や音楽が出てきたのも90年代頃。
 この曲もそういったマナーに従った友愛の歌だけど、今回作曲の長万部太郎角松敏生だと知って驚愕だった。
66 電気グルーヴShangri-La('97)

→曲のPVに象徴されるようなラブホ的でどんよりとした色彩のケバさはこの頃全体を覆うものだったように思う。
 真っ白にもなれず、真っ黒にもなれず、常に色褪せたグレーが混じったカラフルさ。
67 シャカゾンビ:虹 ('97)※アルバム「Hero the S.Z.」収録

→そんなグレーに広がった閉塞感漂う社会でサヴァイバルする決意表明。
 「虹」と題しつつも透き通る空に虹を浮かび上がらせる「光」を探し出そうとしてるようにも。
68 ポケットビスケッツRed Angel('97)

ウリナリ。徹底してエスニックでインダストリアル。ストレートなポップスの「甘さ」が通用しなくなってた故の刺激の強さ。
 こういう即効性の高いヒネリを入れるのがトレンドだったような気もする。
69 MOON CHILD:ESCAPE('97)

→当時、割と鮮烈な出だしでヒットしてた記憶のある曲。ダークでルードさを感じさせる耽美さがポップだった。
 この辺りから、歌謡曲臭のしないロックが目立っていく。 
70 広末涼子:MajiでKoiする5秒前('97)

→周囲が奇を衒いすぎた反動から、一周回って「普通のアイドルソング」というのが新鮮に受け取られた曲かと。
 曲自体もモータウン調なのもきわめてストレートな親しみやすさ。
71 大滝詠一:幸せな結末('97)

→ラブジェネ。90年代唯一の音源。ある意味、日本のポップスを塗り替えてしまった男の「勝利宣言」。
 そのエレガントで濃密なメロディーはノスタルジックで新しい。
72 FUNK THE PEANUTS:ハイッ! ハイッ! ハイッ! ハイッ!('97)

→ドリカムの(ほぼ)覆面ユニット。よりブラックミュージックへの敬愛を押し出した音が直後のうねりにリンクしてる感じ。
 PVがアニメーションだったのも印象に深い。
73 La'cryma Christi:偏西風('97)※アルバム「Sculpture of Time」収録

→90年代中期ごろにデビューしだしたヴィジュアル系バンドが次々にブレイクしていくのもこの辺りから。
 プログレがベースとなった陰鬱なサウンドもまた耽美的であると同時にバンドの特色でもあり、時代の風でもあった。
74 T.M.Revolution:WHITE BREATH('97)

→この頃は多分ヴィジュアル系の一派だった西川さん。いまやアニオタな向きも強いがw
 Acessの浅倉大介によるTMNからの影響の強い、ハイエナジーエレポップのサイバー感が世紀末を感じさせた。
75 エレファントカシマシ:今宵の月のように('97)

エレカシ最大のヒット曲。フロントマンの宮本浩次からは泥臭く垢抜けない不器用な男っぽさが滲み出ている。
 個性をウリに出来るようになったのも音楽「産業」から移り変わっていく瞬間だったのかもしれない。
76 織田裕二withマキシ・プリースト:Love Somebody('97)

踊る大捜査線。ドラマは見たことがないけど、この曲は聞いてた。朗らかに歌われるレゲエポップス。
 このように商業的な音楽と音楽性を追求していく二極がどんどんソリッドになっていく。
77 黒夢:少年('97)

ヴィジュアル系ロンドンパンクスタイル。当時の印象ではハードに聞こえたが、今はそうでもないか。
 センシティヴな若き衝動によって狂っているのは社会なのか個人なのかを赤裸々かつシリアスに歌う姿はいまだ風化していない。
78 エキセントリック少年ボウイオールスターズ:「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ('97)

ごっつええ感じ。あからさまに70年代TVアニメと特撮ヒーロードラマをパロディにしてなおかつ茶化した曲。
 ダウンタウン自体、メジャー圏のサブカル的笑いを一手に背負っていたと同時にその斜に構えた見方が当時の先鋭的な風潮でもあった
79 CASCADE:FLOWERS OF ROMANCE('98)

→バンド最大のヒット曲。NW的な電子音とパンクサウンドを融合させてた点ではPOLYSICSより早かった。
 メカとナマモノが混ざったサイバーバイオニックなおぞましさは同時期のV系のケバさと同調するものを感じるなあ。
80 モーニング娘。:サマーナイトタウン('98)

ASAYAN。8人体制になって初めてのシングル。つんくお得意の夜のセクシャルな喧騒を歌わせ、ガラリとイメージを変えた感のある1曲。
 この「夜」の雰囲気が当時らしくもあり、LOVEマシーンでフィーバーするディスコな面も見え隠れした夜明け前といった感じがいい。
81 Mr.Children:ニシエヒガシエ('98)

→活動休止中に発表されたシングル。ミスチルグランジブリットポップに影響された音を繰り出してきたのが意外だった。
 それまでの優等生的なポップスバンドから脱却しようとしたのかも、ここでも「飾らなさ」が時代のキーワードっぽい。
82 L'Arc~en~Ciel:winter fall('98)

ラルクで初めて買ったのがこの曲だった。ファーストコンタクトは活動再開後に出た「虹」。
 ジャケットのほの暗いモノトーンな印象も「冬」を感じさせるクールなサウンドもこの当時ならではの雰囲気。
83 GLAY:誘惑('98)

GLAYもこの頃が絶頂期。一応ヴィジュアル系の括りだけど、やっぱりBOØWYからの正統進化という印象を強く感じる。
 歌謡曲成分も含みつつ、当時のソリッド感溢れるオルタナロックを奏でているのは総合的なポップスとしてレベル高い。
84 Misia:つつみ込むように…('98)


※8cmシングルと12cmシングルの同時リリースだったのでどちらも載せてます。
→和製R&Bという「黒船」という点では宇多田ヒカルよりMisiaの方が衝撃的だった記憶。マキシシングルの存在を知ったのもこれ。
 アタックの強いキックと華やかさから程遠いソウルフルな歌唱は時代的でもあり80年代末からのジャンルの成熟を感じる。
85 ブラックビスケッツ:Timing('98)

ウリナリその2。前述のポケビと対抗して、ダンサブルかつスタイリッシュなディスコソウル。中西圭三作曲。
 SMAPの黒っぽい曲を手がけた林田健司(STAMINAの作曲者でもある)共々、R&Bを浸透させた功績は大きいかと。
86 野猿:叫び('98)

→おかげでした。とんねるずと番組製作スタッフを巻き込んで、結成した音楽グループは後にも先にもこれぐらいだろうかと思う。
 彼らは当時の流行歌を本気でパロって結果を出すパターンが多くてここでは小室サウンド。そういう面からも秋元靖と後藤次利は凄い。 
87 MAX:Ride on time('98)

安室奈美恵のバックダンサーだったユニット。夜もヒッパレに出てたし、沖縄アクターズスクール出身からかSPEEDの姉貴分な印象。
 実際、そういったアダルトさを推すプロモーションだったし、思春期の人間としてはそっちに目が行ったのも事実です、ええ。
88 Every Little ThingDear My Friend('98)

→今聞くとびっくりする位にメロディックハードな曲。当時は男女混交三人組グループが多かったけど、ELTはロック方面だったんだなと。
 この頃になってくると90年代中期ごろの停滞感が徐々に薄らいできて、若干開放感が戻ってきているようにも。
89 少年隊:湾岸スキーヤー('98)

→少年隊最後の大ヒット曲。この年開催の長野五輪の恩恵に預かったとも言えるが作曲の山下達郎のテイストがかなり効いた曲
 当時はスノボが結構ブームになってたし、SSAWSなんてのもまだあったからウィンターレジャーが盛んだった印象も。
90 Kinki Kids:ジェットコースター・ロマンス('98)

→世紀末のジャニーズ。上記の少年隊が複線になったかどうかは定かじゃないけど、これも山下達郎作曲。
 デビュー曲も松本隆山下達郎という磐石の態勢を敷かれてることからも背水の陣だった感じがする。
 V6で上手くいかなかった王道再生を一手に引き受けてた感じも強いが、そういった点では成功だったように思う。
91 Kiroro:長い間('98)

→ロングヒットの代名詞。センチメンタルなピアノの旋律に乗って歌われる別れの歌という印象。しかし、結構アレンジは練られている。
 ピアノの弾き語りというシンプルな形だが、わりと90年代ヒット曲の構造を汲んだ1曲なのではないかと。
92 ゆず:夏色('98)

→フォーク再生を高らかに宣言した曲。ストリートミュージシャンというフレーズも相まって、溌剌とした爽やかさが新鮮だった。
 若々しい疾走感にフリッパーズのようなラディカルさはないにせよ、着の身着のままの朴訥な人柄の良さが伝わってくる。
93 PENICILLIN:ロマンス('98)

マサルさんヴィジュアル系も段々と飽和状態になってきて、ネタ化していく。ギャグアニメの主題歌に使われた、というのもあるが。
 けっこう臨界点だったんではないかなあと、実際新世紀に入ってからは雌伏の期間へと入っていく。
94 tohko:BAD LUCK ON LOVE 〜BLUES ON LIFE〜('98)

→小室サウンド末期。正確にブームが収束するのは99年だが、すでにこの辺りから時代の役目を終えつつあったように思う。
 曲のクオリティやtohkoの歌唱力は高いがこちらも飽和状態で飽きが来ていた事が災いして、埋もれ気味になっているのは残念。
 音のトレンドもダンスから徐々に変化していたから致し方がないが。
95 the brilliant green:There will be love there -愛のある場所('98)

→んで、その新しい潮流の第一波がブリグリだった印象が強い。もちろんこの年、宇多田ヒカル椎名林檎でデビューしてるわけだけど。
 UKロックの空気をいっぱい吸ったザラツキのある感傷さはそれまであまりなかったものだったのはある。
 洋楽との音の隔たりがあまりないのもやっぱり大きかったはず。
96 BLANKEY JET CITY:SWEET DAYS('98)

→第6代グランドイカ天キングを足がかりに着実に活動し続けて、時代の流れを自分たちの音に引き寄せた時期の曲。
 同時期から活動を続けているミッシェル・ガン・エレファントなどと共にこれでもかと粗野なロックを繰り出していた。
 この曲も日本のポップシーンに頼らない純粋培養なジャパニーズロックらしさが詰まっている。
97 Dragon Ash:Let yourself go, Let myself go('99)

→これも当時の「新しい音」として印象に深い。オルタナティヴの追い風が日本音楽界の潮目を変えつつあった証拠かと。
 「駆け抜けろ時代を/未来へと進め/空気を吸って」というフレーズの力強さとラップミュージックの先進さが輝かしかった。
98 宇多田ヒカル:Movin' on without you('99)

→「Automatic」ももちろんインパクトはあったが曲の好みとしてこっちが当時好きだった。R&Bというよりアシッドジャズっぽい。
 よくよく考えれば、後の路線はこっち方面なので水に合ってたって事なんだろうかなあ。
99 センチメンタルバスSunny Day Sunday('99)

→で、ポップシーン側のオルタナ化と言われるとこれが異彩を放ってた印象。ポップパンク気味のパワーポップ
 活動期間は短かったけど、野球を絡めたりするユーモアも含めて、J-POP感は強かった感じ。
100 中谷美紀:クロニック・ラヴ('99)

ケイゾク坂本龍一「ballet mecanique」、岡田有希子 「WONDER TRIP LOVER」の再々アレンジ版。
 坂本龍一らしいほの暗さを伴うペダンティックエレクトロニカは当時のシリアスさを内包してた印象。
101 Sugar Soul feat.Kenji:Garden('99)

→グループ最大のヒット。ヒップホップ旋風が渦巻く中でDragon Ashのkjとコラボしたのが印象的だった曲。
 こういうのが出始めたことでようやく市民権を得た感じがする。続く「Gratful Days」でそれは決定的になったかと。
102 The Pillows:Last Dinosaur('99)※アルバム「HAPPY BIVOUAC」収録

FLCL。この時点で10年のキャリアを積み重ねていたが日本のオルタナの代名詞のようなバンドだと思う。
 砂埃の立ち込めそうなギターノイズとこの焦燥感が耐えがたく魅力的でもあり、遠くへ吹き飛ばされそうな感じが堪らない。
103 浜崎あゆみ:Boys & Girls('99)

小室哲哉去りし後、浜崎あゆみavexサウンドの完成系として繰り出されてた。J-POPとしてよりソリッドになってる。
 今聞くと個人的には歌詞も小室哲哉の延長線上にある印象でそこに女性的な感性が織り交ぜられているように思う。
104 坂本龍一:energy flow('99)※マキシシングル「ウラBTTB」収録

アリナミンV。いわゆる「癒し」ブームの先鞭でオリコン史上初のインスト曲で一位を獲得している。
 このスノッブなコンテンポラリーの聞きやすさは閉塞感を和らげる一服の風ではあったか。
105 SUPER BELL"Z:MOTER MAN秋葉原南浦和)('99)

→JRの車内アナウンス×テクノグルーヴの妙味。
 今思えば、DJプレイというのを物凄く分かり易い形で提示してくれた曲だと思う。
 なんでもテクノに転化できるというのとアイディアひとつで常習性の高いサウンド作れてしまう面白さがあるなと。
 このヒットで終わらず、ニッチな路線で現在も活動し続けてるのは感嘆の一言。 
106 大泉逸郎:孫('99)


※8cmシングル版とカセットテープ版をあわせて掲載。
→20世紀最後の演歌のビッグヒット。この後は川中美幸二輪草」と氷川きよし「箱根箱根八里の半次郎」。
 しかし改めて考えるとこの歌詞も結構重みがあると言うか今考えなければならない「継承」が詰まってるなと。
107 速水けんたろう茂森あゆみ:だんご3兄弟('99)

→平成の「泳げ!タイヤキくん」。ダンゴ→タンゴの連想で歌われる曲は中毒性が非常に高い。
 その一方でおよそ10年ほど前の「おどるポンポコリン」と比較すると非常にサウンドやアレンジが簡素。
 これを景気の浮沈として見るとやはり十年一昔という言葉を思い知らされてならない。

以上、100曲。
いやあ、思い余って7曲ほどはみ出てしまいましたがご愛嬌と言うことでどうか一つ。自分の周りで鳴り響いていた音楽で印象的だったものを中心にまとめたらこうなりました。いろいろ抜けがありますし、あれも入れたい、これも入れたいと連想で出てくる曲もあったりで選ぶのは苦労なかったんですが100曲にまとめるのが大変だったなと。ざっと10年間からの100曲ですので時代のイメージの変遷とかも感じ取れたら、嬉しいです。
自分は84年の早生まれなので学年で言えば、小学校の入学から高校一年まで。幼い頃はMステ、中学高校は「歌の大辞10」や王様のブランチでやってた「CDTV」とかを見てて、シングルチャートの動向をずっと気にしてた人間でした。当時アルバム単位で聞くものは洋楽方面で、邦楽をアルバムで聞き出すのは00年代に入ってから。なのでヒット曲だらけなのはそういうことなのです。個人的にはアルバムとシングルは別の視点だと思っているので、90年代のJ-POPを語る上ではシングルの視点は不可欠じゃないかなあと。アルバム単位だと見えない部分も少なからずあるでしょうし。アルバム50枚はやってる人は多いだろうから、ちょっと違った毛色でノスタルジックに浸ってみたのが今回の100曲リストです。当時を生きた人に同じように懐かしさを感じていただければ幸いです。当時生まれていなかった人においては、こういう時代だったんだよと言うの感じていただければいいかなと。アルバムの方も出来たらやってみたいですがそれはまたの機会ということで。
というわけで、今回は以上です。やってて楽しかったです。では。