月一恒例の音楽鑑賞履歴。もう9月ですよ、早いなあ。
12枚(※三枚組含めて)
毎週の映画鑑賞と後半体調を崩したせいであんまり聞けてませんね。
しかし、今年の夏はあまり晴れ間が少なくて、夏っぽい感じが余りありませんでしたね。
そう言っても気温は高くて、じめっとした天気が多かったのですごしやすかったかといわれるとそうでもなく。
9月もこの調子で寒くなっていくのかなというこの頃。
今回はUK特集です。ディペッシュモード特集でもありますか。
じめっとした夏らしく(?)、ウェットなものを聞いていたようにも。
9月も地道に聞いていきます。
というわけで以下より感想です。
- アーティスト: Depeche Mode
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: CD
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この当時、日進月歩な勢いだったシンセサイザーの進化速度に比例してか、音色はさらに増え、ブラスシンセなども聞けるし、リズムパターンも格段に広がった。全体にインダストリーな硬質さが漂っており、前作の繊細な印象とは打って変わって、マッシヴな印象が強く、耽美さも肉感が増している。
こういった音の印象に東洋的なリズムパターンなども加わり、ヨーロッパに限られないエスニックな情緒をも取り込んで、エレポップに纏め上げる手腕の冴えを見せてている。初作のポップな姿は完全に払拭されて、新たな音楽性を確立したアルバムとして記憶される一枚だろう。深みはまだないが味は定まった。
- アーティスト: Depeche Mode
- 出版社/メーカー: Sony
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: CD
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だが彼らは刹那的な快楽性を求めることなく、求道的に自らの音楽性を掘り下げている。ゴシックというとなんとなく幽玄な儚さも付随してくる印象だが、従来の無機質かつ工業的な音が儚さより実像も浮き上がらせており、質量を感じさせる。翳りのある音が物質になって、迫ってくる感覚に囚われる。
そうやって深化した音とインダスリアルビートからはその無機質さゆえに一種の荘厳さというか、宗教的な神聖さを図らず纏っているように聞こえる。アルバムタイトルもそういった感覚にメンバーが自覚的だという表れなのだろう。質感はダークだが宗教的な慈愛と優しさも滲み出ている好盤だ。
- アーティスト: Depeche Mode
- 出版社/メーカー: Mute
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: CD
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この広がりのある透明感は本作のプロデューサーの一人、デヴィッド・バスコム(ピーター・ゲイブリエルやティアーズ・フォー・フィアーズなどのレコーディング・エンジニアを担当)によるものかと思われる。実際、ここまでの作品の中でも一、二を争うくらいに明るい音だろう。
だが前作で見せたゴシック色も消えておらず、シンセの比重が減り、ストリングスや生楽器の響きが増した事で、音の印象を変えつつも宗教的な荘厳さは維持している。漆黒の闇から、透き通る冬空に差し込む光のような雰囲気を感じる一枚。ここまでの作風の集大成的内容だろう。ポップよりアートさが印象的
- アーティスト: Depeche Mode
- 出版社/メーカー: Sony UK
- 発売日: 2013/08/01
- メディア: CD
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ゴシック色も継続し、デカダンな趣と陰鬱さが加えられた事で従来のダークでインダストリーな持ち味はさらに進化した。色の黒さにグラデーションがついて立体感が増したのが彼ららしい多彩さになっていると思う。今までなかったエレキギターも重ねられ、音の分厚さも初期とは比べものにならない。
一方でこのダークな趣がポップに響くのが興味深い。重くはあるのだが、シンセサウンドの密度が足取りを軽やかにしており、のど越しのいい響きで鳴っているためなのだろう。同時に全体に通じる仄暗く、物憂げなトーンはブルージーにすら感じられる。ゆえん「泣き」のトーンといわれるアレだ。
そのブルージーさはおそらく欧米の人々の琴線に触れるものであり、彼らより先立つバンド、例えばピンク・フロイドなどの持つ質感と同種のものだと感じられた。そういう点はエレクトロ方面からのロック的なアプローチの先駆とも言える。彼らの代表作はそんな普遍性が内包した一枚なのだ。
Red Thread [限定スペシャルプライス仕様・ボーナストラック2曲・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-156LTD)
- アーティスト: Keith
- 出版社/メーカー: LUCKY NUMBER / BEAT RECORDS
- 発売日: 2006/08/05
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同郷で同期バンドにリヴァプールの気鋭レーベルであったデルタソニック所属のThe Longcutがいて、彼らと似通っているサウンドともいえるか。テクノミュージックをロックとして再構成というか、ロックとしてテクノを演奏するバンド、という少し変わったアプローチをしているのが特長だ。
先に語ったように、ザ・スミスのようなネオアコサウンドのテクスチャーを、アタックの強いベースラインで導いて、テクノのレイヴ感を出そうとしているのが独特で、ローゼスがテクノをロックに飲み込もうとしていたのに対して、その辺りの価値観がとてもフラットなのが当時らしいアプローチ。
ロックもテクノも関係なくより純度の高いダンスミュージックを人力の演奏で抽出しようとしてる試みは振り返ってみれば興味深いし、同じアプローチでブレイクしたフランツ・フェルディナンドの発展型として捉えると、荒削りながらも聞き応えの力作だろう。クラブの密室感と切なさもよく出ているかと。
Vice & Virtue [ボーナストラック・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-213)
- アーティスト: Keith
- 出版社/メーカー: LUCKY NUMBER / BEAT RECORDS
- 発売日: 2008/12/17
- メディア: CD
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端的に言えば、The Horrorsの2ndに非常に近いアプローチなのだが、もちろん発表は本作の方が1年早い。ミニマルなハンマービートのグルーヴ感にシューゲイザーの密な空気感とネオアコの疾走感や瑞々しさが絡み合っているのは、前作でも語ったようにマンチェスターという土地柄を感じる
そんな演奏のアプローチが悪くない一方で、歌メロの弱さが若干目に付く印象で、クオリティは高いのだがキャッチーさと印象に欠けるのが惜しくもあるか。事実、バンドはこのアルバムと一枚のEPをリリースした後、活動を休止してしまう。興味深い可能性のあるバンドだっただけに残念だが良盤な一作だ。
- アーティスト: イアン・ブラウン
- 出版社/メーカー: ユニバーサル インターナショナル
- 発売日: 2004/09/22
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イアン・ブラウン本人も自らの声の特質を知っているのか、この抑揚はないが引き付けられる声色を、楽曲の中に上手く配置している印象でサウンドも自然とドープな趣へ向かわせている。閉塞した闇の中で光を見出すように感情のこもらない歌声がクールに響き渡るのが非常に興味深い一枚であり、傑作だろう
- アーティスト: Nucleus
- 出版社/メーカー: Repertoire
- 発売日: 2006/01/31
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メンバーの何人かが後年、件のソフトマシーンに流入していくのもあって、肌触りとして後期ソフトマシーンの硬質でシャープなジャズロックを早くも標榜している。このタイトな感覚は、中心人物のイアン・カーがトランペッターというのもあり、リー・モーガンのジャズロック路線にも肉薄している印象。
そうはいっても、リー・モーガンの音に比べると、ロック的なダイナミズムとボトムラインが強調されていて、その力強さがジャズというよりロックだという事を象徴しているように思える。更には後期ソフツの、アブストラクトな趣はここではさほど強く出ておらず、そういう点でも骨太な音が聞こえてくる。
英国のバンドの割に音も割りと乾いているので、結構スタイリッシュな音に纏まっているのではないかと思う。しかし、それゆえにソフツのミステリアスな響きと比べると、印象は弱くなってしまうか。全体的にシブい魅力の良盤か。ギターに渋好みのクリス・スペティングが参加しているのもそれを助長しているかと
- アーティスト: Mansun
- 出版社/メーカー: EMI Import
- 発売日: 2004/12/28
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一番の目玉は一枚目の4thアルバムとなるはずだった楽曲の数々だろう。一聴した印象では原点回帰しつつも、よりソリッドかつコンパクトに収めようとしているが、元より一曲にこれでもかとメロディを濃密に込めるのが特徴であったので、それを考えると随分とアクが抜けたようにも感じられる音だ
より1曲ごとの完成度を高めにきているというか、先祖がえりするかのようなロックの重厚さを思い出させてくれるヘヴィなサウンドに英国らしいお国柄と伝統が現れているようにも思える。が、反面、その試行錯誤が見え隠れもしていて、レコーディングが難航するのも頷ける内容でもあるか。
2,3枚目はBサイド集とデモ&レア音源なのもあって、割と肩の力を抜いた感じのものが多く、やはり世紀末という過渡期に現れた、オルタナバンドとしての側面が強く出ているのが印象的でもある。ブリットポップからロック・リヴァイバルへのミッシングリング的な立ち位置であった事を再確認できる。
後進のバンドで聞けるような壮大さや、クラウトロックフォロワーな音も聞けたりと、随所に可能性を感じられるので、どうしても「もしも」が付きまとってしまうが、バンドとしてはこれで「清算」という側面が強く出ているように感じられる音源集といった所。なおCCCD版があるので購入の際は要注意。
- アーティスト: Cream
- 出版社/メーカー: Polydor / Umgd
- 発売日: 1998/04/07
- メディア: CD
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ジャケットのカラフルさとは裏腹に、ブルースを基調とした陰影の濃いナンバーが並び、硬派な演奏が続く。その反面、コンパクトに収めたポップな感触も強まっているので、割り合いに聞きやすい。そういう点で彼らの中では最も完成度の高い作品だろう。短いながら代表曲の2など聴き所は多い。
プレイヤーとしてよりも三者とも、ミュージシャンとしての成長が著しい一枚であり、火花を散らすというよりはトリオとしての総合力の高さが出ている。なお6は次作に収録される「White Room」の原型にもなった一曲として知られる。入門盤としても推せる彼らの代表作だろう。