In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

音楽鑑賞履歴(2015年7月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴です。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
19枚か。
とりあえず前月よりは多く聞けたけど20枚には届かず。
メインで聴いたのはジャズかな。
他は相変わらず節操のないチョイスですけども。
なにはともあれ、8月もこの調子で聞いていきたい。
では、以下は感想です。


7月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:19枚
聴いた時間:435分

天地無用! 魎皇鬼 音楽篇 其の一天地無用! 魎皇鬼 音楽篇 其の一
・92年発表OST。同名OVAのサントラ。ミニドラマと劇中BGM、キャラソン&主題歌がザッピングするアルバム構成には時代を感じさせるが長岡成貢が手がける和風かつサイバーな劇伴とテーマは聞き応えあり。声優陣の歌うキャラソンも各キャラらしさがあり微笑ましく思う。ファンなら楽しめる一枚
聴いた日:07月01日 アーティスト:ビデオ・サントラ,高田由美,横山智佐,折笠愛,菊池正美
バップ・ビーバップ・ビー
76年録音盤(発表は78年)。アメリカン・カルテットの最終セッションを記録した一枚。オーソドックスなジャズの様式そのままに自由闊達なインプロヴィセイションで魅せる。方向性としては最初期のウェザー・リポートの正統進化的なサウンドだと思う。マナーを踏まえつつ、礼儀正しく暴れ回っている
ジャズと初期のクロスオーバー(フュージョン)が持ち得ていた神秘性、あるいは既存の構造を壊し、再度構築する事で得られる化学反応がココでも記録されているかと思う。躍動感もあるが、ここではリリシズムが勝っているか。キースの透明感のある旋律はジャズの革新性と普遍性を両立してるように感じた
聴いた日:07月04日 アーティスト:キース・ジャレット
BurnBurn
・74年発表8th。D.カヴァデールとG.ヒューズが新加入しR&B色が強くなった一枚。良くも悪くもこの時期の代表曲の1が目立つ作品だがサウンドは随分アメリカナイズドされた印象を持つ。ジャケットを見せずに聞かせたら、わりと英米どっちか見分けがつかないのではないかと思う。
英国特有のウェットさが後退して、新メンバーの持ち寄ったR&Bやファンクなどのアーシーな乾いた響きがバンドサウンドに影響を与えていて、バランスが良くなったイメージ。その一方で、7はブラックモアにとって後々の重要曲だが奥行きの深さがないのが英国的だなと思う。
演奏面ではJ.ロードのオルガンではなくシンセサイザーとI.ペイスのドラムがそれぞれ目立つ印象。新要素が組み込まれる中でメンバーにも新味を入れようという意識が見え隠れした作品。結果的にメンバーの個性が上手く混ざり合いバンドの新たな方向性が作られたアルバム。長続きはしなかったが。
聴いた日:07月05日 アーティスト:Deep Purple
99.9999.99
・82年発表1st。keyの服部ませいを中心にした、関西発のプログレッシヴ・フュージョングループ。Drに手数王の菅沼孝三が参加してる。当時流行だったライトフュージョンにNW色やトロピカルミュージックの要素が絡み、ポップな響きを与えているが、一筋縄でいかない捻くれたサウンドが特徴的
前述したカラフルな曲調が一見目立ち、独特の白さもあるのは間違いないのだが、そこにゴロっと加えられている陰りや不安感が隠し味になっており、突き抜けたポップにはならず、屈折した感覚が耳に残る。フュージョンの華やかさにサブカルな匂いも感じ取れる一風変わったアルバムだろう。
聴いた日:07月06日 アーティスト:99.99
KimonosKimonos
・10年発表1st。向井秀徳LEO今井のユニット。ポストパンクなどのボディ・ミュージックの影響が濃厚な一枚。徹底してモノトーンでインダストリアルな響きにも拘らず、ポップ的な素養を外さない辺りが非常に現代的に聞こえるし、無国籍なサウンドから伝わってくる和風なニュアンスも興味深い。
物侘しさがシンセのクールな音から感じられるの遠因なのかもしれないけど、中心メンバー二人に潜んでる日本人のテイストが滲み出ているんだろうと思う。日本より東京を「外の目」から覗いたような異国感もあるが、逆にそれを意識するようなイメージがある。幽玄というか 存外情緒的なアルバム。
聴いた日:07月06日 アーティスト:Kimonos
Soft ParadeSoft Parade
・69年発表4th。ホーンとストリングスの導入により、当時の流行色が出ている一枚。全体的にはオールアメリカンズミュージックとでも言うべきな内容で60'sポップスらしさが溢れている。ただこのバンドにそういう音が求められていたかというと、そうでなかったらしく。評価は芳しくない。
しかし、聞いてみるとやはりドアーズはドアーズであり、何か拭いきれない個性が滲み出ている事に疑いの余地はない。ホーンやストリングスが入った事でソウル色が強くなった印象もあったり、ブルーグラスやカントリーライクな楽曲もあったりでバラエティに富んではいる。次作次々作のアーシーな感触も。
過渡期な音である事は間違いないが盤を重ねるごとに、内に秘めた情念からだんだんと外に開けていき、行き場を失い、捜し求める様が9のふらふらとしたサイケに繋がっているようにも思う。地に足が着かない感じがこのアルバムのポップさの正体のようだ。ポップこそ鵺なのかもしれない。
聴いた日:07月08日 アーティスト:Doors
ByablueByablue
76年録音盤(発売は77年)。アメリカンカルテットのラストセッションの一部始終を収録。本セッションではキースがグループの崩壊に危機感を覚えて、メンバーに曲提供を募った結果、このアルバムの大部分はP.モチアンの作曲となった。この時の他メンバーの曲はアルバム「Bop-Be」に収録。
さて内容だが非常にコンテンポラリーな演奏。ケルンコンサートのソロピアノにコンボの演奏がついたような雰囲気といえば分かるだろうか。リリカルでミドルテンポのゆったりした趣きの中でクリアなトーンが響き渡る演奏。しかしスタンダードなプレイの中にアヴァンギャルドさが介在してるのも健在。
聴いた日:07月08日 アーティスト:Keith Jarrett
生還生還
・95年発表の唯一作。アリス・イン・チェインズのレイン・ステイリーとパール・ジャムのマイク・マクレディが組んだバンド。内容はストーナーロックを基調としたブルージーかつダークなサウンドアメリカンロック特有の乾いた感触が鬱々とした感情をよりダウナーに響かせていく。
その暗鬱なイメージはレインの独特な声と歌詞によるものが大きいが、彼の呪力的な存在感に引っ張られてバンドサウンドそのものにまで波及し、単なるへヴィロックに終始させない魅力を醸し出している。彼の苦しみこそブルーズだ。演奏陣もレインに負けることなく応えておりこの盤の出来を下支えしている
聴いた日:07月12日 アーティスト:マッド・シーズン
Boggy DepotBoggy Depot
98年発表1st。アリス・イン・チェインズの中核にしてギタリストのソロ処女作。Voのレイン・ステイリー以外のメンバーが参加してる事からも、あまり本家のサウンドと変わらないのではないかと思われるかもしれないが、実際聞いてみると雰囲気は大分異なった内容。ハードロックなのは変わらないが
レインの放つ絶望の磁場から解き放たれた事でここまでサウンドが明朗になるとは思いも寄らなかった。カントリーやフォークなニュアンスも感じ取られて、かなりオーソドックスなアメリカンロックだが、所々本家AICの荒んだノリが散見されて味わい深さが噛み締められるアルバムかと。
聴いた日:07月13日 アーティスト:Jerry Cantrell
パパ・ヘミングウェイ(紙ジャケット仕様)パパ・ヘミングウェイ(紙ジャケット仕様)
79年発表5th。ヨーロッパ三部作の第一作だが実際の録音はバハマとマイアミである。YMOファミリーとミカバンド勢が現地でレコーディングを敢行。ルードでトロピカルなサウンドがとてもスタイリッシュに仕上がっている一枚。時代を考えると非常にハイセンスな音で、一足早く時代を先取りしている
フュージョンを通過して、南国的な雰囲気を身に纏ったAORでもあり、加藤和彦の細い声による儚さも感じられ、制作状況、楽曲、演奏、イメージ、それら全てが「粋」と感じさせてくれる。その軽やかさが一方で日本的な情緒も生み出しており、味わいを複雑な物にしていると思う。聞いて損はない名作かと
聴いた日:07月14日 アーティスト:加藤和彦
うたかたのオペラうたかたのオペラ
80年発表6th。録音はベルリンのハンザ・スタジオ(デヴィッド・ボウイHeroesと同じ録音場所)。メンバーは坂本龍一抜きのYMO(と矢野顕子大村憲司)。前作のトロピカルさから一転、グッと退廃的なヨーロピアンムードが強くなった。インダストリアルな緊迫感のあるサウンドが特徴的。
5のみ東京での録音。それ以外はベルリン録音。キャバレーミュージック的な妖しさと加藤和彦のか細い歌声が非常にマッチしており泡沫的なメロディと共に以降のソロキャリアの路線が確立された一枚とも言えるかと。シンセという楽器に明確な意図を持って、演奏させているのは当時としては画期的だと思う
ジャケットはロシア構成主義をモチーフにしており、後にYMOがアルバム「テクノデリック」やウィンターライブで取り上げるのにいち早く先駆けている。その辺りのセンスの良さはずば抜けていた。演奏面では仕事とはいえこの当時の細野晴臣のベース演奏が十二分堪能できる、美味しいアルバムでしょう。
聴いた日:07月16日 アーティスト:加藤和彦
ベル・エキセントリックベル・エキセントリック
81年発表7th。ヨーロッパ三部作最終作。録音はパリ郊外の古城を改築したシャトゥ・スタジオ。前作の緊迫感は薄れ、退廃的な雰囲気はそのままにエレガントさと文字通りのエキセントリックなサウンドが聞ける。YMOの三人+サポートメンバーの矢野と大村がそろって参加しているのは本作のみ。
そのせいか、サウンドもシンセの比率が高くなっていて、ミキシングの段階で録音された音はほとんど加工処理されていて、生音はほとんどない。4,5,7,9の4曲は東京でのシンセを使ったセッションの録音。狂乱の20年代といわれたパリがコンセプトになっており、引き続き泡沫的なメロディが踊る。
しかし、このアルバムの価値はそれだけではない。81年というと参加メンバーであり、当時人気絶頂であったYMOが「BGM」と「テクノデリック」という中期の名盤をリリースした年であり、本作はこれらのアルバムを繋ぐミッシングリングとして存在しているといっても過言ではないと思う。
本作に漂うデカダンスな趣きとエキセントリックさはそれらの間を挟むようにして、混ざり合ったようなサウンドのように感じられる。そんな彼らのソリッドな演奏の傍らでパリの洒脱した淡い色恋を表現した加藤和彦のセンスのキレも相当なもので、アルバム自体も負けず劣らず先鋭的な一枚に仕上がっている
聴いた日:07月16日 アーティスト:加藤和彦
ThinkThink
68年録音盤。初リーダー作。キレのあるオルガンソウルジャズ。3はおそらく最も早くカバーされたバージョン(シングルのリリースが録音の2ヶ月前)。ベテランのジャズメンを従えてファンキーなサウンドを展開する若きリーダーの舵取りは素晴らしく、初めてとは思えないほど磐石な演奏が聞こえてくる
ミドルテンポで心地よくグルーヴするオルガンの音はどちらかといえばファンクに近く、先人の名手たちと比べるとインタープレイが迸るというより、ずっとクールに熱くウネるのが特徴的。もちろんジャズのアドリヴ的なプレイも見られるが音を練り上げる演奏なのが最大の見所。ファンクを通り越したジャズ
聴いた日:07月17日 アーティスト:Lonnie Smith
ムーヴ・ユア・ハンド+1(紙)ムーヴ・ユア・ハンド+1(紙)
69年録音盤。リーダー第二作。ドノヴァンの代表曲4のジャズカバーなんて珍しいものが聞けるが、基本的にリラックスしたムードのジャズファンク。横揺れのリズムの心地よいグルーヴ感に耳を傾ける一枚。性急なテンポの曲は一切なくオルガンの音色と低音が作り出すサウンドミルフィーユを堪能するべし
ちなみにニュージャージーのクラブでのライヴ録音のようなので、終始ジャムセッション的味わいが強いのもそういう一因があるからだろう。演奏がアツくなることなく、場の空気のウネリを音によって作り出している。聞く者も演奏する者もそこで形作られたグルーヴに酔いしれる。効きは遅いが中毒性高めだ
聴いた日:07月19日 アーティスト:ロニー・スミス
AfrodesiaAfrodesia
77年録音盤……と見せかけて、実は75年録音盤のオリジナル盤より1曲削除して、77年録音盤の「Funk Reaction」からB面3曲を追加収録した編集盤。情報がなくて検索した結果、オリジナルの内容は未リイシューである。ちなみに「Funk Reaction」はリイシュー済み。
そういうややこしいアルバムなのである上、この形になった際に一部曲名も原盤時のタイトルが変更になっているので尚のことややこしくなっている。オリジナルの収録でのリイシューを期待したいところである。その為か、追加収録分の5〜7と元々の収録曲1〜4の趣も相当に異なっている。
1〜4はファンキーさを踏まえつつ、当時のフュージョンブームに寄ったテクニカルさが光る演奏でスピリシュアルなオルガンが奏でるジャズファンクが非常にグルーヴィー。レアグルーヴ的にもオイシイ内容となっているのでコレらを聞くだけでも、十分に価値がある作品だろうと思う。
追加収録となった「Funk Reaction」のB面3曲の5〜7はディスコブームを意識したソフィスケイテッドなサウンド。ロニーも伝家の宝刀であるオルガン以外もシンセを演奏しており、スペーシーかつアーバンなフュージョンが聞こえてくる。……なんで抱き合わせにしてしまったのだろうか?
以上の説明からもだいぶ趣の異なったサウンドなので、ちょっと統一感のなさが気になってしまう。もちろん楽曲はどちらも素晴らしいのでなおさらオリジナルの内容で聞きたくなってしまう罪深い一枚かなと。繰り返していうが演奏はすごく良いし、ゴキゲンになれるプレイで大好きです。
聴いた日:07月20日 アーティスト:Lonnie Smith & George Benson
Mama WailerMama Wailer
71年録音盤。ホーン×4&パーカッション×3と大所帯なバンド構成で挑んだセッションで繰り広げられたのはファンキー&グルーヴィンなテクニカル寄りのジャズファンクパーティ。わずか4曲だが芳醇なグルーヴ感は他の追随を許さないくらいに脂の乗った演奏だ。ロニーのオルガンも雄弁に語っている。
しかし、この盤で目立っているのはロン・カーターチャック・レイニー(3のみ)のベーシストたちだ。ロンは聞こえてくる音で判断するとおそらくエレキベースの演奏だが存在感のあるプレイで貢献し、3のみ参加のチャック・レイニーのこの上なく、ウネるベースラインは一聴の価値がある。
どちらも非常に個性の強い、印象的なプレイをしており、このグルーヴィなアルバムを下支えしている。ちなみにDrもビリー・コブハムなのでパワーと重さも十分。4の長尺曲で聴けるクラヴィネットによるロニーのプレイもコズミックな響きを得て、深く深くグルーヴする。聞けば聞くほどカッコいい一枚。
聴いた日:07月22日 アーティスト:ロニー・スミス
White MusicWhite Music
・78年発表1st。英国が誇る偏屈ポップバンドの処女作。当時のパンクムーブメントに対応した性急なビートで演奏を繰り広げているが、聞こえてくる音は既にパンクとは一線を画す個性が炸裂している。アルバムタイトルからして「白人音楽」という人を食ったような題名であることからもそれは窺える。
改めて聞き返してみると、英国的な諧謔心や皮肉たっぷり詰まったヴォードヴィルやニッケルオデオンといった、大衆芸能的な下世話なポップ感覚がパンクのビートに乗っかってきているように思える。パンクがポップミュージックのルネッサンスだと思うとコレもまた一つの流れだったのではないかと。
それでいて、というより当然だがそういった影響下にあるサウンドだからこそ、とてもポップだが裏に潜む毒性もかなり強い。ジミヘンもカバーしたディランの6もいろいろ考えてみるとえらく皮肉を込めたカバーなのかもしれない。全体的にコリン・モールディングの野太いベースの存在感が強く印象に残る盤
聴いた日:07月28日 アーティスト:XTC
The Miseducation of Lauryn HillThe Miseducation of Lauryn Hill
・98年発表1st。グラミーを席巻した大ヒット盤。R&Bと言っても、そこにファンクやラテン、ヒップホップも絡み溶け込んでいるのでオルタナな感覚が非常にある一枚かと。反面、オフビートかつ停滞感のあるサウンドが当時のトレンドであり、時代を象徴していたように思う。指標的な一枚でもある。
ローリン・ヒルはラップも歌も両方、卓越した才能のきらめきを見せる。個人的にはラップより歌の方がより魅力的なものを感じるが、いまだにこのアルバムが21世になった現在もなお最新作なので、彼女の真価は明らかなになっていないと思う。何かしらのアクションがあれば良いのだが難しいのだろうか?
聴いた日:07月29日 アーティスト:Lauryn Hill
Don't Look BackDon't Look Back
・78年発表2nd。バンド史上最も短いスパンで発表されたアルバム。サウンド面は金太郎飴のような変わらなさのギター・オーケストレーションだが前作の密室感はあまりなく非常にライヴ感の強いポップなハードロックな趣が強くなった。収録時間も全ディスコグラフ中、一番短く、コンパクトに聴ける。
反面、前作の作り込みによる密度の濃さがなく、今作も楽曲や演奏自体は、作り込んでいるのだろうがどうしても全体的に軽い、という印象が付いてまわる。前作を希釈したような味わいか。一方でアメリカ的な能天気さは強い。とにかくハッピーでパーティなノリ。そこがこの盤の一番の魅力だろうと思う。
聴いた日:07月30日 アーティスト:Boston

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