In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

音楽鑑賞履歴(2015年11月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴です。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
この時点で去年購入分が半分くらい残ってるので、今年買った分はいつじっくり聞けるのだろうか。
と、いよいよ年の瀬が押し迫ってきてるこの頃です。
年末〜年始と新作のリリースラッシュもあるみたいなので、できるだけ早く聞きたいなあと思います。

では以下から、11月の感想。

11月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:18枚
聴いた時間:466分

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86年発表の唯一作。keyの小川文明とdrの手数王こと、菅沼孝三が目を引くジャズロック風味のプログレ。というか、ジョン・ウェットンの率いたUK(トリオ編制期)に影響を受けたサウンドと言えばより分かりやすいか。菅沼孝三のドラムも非常にボジオっぽい。だが模倣に終始しせず、独自色がある
UKの方も英国ならではの独特の湿度が感じられたがこちらも日本人特有の湿っぽさと仄暗さが表れていて、興味深い。リリース当時のデジタル感も重なることでテクニカルだが淡く儚く消えゆく音として響いてくる。ザッパテイストもそこかしこに見え隠れせていて、隠し味的役割を担っている。中々の好盤だ
聴いた日:11月02日 アーティスト:ブラック・ペイジ
KilmanjaroKilmanjaro
80年発表1st。ジュリアン・コープのキャリアデビュー作。NW/ポストパンクのセンスでビートルズをやるとどうなるかという回答的作品かと。一筋縄でいかない偏屈なメロディが独特のヌメりを持って、繰り広げられている。カラフルだけども陰りもあって、この屈折したポップ感覚が面白い。
ストパンク的な野太いベースラインにペケペケしたシンセ音のカラフルさが胡散臭くもあり、サイケでもある。というよりはポップさの裏側に潜む毒気に肉薄している点がこのバンドやジュリアン・コープ自身のセンスなのだろう。唯一無二とは言わないが、独特の音楽性が鈍く光る作品。聞く人は選びそう。
聴いた日:11月04日 アーティスト:Teardrop Explodes
An Electric StormAn Electric Storm
68年発表1st。白昼夢的ドリーミーポップ。テープ編集術とアナログシンセを駆使した、サイケ感の強いエクスペリメンタルポップミュージック。音の質感は前衛的だが、この手の音楽に皆無なメロディが存在しており、その面から言ってもかなり聞きやすく感じる。とはいっても大衆的でないので注意。
ビーチ・ボーイズのようなドリーミーなコーラスが鳴り響く一方でサウンドコラージュ的音響が重なり、脳ミソがグニャリと溶けそうな感覚に陥る。今の感覚で聞くと、ビーチ・ボーイズをポストロックリミックスされたような音で聞けるかと。不思議なリズム感がクセになるホップな前衛音楽です。
聴いた日:11月05日 アーティスト:White Noise
BARREN DREAM(紙ジャケット仕様)BARREN DREAM(紙ジャケット仕様)
・86年発表1st。ミスター・シリウスこと宮武和広を中心としたプログレバンドの処女作。ヨーロッパ音楽に果てしない敬愛を込めたメロディが珠玉の出来であると共に、宮武のマルチプレイヤーっぷりも堪能できる。のどかなジャケットとは裏腹にとことん切れ味の鋭いアンサンブルが収録されている。
音は日本らしからぬ、ヨーロピアントラッドに似たエキゾチックな趣で、メロディラインの芳醇さがこのアルバムの良さが窺えるほど。日本プログレ全体の弱点でもあった、歌声の弱さも大木理沙の歌唱力でカバーされており、ほぼほぼスキのない完成度だろう。30年前の作品だか古さがが全くない名盤だ
聴いた日:11月06日 アーティスト:MR.SIRIUS
ダージ(紙ジャケット仕様)ダージ(紙ジャケット仕様)
・90年発表2nd。前作に比べ、サウンドが非常にゴージャスに厚みを増した。一口で言うとド派手である。ほぼ一人の多重録音からバンド形式で録音された演奏だけあって、統制するのも大変な熱量を伴った力作だろう。濃厚なメロディがこれでもかと目まぐるしく変貌していくのは聞く方も一苦労だ
ヨーロピアン、アメリカンに洗練されたハードな演奏に止めを刺すのは後半の大曲、ナイルの虹だ。イメージの奔流、といって過言ではないバンドの全てを詰め込んだような過剰かつ壮大な演奏はかの大河の雄大さを思い浮かべずにはいられない。一世一代の作品で聞く方も相応の身構えして聞く一枚だろう
朴訥とした雰囲気のある1stと洗練されたド派手なシティサウンド然としたハードな2ndと、趣は全く異なるがどちらも傑作であることは疑いの余地はない。欲を言えば、長い沈黙を破って新作が出てくれることをファンとしては願うばかりだ。可能性は限りなく薄いが、いつかは聞いてみたい所だ。
聴いた日:11月07日 アーティスト:ミスター・シリウス
東京スカパラダイスオーケストラ東京スカパラダイスオーケストラ
89年発表インディーズ盤。これがバンドの処女作。LPレコードのリリースだったがメジャーデビュー後、CD化。日本にスカというジャンルを普及させた最初の第一歩が記録されている。曲もジャズやクラシック、クリスマスソングのカバーがメイン。全6曲16分強という内容ながら充実している。
バンマスにして、中心メンバーのASA-CHANG(後に脱退)を始めとしたメンバーのチームワークも盤石で、スカという音楽を楽しみ、人々に伝えたいという思いが演奏にも表れているようで、実際気持ちよく楽しめる音が魅力的。ファンキーな一面も垣間見せており、底の見えない実力も。
短い収録時間ながら何度でも繰り返したくなるのが最大の強み。スカの裏拍のリズムに身を委ねるのもよし、こっそり体を揺らすのもよし、じっくり聞き込むのも良い作品でしょう。素朴な味わいもあり、窮屈さから解放させられるそんなヌケの良さがある一枚。入門としてもお勧めできます。
聴いた日:11月09日 アーティスト:東京スカパラダイスオーケストラ
スカパラ登場スカパラ登場
90年発表1st。メジャーデビュー盤。スカを始めとしてオールディーズやスタンダードな曲のカバー、自作曲のラテン、ファンキーなR&B調、ロックステディなど、スカに限らずホーンセクションを構えた大所帯バンドの特性を最大限に生かしたごった煮感覚の内容が非常に楽しい一枚。ご機嫌なノリで◎
車のCMに使用されたカバー曲の4の親しみやすさもそうだが、昭和歌謡のカバーである8での故クリーンヘッド・ギムラのアクの強い歌声もバンドの個性に華を添えている。とにかく彼らの魅力が一気に開花した感のある陽気でカラフルな一枚。存外、ファンキーでカッコいい曲も目白押しのお得盤です。
聴いた日:11月10日 アーティスト:東京スカパラダイスオーケストラ
ライブライブ
91年発表ライブ盤。90〜91年に行われたライブのダイジェストが収録されている。22分だが密度は濃く、ライブの熱気が伝わってくる。すべてカバー曲という構成で、ポップな雰囲気というよりは都会的なダルでルードな雰囲気でスカ本来の魅力を押し出した演奏が聞ける。ほんのりと哀愁感も。
マンシーニや民謡、R&Bにブルース、ミュージカル曲等のカバー曲が立ち並ぶがラストのアニソンカバー7が彼らの胡散臭さや妖しげな趣を体現している良カバーでしょう。東京ならではのスカを生の演奏で提示する姿が思い浮かんでくる。そんなストレートアヘッドなライブ盤だと思います。
聴いた日:11月11日 アーティスト:東京スカパラダイスオーケストラ
FANTASIAFANTASIA
94年発表4th。バンド創始者でリーダーのASA-CHANGが脱退し、クリーンヘッド・ギムラが主導となって製作されたアルバムにして、彼の遺作となった一枚。スカを基調としているがジャズファンク色が濃厚になって、よりコンテンポラリーに聞きやすくなった印象を受ける。より洗練された。
アシッドジャズならぬ、アシッドスカとでもいうべき音楽でダンスフロア指向が強いか。ギムラの歌うvo曲6,10もメロウな質感のAORで味わい深い。反面、猥雑さやアクの強さは大分なりを潜めているのでその辺りの賛否はどうしてもありそう。全体的に華やかさには欠けるがスタイリッシュな佳作。
聴いた日:11月12日 アーティスト:東京スカパラダイスオーケストラ
遠野遠野
82年発表2nd。「遠野」というタイトルから分かるように「東北」がモチーフの作品。透き通った冷ややかな空気感が日本的情緒溢れるシンセサウンドと共に表現されている。東北の冬の厳しい寒さと険しい山肌の織り成す雄大な自然や伝承がメロディの密度のなかに織り込まれている。
ライトなフュージョンサウンドという向きの強いサウンドだが前述した東北、ひいては遠野への敬愛が叙情的に鳴り響いているので、安いっぽい感じはない。日本的な郷愁を喚起させるバンドミュージックとしてはかなり特異な部類に属しており、興味深い内容。YMOっぽさもかとなくありますが面白い一枚。
聴いた日:11月12日 アーティスト:姫神せんせいしょん
ガター&スターズガター&スターズ
00年発表3rd。前作の大ヒットによって時代の寵児となったノーマン・クックが放った次の一手は自らのルーツに回帰したごりごりのハウステクノサウンドオールドスクールな四つ打ちにドープな低音。粘っこいグルーヴ。そこに前作までで培われたパーティ感覚が重なって、レトロだが新鮮な味わいに。
ジム・モリソンのポエトリー・リーディングの音声を使った3、ジャズロックバンドのコロシアム使いの5などある一方、全体にファンキーを伴った前作の発展型な面もあり、より洗練されている。それでもアーシーな感覚は健在でクラブの密室的な暗さは皆無なのが特徴。よりアッパーでリラックスした一枚。
聴いた日:11月12日 アーティスト:ファットボーイ・スリム,メイシー・グレイ,ローランド・クラーク,アシュレイ・スレイター,ブーツィー・コリンズ,ロジャー・サンチェス
スイートプリキュア(音符記号)ボーカルアルバム(1)スイートプリキュア(音符記号)ボーカルアルバム(1)
11年発売の同名アニメのキャラソングアルバム第1弾。音楽が作品のモチーフになっている事もありストリングスやロックサウンドがかなり目立ち、元気一杯の楽曲が揃った一枚。音像が大体一緒の雰囲気なので全編通して聞くと聞き疲れてしまうかも。そのくらいエネルギッシュなのも確か。
個々のキャラソングはイメージにあった曲、OP&EDの歌手が歌う楽曲もキラキラしたメロディが揃っていて、その一つ一つは非常に完成度の高いポップソング。特にOP(とアルバム全体)のカラッとしたロックサウンドとEDのモータウンライクなR&Bが楽しい。メリハリさは欠けるけど良い作品です。
聴いた日:11月18日 アーティスト:TVサントラ
ドキドキ!プリキュアボーカルアルバム1ドキドキ!プリキュアボーカルアルバム1
13年発売の同名アニメキャラソングアルバム。わりとバラエティに富んだ楽曲構成。音の感じはさすがに最近のものだが、曲のノリと雰囲気は80年代末〜90年代頭の打ち込みポップやソリッドなギターサウンドな趣があって、時代が一巡りして、かえって新鮮に響いている。バランスの良い一枚。
キャストの歌もまずまず。キャリア的には確か一番浅い渕上舞さんが一つ頭抜けた歌唱力を見せていて、面白かったり。ファンの人なら、問題なく楽しめる内容で単体のアルバムとしても非常に出来の良い作品だと思います。曲調のジャンルが多彩で、メリハリがあり、聞きやすい。ジコチューの曲も乙なもの。
聴いた日:11月19日 アーティスト:TVサントラ
映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス テーマソング映画 ドキドキ!プリキュア マナ結婚!!?未来につなぐ希望のドレス テーマソング
13年公開の同名アニメ劇場作品のテーマソングSG。幼馴染み組キャラとトランプ王国勢の曲がそれぞれ一曲ずつ収録。1はストリングスを基調とした、三人の友情を歌った曲、2はギターメインの勇敢なイメージのある曲。映画本編で使用のは1のみだが三人の関係性を知っているとより楽しめるかと。
聴いた日:11月20日 アーティスト:サントラ
Ramones (Dlx)Ramones (Dlx)
76年発表1st。ご存じUSパンクのパイオニア。そして同時多発的に勃興したパンクムーブメントのおそらく最初の一発目。The Damnedより1年早い。攻撃的でスピーディなサウンドだが今聞くと存外ポップでダンサブル。キナ臭さはなくて、不良少年が能天気にバカやってる感じがすごく楽しい
パンクは初期衝動とか社会への不満や批判を込めているとかよく言われがちだけど、この盤は悪ガキどもがモテたくて、ご機嫌なロックバンドをやってる雰囲気が伝わってくるし、過去のインタビュー記事見る限り、メンバーもそんなノリで始めたらしい。なんでもベイシティーローラーズをやりたかったそうな
実際、聞いてみると70年代前半の小難しさの蔓延したロックを撃ち抜く形で5〜60年代のポップなメロディを貫く演奏してて面白いと思う。オーダーメイドにまで高まってた商品価値を大量生産方式を発明して、一気に親しみやすい価値にまで引き下げた位のことを平然とやってのけているのがスゴい。
スピーディでラフでシンプル極まりない演奏。歌詞も社会に訴えかけるわけでもない、他愛のないことばかりでその辺りのドライさと硬派なノリが他とは一線を画してる所と言えばそうかも。徹底して、工業製品的に寸分違わない「ロック」を送り続けたのが彼らの「パンク」な所だったんじゃなかろうか。
聴いた日:11月23日 アーティスト:Ramones
Rocket to RussiaRocket to Russia
77年発表3rd。緩急も加え、演奏とポップさに磨きがかかった一枚か。奇をてらうことなく、どこまでもシンプルにかつ、ストレートに自分達の音楽をひたすらに量産していく様はストイックで一貫している。聞き続けていると常習性が出てくるのでやはり彼らなりのグルーヴが出てるんだろうなあと思う。
炭酸飲料のように刺激的なサウンドで甘くもあるけど、決して誰にも媚びていない感じが非常にクールだし、それ以前に時流を気にもかけていない感じが音を風化させていないのかもしれない。その辺り、ファンクやミニマルのような繰り返しの生み出す快楽は間違いなくあって、ひたすらに能天気にハッピーだ
聴いた日:11月25日 アーティスト:Ramones
Leave Home (Dlx)Leave Home (Dlx)
77年発表2nd。サウンドがよりハードになって、スピード感よりザクザク刻まれるギターリフの重厚感がポップな厚みとなって響いてくる。ビート重視とか言われるとそうではなくて、工事機材で音楽を鳴らすような感覚で騒音じみたメロディが重さを伴って、炸裂してる。ポップだけど重みがある。
フィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドDIYで構築してるような感覚。重量感は十分、疾走感ももちろんあって、ハイウェイをバイクか車でかっ飛ばしてる快感がある。ノイズの厚みは後のグランジとかシューゲイザーにもリンクしてるがラモーンズの音楽はひたすらにポップで喧しさを追求してる
あとこのバージョンだと76年にハリウッドのロキシーで講演したライヴが収録されていて、お得感があります。ライヴバンドとしても評価の高い彼らの一面を見ることが出来る点でも興味深い収録。やってることはまったく変わらないんですけどねw
聴いた日:11月26日 アーティスト:Ramones
DrivesDrives
70年録音盤。BN最終作。オルガンプレイヤーだけあってコンボ編成がファンクっぽいんだけど、面白いのはそれでもジャズの即興スタイルが生きていて、演奏は非常にファンキーでグルーヴィーなのだが、一方でこれがジャズであることを強く意識させられる点だろうと思う。なんかスピリチュアル。
そんな面でかなりレアグルーヴ的なのだが時代がクロスオーバーに移り変わる過渡期のの未分化さが感じられるジャズとして非常に興味深い。躍り狂う一方で感情の深い方へも潜り込むようなファンキーさは他に類を見ない感じがする。かなり個性豊なファンキージャズ。カッコいい演奏が聞けます。
プレイ面ではDrのジョー・デュークが切れのあるリズムで鮮烈だ。黒人特有のしなやかにハネるビートはブレイクビーツ的で美味しいオカズが盛り沢山。もちろんオルガンも負けてない。定番のカバーソングではBS&Tの2も面白いがマイルスの3やジミー・スミスも演奏した5も捨てがたい。
聴いた日:11月29日 アーティスト:Lonnie Smith

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