In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

#03 好きなアニメ&マンガヒロイン。(おまけでゲームヒロインも。)

こちらでは恐ろしく久々の更新です。実に4年ぶり。

今回はTwitterの「#1ふぁぼごとに好きなキャラを晒すからどんどん来いよ」のハッシュタグを利用して、アニメとマンガの好きなヒロインを呟いたまとめです。簡単に言えばTwitterの呟きまとめです。

11ふぁぼもらったのでそれぞれ11人ほど取り上げております。選んでなんですがまあ、なんかこう性癖というか嗜好がよく表れているようなそうでないような。自分としてはいつも人に説明する時に好みのラインの説明に困る嗜好だと思ってたんですけどもあながちこれを眺める限り、そうでもなかったりするんでしょうかね・・・?もちろん取り上げたキャラ以外にも好きだったり好ましいキャラもいます。今回のチョイスも基本思いつくがまま、です。それでは以下よりご覧ください。

 

 好きなアニメキャラ11人

 

好きなマンガヒロイン11人

 

以上合わせて、22名のキャラ紹介でした。なんといいますか、「母性」や「女らしさ」をあまり求めていないのと、芯の強さだったり、身体的な強さや二面性といった辺りに傾向は見られるのかな、と。やってみると面白いものです。

男性キャラも好きなキャラ11人で考えていますが、それはまた後日。そう長くはお待たせしないつもりです。ではまた。

※ついでですが、ゲームキャラで11人選ぶと以下のようになります。

こんな感じです。まあ、ついでのおまけというところで。

音楽鑑賞履歴(2017年8月) No.1126〜1135

月一恒例の音楽鑑賞履歴。もう9月ですよ、早いなあ。
12枚(※三枚組含めて)
毎週の映画鑑賞と後半体調を崩したせいであんまり聞けてませんね。
しかし、今年の夏はあまり晴れ間が少なくて、夏っぽい感じが余りありませんでしたね。
そう言っても気温は高くて、じめっとした天気が多かったのですごしやすかったかといわれるとそうでもなく。
9月もこの調子で寒くなっていくのかなというこの頃。
今回はUK特集です。ディペッシュモード特集でもありますか。
じめっとした夏らしく(?)、ウェットなものを聞いていたようにも。
9月も地道に聞いていきます。
というわけで以下より感想です。


Construction Time Again

Construction Time Again

83年発表3rd。前作の耽美なアート感覚にインダストリアルな趣が重ねられて、より硬質なサウンドとビートが提示された一枚。とはいっても、シンセの音の厚みはまだ薄く、どこか軽やかさの残る雰囲気が今、聞くと独特なバランス。煩雑とした工業的な鉄くささと宗教的な清廉さが入り混じった印象。
この当時、日進月歩な勢いだったシンセサイザーの進化速度に比例してか、音色はさらに増え、ブラスシンセなども聞けるし、リズムパターンも格段に広がった。全体にインダストリーな硬質さが漂っており、前作の繊細な印象とは打って変わって、マッシヴな印象が強く、耽美さも肉感が増している。
こういった音の印象に東洋的なリズムパターンなども加わり、ヨーロッパに限られないエスニックな情緒をも取り込んで、エレポップに纏め上げる手腕の冴えを見せてている。初作のポップな姿は完全に払拭されて、新たな音楽性を確立したアルバムとして記憶される一枚だろう。深みはまだないが味は定まった。

Black Celebration

Black Celebration

86年発表5th。従来の路線にゴシック色が上乗せされた感のある作品。インダストリアルなサウンドが深化する一方で、サンプリングマシーンの台頭もあったりで、生楽器の音が挿入されたことで、若干硬質さが和らいだ印象。この辺りは同年発表のニュー・オーダーの「ブラザーフッド」とも重なる作りだ
だが彼らは刹那的な快楽性を求めることなく、求道的に自らの音楽性を掘り下げている。ゴシックというとなんとなく幽玄な儚さも付随してくる印象だが、従来の無機質かつ工業的な音が儚さより実像も浮き上がらせており、質量を感じさせる。翳りのある音が物質になって、迫ってくる感覚に囚われる。
そうやって深化した音とインダスリアルビートからはその無機質さゆえに一種の荘厳さというか、宗教的な神聖さを図らず纏っているように聞こえる。アルバムタイトルもそういった感覚にメンバーが自覚的だという表れなのだろう。質感はダークだが宗教的な慈愛と優しさも滲み出ている好盤だ。

Music for the Masses

Music for the Masses

87年発表6th。前作のダークな印象から、ストリングスや生楽器の比重を高めて、光が淡く差し込んでくるブライトリーなサウンドとなった作品。前作が真夜中だとすれば、本作は夜明け前の透明感のある趣。なお本作からデジタル録音。重苦しさが抜けて、サウンドスケープ的な奥行きのある景色が広がる
この広がりのある透明感は本作のプロデューサーの一人、デヴィッド・バスコム(ピーター・ゲイブリエルティアーズ・フォー・フィアーズなどのレコーディング・エンジニアを担当)によるものかと思われる。実際、ここまでの作品の中でも一、二を争うくらいに明るい音だろう。
だが前作で見せたゴシック色も消えておらず、シンセの比重が減り、ストリングスや生楽器の響きが増した事で、音の印象を変えつつも宗教的な荘厳さは維持している。漆黒の闇から、透き通る冬空に差し込む光のような雰囲気を感じる一枚。ここまでの作風の集大成的内容だろう。ポップよりアートさが印象的

Violator

Violator

90年発表7th。新たなフェーズに入った感のある作品。最高傑作との評も高く、全米でミリオンセラーになったことからも本作で世界的なトップバンドの仲間入りをした最大のヒット作でもある。サウンドはメインのシンセサウンドが前作から比べても、格段に重くなり、ずっしりとした印象を受ける作り。
ゴシック色も継続し、デカダンな趣と陰鬱さが加えられた事で従来のダークでインダストリーな持ち味はさらに進化した。色の黒さにグラデーションがついて立体感が増したのが彼ららしい多彩さになっていると思う。今までなかったエレキギターも重ねられ、音の分厚さも初期とは比べものにならない。
一方でこのダークな趣がポップに響くのが興味深い。重くはあるのだが、シンセサウンドの密度が足取りを軽やかにしており、のど越しのいい響きで鳴っているためなのだろう。同時に全体に通じる仄暗く、物憂げなトーンはブルージーにすら感じられる。ゆえん「泣き」のトーンといわれるアレだ。
そのブルージーさはおそらく欧米の人々の琴線に触れるものであり、彼らより先立つバンド、例えばピンク・フロイドなどの持つ質感と同種のものだと感じられた。そういう点はエレクトロ方面からのロック的なアプローチの先駆とも言える。彼らの代表作はそんな普遍性が内包した一枚なのだ。

Red Thread [限定スペシャルプライス仕様・ボーナストラック2曲・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-156LTD)

Red Thread [限定スペシャルプライス仕様・ボーナストラック2曲・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-156LTD)

06年発表1st。マンチェスター出身のバンド。同郷らしく、ローゼス系のグルーヴがかった演奏にザ・スミスの系譜にも通じるネオアコの趣も感じるサウンド。が、ニュー・オーダージョイ・ディヴィジョンのエレクトロな感触もごった煮になっていて、後発のバンドらしいアップデート感も印象に強い。
同郷で同期バンドにリヴァプールの気鋭レーベルであったデルタソニック所属のThe Longcutがいて、彼らと似通っているサウンドともいえるか。テクノミュージックをロックとして再構成というか、ロックとしてテクノを演奏するバンド、という少し変わったアプローチをしているのが特長だ。
先に語ったように、ザ・スミスのようなネオアコサウンドのテクスチャーを、アタックの強いベースラインで導いて、テクノのレイヴ感を出そうとしているのが独特で、ローゼスがテクノをロックに飲み込もうとしていたのに対して、その辺りの価値観がとてもフラットなのが当時らしいアプローチ。
ロックもテクノも関係なくより純度の高いダンスミュージックを人力の演奏で抽出しようとしてる試みは振り返ってみれば興味深いし、同じアプローチでブレイクしたフランツ・フェルディナンドの発展型として捉えると、荒削りながらも聞き応えの力作だろう。クラブの密室感と切なさもよく出ているかと。

Vice & Virtue [ボーナストラック・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-213)

Vice & Virtue [ボーナストラック・歌詞対訳・日本語解説付き国内盤] (BRC-213)

08年発表2nd。前作の趣にクラウトロックシューゲイザー的なシーツ・オブ・サウンドが甘く深遠に響く一枚。前作よりもロックミュージック的なダイナミズムが増して、スケール感が大きくなったようにも。テクノやエレクトロの高揚感をロックのグルーヴに落とし込むサウンドも堅調さがある。
端的に言えば、The Horrorsの2ndに非常に近いアプローチなのだが、もちろん発表は本作の方が1年早い。ミニマルなハンマービートのグルーヴ感にシューゲイザーの密な空気感とネオアコの疾走感や瑞々しさが絡み合っているのは、前作でも語ったようにマンチェスターという土地柄を感じる
そんな演奏のアプローチが悪くない一方で、歌メロの弱さが若干目に付く印象で、クオリティは高いのだがキャッチーさと印象に欠けるのが惜しくもあるか。事実、バンドはこのアルバムと一枚のEPをリリースした後、活動を休止してしまう。興味深い可能性のあるバンドだっただけに残念だが良盤な一作だ。

ソウラライズド

ソウラライズド

04年発表4th。前作の醒めたエレクトロ色を踏襲しながらも、よりエスニックでダビーな感覚を強めてきた作品。特にダブ特有のエコー処理などはしてないが、サウダージな印象やダルなギャングスタ感覚が多用されているホーンや電子音と重なって、サウンドの味わいに深みを出している。
イアン・ブラウン本人も自らの声の特質を知っているのか、この抑揚はないが引き付けられる声色を、楽曲の中に上手く配置している印象でサウンドも自然とドープな趣へ向かわせている。閉塞した闇の中で光を見出すように感情のこもらない歌声がクールに響き渡るのが非常に興味深い一枚であり、傑作だろう
Elastic Rock Ltd.Ed. (Spec)

Elastic Rock Ltd.Ed. (Spec)

・70年発表1st。英国ジャズロックバンドの処女作。ソフト・マシーンとともにその双璧の一角を担ったバンドとしても知られるが、ソフト・マシーンの出自がサイケデリック・ロックである一方、こちらはよりジャズとして純度の高いクロスオーバーを最初から志向していたように思える内容だ。
メンバーの何人かが後年、件のソフトマシーンに流入していくのもあって、肌触りとして後期ソフトマシーンの硬質でシャープなジャズロックを早くも標榜している。このタイトな感覚は、中心人物のイアン・カーがトランペッターというのもあり、リー・モーガンジャズロック路線にも肉薄している印象。
そうはいっても、リー・モーガンの音に比べると、ロック的なダイナミズムとボトムラインが強調されていて、その力強さがジャズというよりロックだという事を象徴しているように思える。更には後期ソフツの、アブストラクトな趣はここではさほど強く出ておらず、そういう点でも骨太な音が聞こえてくる。
英国のバンドの割に音も割りと乾いているので、結構スタイリッシュな音に纏まっているのではないかと思う。しかし、それゆえにソフツのミステリアスな響きと比べると、印象は弱くなってしまうか。全体的にシブい魅力の良盤か。ギターに渋好みのクリス・スペティングが参加しているのもそれを助長しているかと

Kleptomania

Kleptomania

04年発表未発表音源集。幻となった4thアルバムの未発表セッション音源を含む、3枚組のマテリアル集。バンドが瓦解してしまった後、ファンの署名活動を受けて発表されたものでまさしくお蔵だしというにふさわしい内容だろう。1枚目が4thアルバム、2枚目がB-side集、3枚目がレア音源。
一番の目玉は一枚目の4thアルバムとなるはずだった楽曲の数々だろう。一聴した印象では原点回帰しつつも、よりソリッドかつコンパクトに収めようとしているが、元より一曲にこれでもかとメロディを濃密に込めるのが特徴であったので、それを考えると随分とアクが抜けたようにも感じられる音だ
より1曲ごとの完成度を高めにきているというか、先祖がえりするかのようなロックの重厚さを思い出させてくれるヘヴィなサウンドに英国らしいお国柄と伝統が現れているようにも思える。が、反面、その試行錯誤が見え隠れもしていて、レコーディングが難航するのも頷ける内容でもあるか。
2,3枚目はBサイド集とデモ&レア音源なのもあって、割と肩の力を抜いた感じのものが多く、やはり世紀末という過渡期に現れた、オルタナバンドとしての側面が強く出ているのが印象的でもある。ブリットポップからロック・リヴァイバルへのミッシングリング的な立ち位置であった事を再確認できる。
後進のバンドで聞けるような壮大さや、クラウトロックフォロワーな音も聞けたりと、随所に可能性を感じられるので、どうしても「もしも」が付きまとってしまうが、バンドとしてはこれで「清算」という側面が強く出ているように感じられる音源集といった所。なおCCCD版があるので購入の際は要注意。

Disraeli Gears

Disraeli Gears

・67年発表2nd。前作に比べ、格段に飛躍した作品でジャケットアートワークからも察せられるようにサイケデリック色が盛り込まれた作品。自作曲も格段に増えた一方で、インタープレイは鳴りを潜め、楽曲の完成度に重視した内容となっている。今聞くとサイケというより渋めのポップという印象。
ジャケットのカラフルさとは裏腹に、ブルースを基調とした陰影の濃いナンバーが並び、硬派な演奏が続く。その反面、コンパクトに収めたポップな感触も強まっているので、割り合いに聞きやすい。そういう点で彼らの中では最も完成度の高い作品だろう。短いながら代表曲の2など聴き所は多い。
プレイヤーとしてよりも三者とも、ミュージシャンとしての成長が著しい一枚であり、火花を散らすというよりはトリオとしての総合力の高さが出ている。なお6は次作に収録される「White Room」の原型にもなった一曲として知られる。入門盤としても推せる彼らの代表作だろう。

音楽鑑賞履歴(2017年7月) No.1112〜1125

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
14枚。
先月から継続して映画を週一で見続けているので、その分CD聞く時間が削られてる感じですね。
まあ致し方ないとはいえ。
月の前半は日本特集、後半はイタリアンプログレ特集です。綺麗に分かれた感じ。
これを書いてる時点では、抜けの悪い天気が続いてて、梅雨明けしたんだかよくわからない感じ。
ここの所、夏らしい太陽の照りつけるような暑い一日に出会う回数が少ないですね。
もう少しすれば、夏らしくなるんでしょうか。
8月に入るとイベントやお盆もあるので、周囲は慌しくなりそうですが、まあマイペースに行きたいと思います。
というわけで以下より感想です。



アウトレイジ

アウトレイジ

・09年発表10th。12年振りの4人体制復帰作。そしてバンドの原点であるスラッシュメタルに回帰した作品。のっけからフルスロットルのスラッシュチューンでその復活を高らかに宣言しているし、復帰したVoの橋本直樹が10年近く業界から離れていたと思えないパワフルな歌声を披露している。
一方、橋本のいなかった10年もの間、コンスタントに活動を続けていた演奏陣の実力も年月の分、研ぎ澄まされており、その強靭かつマッシヴなサウンドは海外のスラッシュメタルにも引けを取らないものだろう、ファストナンバーだけでなく緩急をつけたサウンドは脂が乗り切っていることが窺える。
一口にスラッシュといってもバンドサウンドの変遷もあったように、様々な要素が溶け込んだ上でのものであり、オルタナやハードロックやハードコア的な趣も感じられる。そういった含蓄の深さがバンドを熟成させ、その結晶が本作だといえるだろう。名実ともに第二の出発点となった名作アルバムだ。

ジェットジェネレーション

ジェットジェネレーション

99年発表5th。世界を股に駆けて活躍する和製ガレージロックバンドのメジャー第二弾。端的にモーターヘッド×ラモーンズ÷MC5なガレージサウンドだが、何よりも驚異的なのは鳴り響く轟音ギターと演奏に込められた凄まじいほどの熱量だ。ほとんどの作品が一斉録りの一発録音だからこその音だろう
その一発勝負ゆえの緊張感と爆発力、あるいはライヴ感の生々しい衝動を収めようとしているし、そういったロックンロールから発せられるエネルギーを常にぶち込み続けているのが彼らの信念だろうし、矜持なのだと感じられる。ロックの魔力的快楽でぶっ飛びたいのなら格好の作品。油断すると火傷する。

ZAZEN BOYS4

ZAZEN BOYS4

・08年発表4th。前哨戦のシングルを経て、本作から本格的にシンセサイザーが導入され、ポストパンクからボディミュージックやらエレクトロファンクに移行したような、洗練されたサウンドに変化している。その背後にはプリンスがいたり、マイルスがいたり、とそんな気分にさせる奥行きの深さがある
一方でポストパンクっぽい無機質さも残っており、ファンクらしい弾力に富みながらも、芯や根っこは非常に硬質な雰囲気を漂わせている。全体的にはダンスグルーヴを強調しているような作りで、不安を携えながらも踊らにゃあかん切なさや寂寥感が同時に腹と腰に響いてくる。狂いながらも醒めている感覚。
その醒めた感覚で方向を定めながら、都会を生きる、険しさやギリギリな感覚が滲み出てくるのがこのバンド、というより向井秀徳の鋭さのような気がする。そういう点ではナンバガから地続きだし、より個性が剥き出しになって研ぎ澄まされている音だと思う。盤を重ねる度にその確度を上げている。良作。

LIVE!!

LIVE!!

00年発表ライヴ盤。国内外各所で行われたライヴ音源のベストアクトを取りまとめた一枚。かのNY、CBGBsでの音源も収録されている。スタジオ録音でもライヴでも彼らのやることはあまり変わらず、爆音ガレージロックが鳴り響いている。熱気と勢いではこちらに軍配が上がるか。
ブルースやカバー曲も織り交ぜながら、ライヴならではのドライヴ感が伝わってくる内容で、ミスタッチや弦が切れてもお構いなく、その場の熱気が押し通すエネルギッシュなパフォーマンスが聞ける。音圧でいえば、スタジオ録音には及ばないが演奏に全力投球する完全燃焼スタイルが魅力的な一枚だ。

Synchronized Singing

Synchronized Singing

05年発表2nd。R&B調のオーガニックサウンドから、エレクトロサウンドに比重を寄せた一枚。エレクトロに比重は置きつつも、エスニックやスパニッシュなどなどジャンルにとらわれない音楽を繰り広げている印象。抑揚をあまりつけないというか、わりとオフビートな歌声で鳴らすのが特徴だろうか。
後の作品でシティポップ路線へとシフトしていくように、エレクトロのクリアなトーンも相俟って、かなり洗練された音に聞こえる。その一方でASA-CHANGをフィーチャリングアーティストに引っ張ってくる抜け目の無さみたいのも感じられて、一筋縄ではいかない作り。
音の方もフロア仕様というよりは、彼女のパフォーマンスに注力している分、音楽性は高いように思う。前作の重苦しさはなく、どちらかといえば羽が舞い上がるような軽やかさと天を突き抜けるがごとき透き通った雰囲気に支配されている。より独自色を高めたという点では野心的かつ洗練された一枚かと。

Sunshine

Sunshine

09年発表5th。AORやライトメロウなフュージョンサウンドをバッキバキのエレクトロサウンドでコーティングした、爽快感溢れる一枚。クラブハウスの密室感など、どこ吹く風で太陽が照り付ける、澄み渡った青空が広がったビーチサイドで聞きたくなるような開放感が気持ちいい。歯切れのいい音。
昨今、80年代やバブル期のサウンドリバイバルしているが、10年近く前に先駆けて提示しているのに驚く。80sサウンドを汲み取り、EDMに再構成しているその手腕と視点の鋭さは顧みられてもいいと思う。ダークな趣が一切なくブライトサイドな音はとても眩しく輝かしい。
文字通り「サンシャイン」なサウンドはとてもポップで懐かしくも新しい響きを伴っている。元々開放感の強いビートとサウンドを提示していた感があるがそこへ煌びやかさやスタイリッシュさも加わり、より洗練された向きを感じる傑作だ。日本人という枠組みを軽々と超えたスケールの大きさが凄い。

卓球道

卓球道

03年発表1st。コナミ音ゲーBEMANIシリーズ界隈で活躍するシンガーの初作。知ってる人はアニメ「ボンバーマンジェッターズ」の主題歌を歌ってる人と言えば分かり易いかもしれない。収録曲はpop'n music等の提供曲がメイン。スタイリッシュとは無縁の暑苦しいサウンドが面白い
このアルバムはすわひでお自身が作詞した、ペーソスあふれる日常感をコミカルに描いたものとなっており、実体験や駄洒落や下ネタなどを駆使したクレバーに見えないがかなり知的に構築された歌詞が特色であり、アルバム全体を支配する持ち味となっている。笑わせて面白がらせるエンタメ気質を強く感じる
そこにgood-coolこと、古川竜也の手がけるファンキーかつホットでサイバーな楽曲が絡み合い、曲自体もカッコいいが歌詞の情けなさや絶妙さがマッチングして、独特な雰囲気を作り上げている。面白ければパンツ一丁で何でもするような気概の高さも感じられる、なかなか侮れない良作かと。

Signalize!/カレンダーガール

Signalize!/カレンダーガール

12年発表1stSG。TVアニメシリーズ「アイカツ!」の第1期OP&ED曲シングル。作曲はそれぞれ、OPをCoalter Of The Deepersで知られるNARASAKI、EDをMONACA田中秀和が担当。作品の華やかなノリを彩る楽曲となっている。
前者は昨今の流行であるEDM調のエレクトロポップ、後者は80sフレーバーの強いファンキーなダンサブルナンバー。特に後者は、シリーズ全体を貫く楽曲として長く使用されるのも相俟って、ファンにとっては特別な一曲だろう。どちらも日本のポップシーンにも呼応したレベルの高い楽曲だ。

Symphonic Suite AKIRA

Symphonic Suite AKIRA

88年発表10th。同年公開の長編アニメーション映画「AKIRA」の劇中曲を収録した作品。OSTもほぼ同内容だが、向こうは本編の台詞が挿入されており、より本編を追体験できる仕様になっているのに対して、こちらは楽曲のみにフォーカスした構成。芸能山城組としての純度はより深まっている。
ケチャやアフリカンビートや読経、ねぷた祭りの掛け声、などあらゆる民俗音楽が有機的にミックスされ、唯一無二の宗教感覚と思想の猥雑なカオスが映画本編の退廃と繁栄が入り混じった未来都市の情景と混ざり合い、強烈なサウンドを提示するゆえに作品との強い結びつきを感じる。
多様的な価値観が同居する感覚には、雑多なアジアンテイストとサイバーパンク的な世紀末感も折り重なり、切っては切り離せない音楽となっている。この驚異的な音塊は言葉を尽くしても足りないほどの存在感と魅力を放っている。色褪せる事のない普遍さを保った名盤だろう。録音もすこぶる良好な一枚。

Forse Le Lucciole Non Si

Forse Le Lucciole Non Si

・77年発表1st。イタロプログレの中でも特にシンフォニックで幻想的な趣の強い名盤の一つ。ツインギター、ツインキーボードを含む7人編成の大所帯バンドで、どちらかと言えば、ジェネシスのようなアンサンブル重視の構築的な演奏を繰り広げる内容となっている。イタリア特有の美的感覚を感じる
聞こえてくるサウンドはとにかく優雅で繊細だ。軽やかにソシアルダンスを踊るような、クラシカルな響きと繰り広げられるファンタジックな音世界は芸術の国と呼ばれる、イタリアのお国柄がよく表れている。邦題の「妖精」というのもアルバムの儚くも優美な印象に起因するものだろうと思われる。
発表後、アルバムは長らくこの一作のみであったが90年代に入って突如再結成の上、新作をリリース、さらに10年代に入って、もう一枚アルバムをリリースしているという不思議な活動履歴だがそんな気ままさもイタリアらしくはあるか。イタロプログレの美メロ路線の名盤として燦然と輝く一枚かと。

Storia Di Un Minuto

Storia Di Un Minuto

・72年発表1st。イタロプログレの代表的バンドのひとつ、PFMの初作。イタリアらしい光と影のコントラストの強い、なおかつ超絶技巧を駆使したアンサンブルが繰り広げられる内容はイタロプログレの特徴を早くも捉えており、垢抜けないながらもその魅力は強く打ち出されている。
本作ではイタリアの牧歌的、あるいは都市部ではなく田園風景が広がっていそうなローカルな地域の趣が見え隠れしており、スタイリッシュさとは無縁な朗らかな雰囲気とクラシカルで厳格な雰囲気が混ざり合って、濃縮されたイタリアの原風景を想起させられる。陽気なメロディにも闇を孕んでいる様な感覚
陽気である一方で、アコースティックになると英米のフォークやトラッドとも違った趣の幻想的な旋律が荘厳に鳴り響く。祝祭の華やかさの裏に潜む、神秘的な闇の魅力とでも言うべきか。先述したそういうコントラストを早くも確立しているのが窺える。垢抜けない面は残るが初手にして傑作といえる一枚だ。

Per Un Amico

Per Un Amico

・72年発表2nd。前作からさらにテクニカル志向になった感のある一枚。それゆえに朗らかな陽気さは若干薄らぎ、シリアスさが加速した。もちろんイタリアの風土を感じさせる、開放的な雰囲気ははあるのだがより厳格さを求めた作りになっている。そういう点では前作の作風を推し進めた格好だ。
もちろん躍動感に満ちた、幻想的かつ優雅な趣も感じるテクニカルな演奏は聴き応えはあるのだが、この時代のプログレが同じ問題を抱えていたように、芸術性が高くなるにつれて、大衆性が失われる傾向があり、その重厚感が若干滲み出してる作品でもあるのは疑いは無いだろう。
インテリジェンスとアーティスティックさを求めるがゆえの頭でっかちが引き起こす弊害だがこのバンドが助かっているのは、その軽やかに感じるメロディであり、音楽的感性、フィーリングに因るところがあるように思う。作品の出来は傑作なのは間違いないが、そういう理由から聞き返す頻度は低い一枚。

Photos of Ghosts

Photos of Ghosts

・73年発表3rd。キング・クリムゾンの作詞担当メンバーだった、ピート・シンフィールドに見出されてマンティコアからリリースされた世界デビュー盤。先に出ていた1stと2nd収録曲の再録版にシンフィールドが新たに英語詞を書き下ろし、インストの新曲を追加した内容となっている。
再録された曲は録音と音の重ね方はいいものの、初出バージョンの鮮烈さと演奏のキレにはやはり少し劣ってしまう印象。テンポを落としている曲もあって、オリジナルを容易に聞ける現在においては、アルバムの締りのなさをどうしても感じてしまう。演奏もパッションより理性が勝ってしまっている。
今となってはこのように、ユーロロックがイギリスのレーベルを通じて世界に紹介されていったという歴史的事実を知る以上に内容にあまり価値がないようにも思えてしまう一枚か。もちろん演奏は相変わらず高度なのでバージョン違いを楽しむ分には聞けるが、存在意義のぼやけてしまった作品だろう。

L' Isola di Niente

L' Isola di Niente

・74年発表4th。全世界への紹介編だった前作を踏まえ、万を辞して発表された彼の代表作。英語盤とイタリア語盤が存在していて、ジャケットが青いのが英語、緑なのがイタリア語盤。今回はイタリア語盤の紹介。なお英語盤は1st収録曲のリメイクを収録しているので1曲多い6曲となっている。
世界デビューを果たしたのが良い影響になっているのか、これまでの盤と比べても音のスケールが大きくなり、壮大になったのとイタリアらしい朴訥さが垢抜けて、古代ローマ彫刻やルネッサンス芸術を思い起こすような力強さと美しさを併せ持ったテクニカルな演奏が鳴り響く。
「作品」と呼ぶに相応しいだけの高い演奏技術と表現力が高い次元で実現した一枚であり、地中海に吹く抜けの良い風と燦々と輝く太陽の作る光と影の叙情性が湿度の高い英国プログレと比しても遜色ない所か、軽やかさと心地良さを感じる名盤だろう。PFMというバンドを知る初手としてもまさしく最適手だ

音楽鑑賞履歴(2017年6月)No.1099〜1111

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
世間はすっかり梅雨入り、いよいよ夏の足音が聞こえてくるそんな季節になってきました。
6月は映画を見る機会を増やしたりしてたので、12枚とかなり少なめな枚数に。
しかし、5月末の複線だったりとか仕掛けもやってみたりでこれはこれで満足。
全体的には引き続きアメリカンミュージックがメインですね。後半からオルタナ特集的な部分も。
今月はもう少し、鑑賞枚数を増やしていければなと思います。
というわけで以下より感想です。


アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック

アイ・シング・ザ・ボディ・エレクトリック

・72年発表2nd。前作に引き続き、新主流派的な前衛サウンドが繰り広げられるスタジオ録音と5〜7の東京でのライヴ音源を合わせた作品。どちらも演奏の即興性に重きを置いた、空間的かつ浮遊感のあるサウンド。また彼らの全作品中唯一、ギタリストを加えた編成が聞けるアルバムでもある。
性急なビートと空間を切り裂くように鳴り響くサックス、底を這いずり回るベースの低音。ピンとした緊張感のあるエレピが立体的に音を組み立てていくのが、さながら肉体に電流が走るようなピリッとした雰囲気で刺激的に流れていく。真っ白な空間になるクールで印象的な音が初期サウンドの特徴だろう。
これがライヴになると打って変わって、非常に熱気のあるインプロヴィゼーションになって、プレイヤーの熱気が渦と化し、血流が目まぐるしく動き出す様子が窺えるのだ。そういったクールネスとパッションを両方を感じられる面白い一枚。なお、アルバムタイトルはブラッドベリの短編小説から。SFな響きも印象深い。

SGT.PEPPER'S LONELY HE

SGT.PEPPER'S LONELY HE

・67年発表8th。架空のブラスバンドによるショーという「コンセプト」を掲げて製作された史上初のアルバム。そのコンセプトの縛りは今見るとかなりユルい物ではあるが、提示されたアイディアはロックミュージックを「アート」として成立させうる、革新的なものだったことは確かだ。
「コンセプトアルバム」という概念によって、アルバムに演劇的な物語性やテーマ性を付与できるようになったし、クラシックの組曲のように楽曲を構成(※先例はあるが)し、ひとつの「作品」として表現するなどの、「解釈」の枠組みを広げたことがこのアルバムの歴史的な価値だろうし、影響の大きい点だ
そんな作品を見ていくと、全体を引き締めているのは1、2と12で、それ以外は前作の作風をそのまま発展させた、サイケデリックにインド趣味を織り交ぜた、桃源郷のような趣を見せている一方で、サーカスやパレード的なコミカルな印象やとぼけた雰囲気を感じる楽曲が多く、お祭り的な趣があるのが特徴
前作のタイトな雰囲気と比べると、雑多でカラフル、かつ大衆演劇というか喜劇というか、作品に規定された「コンセプト」によって、バンドは虚構化し、現実とは別の役割を演じる楽しさのようなものが伝わってくるのが本作であるような気がする。バンドが「フィクション」で遊んだ作品という印象。
だから無邪気さを全体に感じる作品なのだが、それが一転して現実に引き戻されるのがラストの13。現代音楽のミュージック・コンクレートという手法を扱ったこの曲によって、アルバムのコンセプトは閉じられて、ビートルズが我に返る、という仕掛けになっていてある種、夢から覚めたような効果がある。
そういう点では「夢と現実」を扱った作品でもあり、その幻想感はハッピーなサイケデリアでもある。富も名声もいらない、ただ音楽を楽しむバンドになれたら、という想いをどことなく感じるのはビートルズという歴史を知ってるからかもしれない。意図的ではないにせよ、そんな雰囲気が滲む作品でもある。
実際、これまでの作品と以降の作品を眺めると、このアルバムの存在感はかなり異質だ。この無邪気さとハッピーなノリを演じることが「幻想」だと考えると、これはバンド崩壊の序曲だったのかもしれない。そういう点で言えば、バンドのターニングポイントでもあったのだろうと推測される。
このアルバムをリリースした直後にマネージャーのブライアン・エプスタインが急死し、バンドの運営も不安定さを増していくことになる。歴史的な名盤として評価は揺るぎないものだが、急速に何かの終わりが迫ってくるのをひしひしと感じる一枚。その生々しさが、この盤の強みなのかもしれない。

Sweetnighter

Sweetnighter

・73年発表3rd。ジャズからクロスオーバー(フュージョン)へと移り変わる瞬間を捉えた作品。前作までの前衛的要素を取り入れたジャズ路線から、ファンクの反復ビートを取り入れたことによって、サウンドが色付きだしたのが大きな変化といえる。まだ完全に混ざり合っていない半生な状態が興味深い
ジャズのアーティスティックな知性とファンキーなビートの動物的な感性が織り成す演奏は今までのアブストラクトな神秘的響きに実像を与え、より壮大な何かが姿を現すような、新しさを提示する。グループの音も明確になったことで、目指すべき方向もはっきりと見開けたように感じた。
ジャズの可能性の先にある「ジャズではない何か」。この命題を得たグループは、ジャズをベースにさらに発展していくことになるが、ここではまだジャズの形式を抜け出ていなかったり、ファンクを咀嚼し切ってなかったり、と粗さが目立つ。だが、新しいものを生み出そうとする熱気は伝わってくる一枚だ。

Reckless Nights & Turkish Twilights

Reckless Nights & Turkish Twilights

・92年発表編集盤。20世紀アメリカの知られざる作曲家にして電子音楽家兼工学エンジニアの1937~40年ごろの音源を集めたコンピレーション・アルバム。セクステットなのにカルテットを名乗った、彼が率いたバンドの演奏がメイン。区分的にはジャズということになると思うが、掴み所がない音だ
端的に言ってしまえば、カートゥーン・アニメで流れてくるようなジャズっぽい、あるいはラグタイム的なコミカルでモンドチックな音楽。実際、本作に収録されている曲のいくつかは、カートゥーンの作品にも使用されており、聞き覚えのある人もいるかもしれない。キッチュで独特な魅力を放っている。
録音自体は古臭いが、曲やメロディはレトロだがタイムレスな趣のある奇妙な味わいなものばかりで、その経年変化に耐えうる楽曲の数々は6~70年前の音源とは思えない出来だ。BGM的な感じなので流して聞いていても結構楽しい、グッドメロディが集まった良編集盤かと

The River

The River

80年発表5th。ロックンロールの未来とも評された、ブルース・スプリングスティーン初期キャリアの集大成的二枚組アルバム。アメリカの若者の叫びを代弁するかのような溌剌とした活気に満ちたロックが鳴り響く。プレスリー直系のアメリカーナなロックによって描かれる光と影がとても印象的だ。
一枚目と二枚目で構成が対照的になっていて、軽快なロックが鳴り響き、労働意欲が涌いてきそうな元気のいい一枚目と後の作品にも繋がる、内省的かつメッセージの込められた弾き語りスタイルの楽曲が収録された2枚目。どちらも彼の魅力を伝えるには十二分なほど役割を果たしてる。
作品で鳴り響くのは極めてオーソドックスなロックだ。目を引くような派手さはなく、しっかりと楽曲の重みと込められた意味が息づいた生真面目さを感じる、実直な音楽。あたりったけの若さが詰め込まれているのもそういった瞬間を通過して、次の段階へと進むからこそだろう。大人に羽化するための傑作だ

Suicide

Suicide

77年発表1st。98年りマスター盤にて視聴。NYアンダーグラウンドの伝説的存在の初作。アナログシンセとリズムマシーンのみ演奏で繰り広げられるロックンロール・パーティ。後に発展するシンセミュージックの潮流からは思い切り外れた、その可能性を駆使しない雑な使い方が異彩を放つ。
というより演奏の省力化と簡略化の結果、これで全てを賄ってしまえというテキトーさとそのアナーキーなパフォーマンスが、かなりパンキッシュな姿勢に感じられる一方で、楽曲の方はそういった雑さ加減に垣間見える、聖と俗のコントラストが極めて印象的だ。その辺りのチープ感がサブカル的でもある
オーソドックスなロックンロールマナーに始まり、俗物感と猥雑さに塗れた、トラッシーな演奏がローファイたっぷりに鳴り響き、バンドの代表曲6でそれがピークに達する。絶叫が入り混じるヴォーカルはさながら地獄の呻き声だ。が、その合間にそれらが洗い流されたようなメロディが聞こえてくる。
ゴスペルのような響きを持った旋律がそのチープでアングラな演奏と相まって、汚染と浄化を繰り返すアルバム構成によって奇妙なギャップを生み出し、それが最後10の神々しいまでの美しさに結びつくのはある種確信犯的なもののように思う。野性的だが非常に計算高く、強かなものを感じた。
なおこのバージョンではリリース当時のライヴ音源と23分にわたるEPが別ディスクにカップリングされているがそちらも録音と違わぬパフォーマンスを見せていて聞き応えがある。彼らのラディカルな姿勢を生な状態で聞けるのが興味深い。ゴミ溜めの中で光り輝く宝石のような名作かと。

Second Album

Second Album

80年発表2nd。アングラ・インダストリアルど直球のローファイ・シンセパンクが打って変わって、キッチュなシンセポップとボディミュージックが交互に展開される、音楽らしい内容になっているのが最大の変化だ。どこかしら絶望感と死の匂いを漂わせていた前作の雰囲気は雲散霧消している。
前作の雰囲気からやや回復の兆しがあって、沈鬱さと諦念な趣で繰り広げられるのが特徴というか、インダストリアルサイドとメロウサイドに曲調がはっきりと分かれている。インダストリアルサイドは、DAFを髣髴とさせる無機質なビートに吐き捨てるようなヴォーカルが重なり、前作の趣を残す作り。
対してメロウサイドは、とことんチープな甘味料的メロディが甘美に響き渡る。こちらの方はWashed OutやNeon Indianといった00年代後半から10年代前半に勃興したチル・ウェイヴの源流的なサウンドで、そのローファイ感たっぷりの安っぽさが返って、ポップさを高めている。
後進グループの人工感やサウンドレイヤーのくっきりと整理された音に比べると、こちらは非常に雑味のある、汚れが染み付いてるようなダーティな雰囲気が趣深いというか、NYアンダーグラウンドの垢抜けなさなのだろうと思う。前作の音が軟化しているのは否めないが、噛み切れない弾力さが魅力の佳作か
00年リマスター盤は本編以外にThe Carsで知られるリック・オケイセックがプロデュースしたシングル三曲とボーナスディスクにデビュー前のリハーサル音源が付属されている。ボーナスディスクは1stの雰囲気を感じさせるローファイサウンドが聞けるのでファン垂涎の音源だろう。
余談だがボーナストラックのシングル曲のうち、「Dream Baby Dream」は10年代に入ってから、ブルース・スプリングスティーンにアルバム収録曲としてカバーされるというビックリな展開を見せたのも記憶に新しい所。当時は捉え所がなかった(だろう)が再評価が著しい一枚とも言える

Singles Going Steady

Singles Going Steady

01年発表編集盤。マンチェスター出身パンクバンドのシングル曲集。いわゆるパワーポップ、あるいはラブソングをパンクに乗せて歌った初のグループとして知られるバンドでもある。パンクロックの疾走感に、甘酸っぱさと屈折感を携えたメロディが冴えを見せる。そして非常にポップだ。
メロディについていえば、後にマンチェスターから台頭していくバンドのあれやこれを思い浮かべるような、ドラッギーな煌びやかさとそれが裏返ったような陰影の濃い屈折感があり、それらの源流的、あるいは土地柄を感じさせてくれるものである事が窺える。王道を行きながらも斜に構えているというか。
その姿勢が返ってシニカルさを生み出しており、その諧謔精神が非常に英国らしいというべきか。ともあれ、入門編にしてオリジナルアルバムより彼らの魅力を引き出している編集盤として評価が高いのも頷ける一枚。パンキッシュでポップなメロディの目白押しなので初心者でも気軽に聞ける懐の深い作品かと

SUN(通常盤)

SUN(通常盤)

15年発表8thSG。明確にソウル、R&B路線にシフトしたシングル。70年代後半〜80年代初頭のディスコやライトメロウ、AOR的なメロディが耳に心地いいつくり。適度なグルーヴィミュージックに塗されたのは日本語のあどけない音節の響きであり、人懐っこい言葉の温かみであり。
この中庸さ加減となんとなしにホームメイドな感触が日本人らしくもあり、かつてMTVを席巻した80sポップスのノリをそのまま日本風に馴染みやすく、落とし込んでる辺りの計算高さというかクレバーで抜け目なく聞かせる、完成度の高さも見逃せないか。ともあれ抜けのいい音が楽しいシングルだ。

73年発表1st。今やアメリカを代表するSSWの処女作。後年の作品と比べても非常に若々しい音が鳴り響く。独特のしゃがれた歌声もまだ深みがなく、むしろ瑞々しさすら感じられる。内容的にはバンド演奏と弾き語りスタイルが入り混じるがやはりバンド演奏に力強い印象を持つ。
特徴としてやはり目立つのは、アメリカ大陸という土壌の雄大さより、アメリカ社会、特に都市部の情景を歌っている所に尽きるか。ディランが歌うような文化伝承的寓話性に対して、現代アメリカの情景をありのまま描いたことにシャープな印象を受ける。バントサウンドの乾いた音もそれに一役買っている
それでいて、プレスリー直系のようなロックンロールスタイルでそういった都会の光と影が歌われるわけだから、「ロックンロールの未来」と当時形容されたのも分からなくはないか。ただ本作は勢いに任せている部分と弾き語りの魅力はまだまだ出きっておらず、青さを感じさせる分、粗さが目立つ。
とはいえ、初作にして音楽性はすでに確立されているし、そのスタイルは今もなお一貫してブレていない。プレスリーの躍動感とディランらのメッセージ性を併せ持つ個性の船出としては、アルバムのタイトルの通り、この上ない挨拶状になった佳作だろう。荒削りながらも魅力的な一作だ。

Dead Letter Office

Dead Letter Office

87年発表編集盤。彼らの所属していたレーベルであるI.R.S時代のシングルB面&レア音源集。ヴェルベット・アンダーグラウンドのカバー曲やCD版には彼らのデビューEPであるChronic Townが増補収録されていて、彼らの活動初期を総決算した内容となっている。
サウンドの質感的には同時代のザ・スミスとようにギターのアルペジオリフを主体とする殺伐とした趣のいなたい青春の響きが聞こえる。とはいえ、パンク由来の疾走感はあまりなく、アメリカのバンドらしい大らかさが全体を支配しているのもあって、ザ・バーズ辺りのフォークロックにも通じるのが興味深い
むしろ殺伐さにおいては上記のバンドより深度が大きいように思う。こちらの方が淀んでいる印象であり、屈折したぎこちなさがよりまとわりついている。粘着質というか。この時期におけるマイケル・スタイプの歌唱にも顕著だが、ネイティヴが聞いても聞き取れない歌声もそんな捻くれた感情の表れだろう
そんなミステリアスで閉鎖的な姿勢ゆえの痛々しい若さやその苦味が滲み出ている一方で、サウンドの骨子自体は中道的なもので、オーソドックスな演奏であるため、ひとつ皮をむけばアメリカンロックの王道を響かせているのも抜け目ない所か。穏やかで淀んだ殺伐さが妙にクセになる佳作。

Green

Green

88年発表6th。メジャー進出第一作。インディーズ時代と比べると、サウンドがだいぶ明朗になって、Voも聞き易くなっており、ドラスティックな変化が窺えるが、元より音楽スタイルはアメリカンロックの王道を突き進んでいたので在るべき所に収まったような印象も受ける、安定したサウンドだ。
彼らの素地にあるだろう、フォークロックの趣が前面に押し出される一方で、マッドチェスターやセカンド・サマー・オブ・ラブに呼応するような、打ち込み的なダンスビート風味が各曲にまぶされていて、そのテクスチャーが当時を喚起させる。ブリットポップ的なアプローチでもありその肌触りは面白い。
マンドリンアコーディオンなど、トラディショナルな楽器を使っていることやバンド自体の屈折した趣がUKバンドっぽくもあるが、その拭えないどよんとした違和感こそがこのバンドの最大の特徴でもあり、そんな穏やかな淀みからくる諦念によって、共感を得たのではないかとも思う。
彼らのようなブレない個性があると、サウンドは時代の影響を受けながらその都度、変化していくのだろうと思われる。本作もそういったアプローチの中で、メジャーに行ったことで変わった部分もあれば、そうでない部分も感じ取れるのではないだろうか。どこでも成すべき事は同じという強い意志を感じる佳作。

You're Living All Over Me

You're Living All Over Me

・87年発表2nd。前作で提示されたサウンドがさらに鋭利かつノイジーになり、怒涛の疾走感で押し寄せてくる名作。青臭い焦燥感と鬱屈した感情が、容赦なく轟音となって鳴り響く様は社会への反抗心として鳴ったパンクとも違い、非常に内省的に深く心に刻まれていくのが非常に興味深い。
この作品が世に出る10年前に勃興したパンクの音と比べると、本作は非常に自意識との対話的な音である。心の中に表れてくる、陰鬱な感情やどろっとした心の淀みやあるいは歪みを咆哮としてぶち撒けている、はたまた自己を開放しているようにも聞こえる。ある種、自己治癒的な音楽。
精神の弱さやダメな部分をはっきりと自覚・肯定することで前向きな何かを覚醒させるようなイメージ。バンドがそのあたりを意識してやっているかは甚だ疑問だが、結果的にこのダウナーな音楽におぼろげな光を感じるのは、そういう面もあるように感じる。アメリカ的な大雑把な部分も含めて、希望も持てる名盤だ。

音楽鑑賞履歴(2017年5月)No1078〜1098

月一恒例の音楽鑑賞履歴。

はてなダイアリーTwitterを駆使しながら、手前味噌でまとめていく作業も少し小慣れてきた感じです。

今月は20枚。5月もグレッグ・オールマンの訃報が。なんだか近頃、往年のミュージシャンが毎月のように亡くなっていきますね。黄昏時にいる気分を感じます。とはいえ、J-POP(とアニメ)&アメリカンミュージック特集、最後にイタリアのプログレバンド、AREA特集というラインナップ。月末のビートルズは6月への複線だったりしますがそれはさておき。この位の量をコンスタントに聞いていきたい所。

とまあ、そんなところで以下から感想です。


PUSHED RICE(完全生産限定盤)(DVD付)

PUSHED RICE(完全生産限定盤)(DVD付)

・97年発表14th。後の再結成を考えなければ、これがラストアルバム。ライヴでしか演奏してこなかった曲なども収録しながらも米米クラブの最後の勇姿を大真面目に務め上げている作品だろう。日本らしい祝祭感とゴージャス感目白押しでこれで解散という雰囲気が感じられないくらいの華々しい〆。
ただバブルも弾けて、阪神大震災という未曾有の災害を通過した後に出た作品だということを考慮すると、彼らの全盛期だった時期のアッパーな高揚感を思わせるサウンドは当時の風潮からはやはり時代遅れだったのかなと思わざるを得ないか。今聞くと、彼らの底力というか地力の高さが窺える出来だが。
彼らのおちゃらけたコミカルな部分とバブリーなゴージャス感が生き辛かった時代とはいえ、時代とズレてしまったポピュラーミュージックの宿命を感じる作品かと。とはいえ、最初に言ったように彼ららしく真っ当に幕引きをしている作品であり、一切手抜きなしの非常に練られた良盤。再評価したい一枚だ。

・11年発表5th。ベスト盤を発表して、活動に一区切りをつけた彼らが新メンバーを加え、新出発したアルバム。ここまでの作風をアルバム一枚に集約したような内容となっていて、ギターポップありエレクトロあり、R&RありのひっくるめてTahiti80印のサウンドが聞こえてくる。
ポップマニアらしいニッチさもそここに見え隠れしているのと、この時点ではまだ猫も杓子もエレクトロ&EDMという流れではなかった分、楽曲がどちらか一辺倒に偏らず、どちらの音も両立している印象が目立つ。反面、いいとこ取りをしたせいでアルバムの印象がどっちつかずな感じで惜しい所。
現代のポップミュージックの分水嶺というべきか、時代の分かれ目だったのか、確かではないがここで響いてくる音はどちらか一辺倒に触れる直前の未分化なものに聞こえなくない。ロックにアナログな趣を見出せてしまう今の風潮に照らし合わせてしまうと、内容的にはインパクトが薄く感じる一枚か。

LOVE! LOVE! & LOVE!

LOVE! LOVE! & LOVE!

91年発表1st。元祖渋谷系ともいうべきバンド、オリジナルラヴの初作。この時点ではまだ中心人物、田島貴男のソロプロジェクトではなく5人体制のバンド。デビュー作にして二枚組アルバムという大作を仕掛けてきた。いわゆるロックサウンドではなく、ブラックミュージックを主軸にしたサウンド
ソウル、ファンク、ラテン、ジャズ、キューバン、カリビアン、ボサノヴァ、当時の洋楽界隈で流行したカフェミュージックやラウンジミュージックといった、軽やかでお洒落に演奏された音楽が男のロマンチズムたっぷりに汗臭くなおかつ暑苦しく濃密に歌われる事によって、しっかりとした重さを感じる。
軽薄な中身の伴わない音楽ということは決してなく、影響元の音楽にしっかりとリスペクトした上で、煮えたぎるマグマのような情熱を感じる作品という印象を感じる。そんな熱量と濃い密度なのでキャッチーさにはやや欠けるが、彼らのミュージシャンシップは大いに感じる名盤。下手に聞くと火傷する。

ソニック・スケート・サーヴェイヤー

ソニック・スケート・サーヴェイヤー


94年インディーズ発表1st、97年メジャー発表2nd。YMOのパロディバンドとして随一の知名度を誇るユニット。インディーズとメジャーでリリース順が逆になっていて、2ndにして1stという売り文句が目を引く。実は、というほどではないがバンドはナムコサウンドチームのメンバーである
基本的に彼らの音楽は本家であるYMOのパロディがメインではあるが、本作は下敷きになる楽曲を踏まえて、マッシュアップ的に作られただろうオリジナル曲を前半に配置し、後半には「BGM」収録曲をモチーフにしたものが収められている。作品全体もタイトルは本家2ndからの引用だが音はBGM寄り
それゆえにジャケットの印象とは裏腹に、不穏さと病んだ雰囲気に覆われている作品ではあるのだが、この奇妙かつ淀んだ空気の中でYMOをパロディする感覚がポップに響いており、重苦しくないのが面白い仕上がりかと。もちろんパロディバンドとしてはこの上なく高水準。サイバー&バイオニックな佳作。

Road to Ruin (Dlx)

Road to Ruin (Dlx)

78年発表4th。ドラムが交代して新体制の一枚。基本的にはやってることにあまり変わりはないけど、フレーバーがちょっと違うというか、さらに60sポップス寄りになって、メロディの甘さがより引き立った印象がある。従来のファストナンバーの一辺倒ではなく、テンポダウンした曲も目立つ。
78年というとロンドン・パンク・ブームが収束を迎えていた頃ではあるが、ラモーンズはそういった動きからはどこ吹く風で、彼らは彼らの道をただ突き進んでいる。自分たちのスタイルを曲げようとせずに貫き通した辺りにストイックさも感じる。同時に我が道を進む事の必死さを感じるアンニュイな佳作か

プラネテス O.S.T.2

プラネテス O.S.T.2

04年発売OST。同名アニメ作品のサントラ第二弾。終盤に挿入歌として本編に使用された「Planets」も収録されている。全体に中川幸太郎のコンテンポラリーな部分が色濃く出た内容で、宇宙を舞台にした作品でもあるので浮遊感や不思議な響きの曲が多いか。リズム面でも後の片鱗が見え隠れする
和楽器(筝や和太鼓など)や胡弓といった東洋の民族楽器に、トランペットなどの金管楽器も加わり、オーケストラのような厚みが作品を補強している印象。あまりジャズ色はないがアメリカンルーツミュージックのとぼけた雰囲気もあったりで楽しめる。全体には緊迫感にシリアスな響きも伴った一枚かと。

刹那

刹那

03年発表編集盤。シングルリリースされてアルバム未収録の楽曲を取りまとめた作品。が、ファンが待ち望んでいただろう、キャリア的にも重要な楽曲が軒並み収録されていない所が痛し痒しといった内容になっている。ファンの期待に沿わない姿勢はらしいといえばらしい。反面これはコンセプトアルバムだ
「流星ビバップ」で始まり、「流星ビバップ」で締めくくられる構成からも明らかのように、自らを「流星」になぞらえて、在りし日を振り返るという形になっている。「流星(=スター)」だった頃を回顧して、輝かしい「星」が流れ落ちる時間は一瞬、つまり「刹那」だったよね、と提示してるように思える
万物は流転する。だからこそ「刹那」が美しく思える。そういったいつかの「流星」を思い出すために構成されたアルバムであり、結果的に小沢健二の「二十代の青春」を収めることに注力した作品なのではないかと感じる。この意図が正しければ、本作収録を見送られた楽曲はおそらく現在に繋がっているはず
それが本当に意図されたことかどうかはよく分からないが、今年2017年に出た新曲を考えるにやはり、意識の変化と今に繋がる思考があの時点で発生しており、それが連綿と続いてるようにも見える。そういった観点からもやはり「何か」を締めくくった作品であるのだ。編集盤だが意思の込められた作品だ

スタッフ・イット<FUSION 1000>

スタッフ・イット

79年発表3rd。スタジオ最終作。前作前々作と音楽的には高評価だが、商業的には芳しくなかった為、プロデューサーにスティーヴ・クロッパーを招聘して、よりポピュラーな方向に舵を切った作品。ホーンセクションやヴォーカル、コーラスを入れて、華やかなサウンドだが、ナチュラルな響きは健在だ。
屈託がなく、爽やかだが人懐っこさのある演奏はひたすらに気持ちよくグルーヴィ。プロデューサー的にはブッカーT&MG'sとバンドのあり方が似ているのだなという共通項もあったりで、専属の歌い手がいない歌モノバンドとしてはフュージョン&クロスオーバー期の第一級品だろう。
残念ながら以降、メンバーのソロ活動が多忙になったことで自然消滅してしまうがこの当時の第一線のスタジオミュージシャンが一堂に集い、高級家具のような絶妙の使い心地を体感させてくれる、ポップミュージックの結晶が収められているのは時代の記録として、いつまでも残るだろう。三作ともに良作だ。

After the Gold Rush

After the Gold Rush

・70年発表3rd。次作と共に初期の代表作として有名な作品。全体にはSSWらしい弾き語り主体のサウンドだが、武骨かつ繊細な男臭いニュアンスが演奏に緊張感を与えて、引き締めているのに独特な趣を感じる。苦み走る渋みに厭世観や無常が漂い、現世という荒野に独り佇んで聞くうらびれた一枚。

ライヴ・スタッフ<FUSION 1000>

ライヴ・スタッフ

78年発表ライヴ盤。78年11月の東京郵便貯金ホールでの来日公演の模様をパッケージした作品。ツインドラムの片割れ、クリス・パーカーが病欠により5人体制でのライヴとなっているが、精彩を欠くどころか生演奏ならではの熱気とパワフルさに圧倒される。スタジオよりもテンションが高い。
といっても、このバンドらしく、テクニックをひけらかすわけでもなく、楽曲の心地よいフィーリングを重視したグルーヴィな演奏はまるで歌っているかのように感じられる。ライヴなのもあって、演奏がジャムセッションっぽくなるとメンバー陣のテクニシャンぶりが発揮され、ひたすら夢心地な気分。
曲を規定のランニングタイムに収めるという縛りがあまりないのもあって、阿吽の呼吸でじゃれあう猫のように、キレのある演奏が楽しそうに聞こえる。ハイライトは4だろうか、怒涛のソロパートもさることながら、朗らかで陽気なメロディはいつまでも聞いていたい。スタジオ録音とは違った魅力を放つ良作

イン・ニューヨーク <FUSION 1000>

イン・ニューヨーク

80年発表ライヴ盤。バンドの最終作。彼らのホームグラウンドともいえるNYのジャズ・クラブ「ミケールズ」での演奏を収録した作品。馴染みの場所で気心知れたメンバーとのプレイはアットホームな雰囲気も漂う、非常にリラックスした趣のある和やかなもの。演奏が終わるのにも気付かないほど淀みない
各メンバーが一流のスタジオミュージシャンだけあって、アンサンブルが非常にナチュラル、というより人の手で演奏されるリズムやタイム感がここまで同期されるととても気持ちのいいものになるという究極の証明が本作には収められている。ライヴ演奏のはずなのにスタジオ演奏に聞こえてしまう恐ろしさ。
それだけ精度が高いという事でもあるが、なによりも高い演奏技術をテクニカルにひけらかすことなく、よいメロディとリズムとグルーヴを作り出す事に注力するさまは非常にストイックでもあり職人気質も感じる。そこにライヴの熱気が加われば、言うことはないだろう。自然消滅だが有終の美を飾る一作。

THE COLLECTION

THE COLLECTION

03年発表ベスト盤。81〜84年ごろまで活動した、英国出身のエレクトロファンクバンドのベストアルバム。文脈的にはポスト・ディスコだったりジャズ・ファンクの先駆的なグループのひとつとして目されており、現在のクラブシーンへも密接に繋がるような、煌びやかなシンセサウンドが特徴的。
シンセのメロウな旋律にディスコティックな16ビートのギターカッティングとタイトなドラムが重なる黄金律は一周回って、今らしさも感じられる。バンド末期の音はさらにそこからAOR方面に傾き、メロウさに拍車が掛かっている辺り、80s初頭の複合サウンドと化しているのが興味深い。
全体的にはキャッチーな音色な反面、キラーチューン足りえる曲がなく、ややフックに欠ける点が否めないか。もちろんエレクトロファンクや当時のダンスサウンドを味わうには楽しめる作品ではある。この手のバンドにしては派手さよりスタイリッシュさが強調されている印象。その魅力は感じられる一枚かと

・12年発表OST。同名アニメ作品の2ndシーズンサントラ。前作よりかは緊張感のある楽曲や、シリアスさを伝える楽曲が多い印象だが、第一弾でも感じられたインテリア的な穏やかなメロディも残っており、ロボットアニメ作品にしては独特な質感を持ったサウンドになっていると思う。
全体的にはノスタルジックというかセンチメンタルな趣が強くなっており、前述した楽曲群にもそれが付与されている。透明感がありつつも、そのアプローチは多彩。一番顕著なのはエレロクトロニカだろうか。曲によってはソリッドなビートを聞かせている。ポストクラシカルや現代音楽的な要素も含んでいる
中島愛の歌う劇中歌もこの盤に収録されているので気になる人はチェックしておいてもいいだろう。前作の趣を引き継ぎつつも、よりスケールの大きくなったサウンドは結構聴き応えがあり、音楽単体でも十分一作品として成立しているサントラだろう。前作と合わせて、アニメサントラの良作として評価したい

Idlewild South

Idlewild South

・70年発表2nd。ライヴツアーの合間を縫って制作されたアルバム。売り上げ的にも躍進した。前作と比べると、曲にいっそうの軽やかさが加わり、サウンドがキャッチーになった印象もある。ライヴで鍛え上げた鉄壁のアンサンブルと、演奏力が泥臭くも洗練されたブルージーなロックを響かせている。
アコギやスティールペダルを鳴らすことで音の柔らかさを出しているのもそういった印象を強めているのもあるが、後にライヴの定番曲を収録している点でもバンドの充実っぷりを感じさせる内容だ。特に代表曲でもある4はジャジーな雰囲気も漂うメロウなインストでじわじわと盛り上がる展開が楽しい。
アルバム全体としては30分くらいの作品なのであっさりとした内容ではあるが、バンドの旨味や魅力がぎゅっと凝縮されている。ツインドラム、ツインギターという特性を生かした、ポップなテイストとファンキーなグルーヴが染み入るように味わえる佳作という感じ、繰り返し聞きたくなる一枚。

77年発表5th。大ブレイク作。SSWのポップシンガーという位置づけではあるが、SSW系らしい、フォークやカントリーのような、垢抜けない朴訥な音楽の影響は希薄で、大陸らしい大らかさがあまりない、都会的な洗練されたセンスのポップスという印象が強い。出世作となった本作もそういう印象。
NY(ロングアイランド)出身ということもあって、西海岸的な陽気なサウンドとも異なり、ブロードウェイミュージカルやジャズといった辺りの洒脱したセンスを感じさせ、どちらかといえば土地柄的に距離の近い英国の戯作的な趣もあるのが面白いところ。英国よりは音がカラッとしてるのが北米的か。
似た傾向の音楽であるAORよりは土着的というか大衆的。なおかつストーリーテリング的な歌詞内容がよりそういった演劇的な音楽性に起因してるように思う。なんというかアメリカ都市部の王道ポピュラーソングという印象。映画的というか。そういったセンスの結晶体のようなアルバムだ。
なお余談だが、本作収録で日本で人気の高い「The Stranger」は日本のみのシングルカット曲。またこの盤のヒット曲「素顔のままで」の背景には10ccの「I'm Not In Love」の影響があったりと、そういった元ネタ的にも面白い一枚。もちろんポップソングの名盤です。

RUBBER SOUL

RUBBER SOUL

・65年発表6th。クリスマスシーズンの発売に向けて、短期間(1ヶ月)で製作されたアルバムだがビートルズが音楽性の幅を広げた事で有名な作品。ポップよりロック、アイドルよりミュージシャンへと変貌しつつある彼らを記録している点でも興味深い。使用楽器の幅も広がりを見せている。
当時の流行であったフォークロックの影響から発展して、サイケデリックの香りも漂う雰囲気も時代の趣を感じるし、ここで使用されているシタールの響きやファズギターはいかにもなのであるが、やはり60年代の音というのを意識せざるを得ない以上、今聞くとやや音は古めかしい印象が残るか。
とはいえ完全にサイケに振り切れる直前でもあり、ポールを中心としたポップな曲の存在感が強いので、後の作品に比べると割とほのぼのしているアルバムという印象もあるし、そのポップサイドのエヴァーグリーンな響きに助けられている作品にも思える。歴史的には重要な作品だが過渡期の始まりを告げる一枚。かとなく秋の奥まった雰囲気を感じる。

REVOLVER

REVOLVER

・66年発表7th。サイケデリックに傾倒した一枚。同時にこの時期からライヴよりレコーディングを重視するようになり、録音技術を駆使した凝ったサウンドを指向していく事になる。それゆえに前作の朴訥とした感じは消え去り、全体的にタイトな印象を受ける。また明確にロックを演奏しているのも注目
ポップスというより明確に何かテーマやモチーフ、物語性を持った歌詞に、バンド演奏のみならずストリングスやホーンセクション、サイケ御用達ギミック、テープの逆回転などを積極的に取り入れ、サウンドの多様性は前作以上となった。この作品を聞いてアイドル時代の彼らを思い浮かべる人は少ないだろう
本作にあるのはビートルズというロックバンドの姿だ。変換点だった前作を経て、完全にアイドルから脱却をし、アーティスト(音楽家)として生まれ変わったと言っても決して過言ではない。その「出発」の一枚として、記憶されるべき作品だろうと思う。後期ビートルズの出発点として評価したいアルバムだ

Caution Radiation Area (Jewelcase)

Caution Radiation Area (Jewelcase)

・74年発表2nd。イタリアンプログレ界きっての異端児。前作の作風に引き続き、中東から続く地中海サウンドに超絶アンサンブルのジャズロックと前衛音楽的なノイズが絡み合う、一般にイメージされるイタリアの風景より土着的な印象と煮えたぎる危うさと暑苦しさを感じる作品。まさしく複雑怪奇な音
とはいっても、前作の初期衝動的な勢いよりかは音は洗練されており、バンドの持つ強烈な印象(主にVoが与えているものだが)に対して存外緻密で計算高い、構築された演奏は聞けるのはいいギャップになっている。この当時のアメリカなどで聞けるクロスオーバーサウンドに引けをとらないクールな演奏だ
怪人ボーカリスト、デメトリオ・ストラトスの塩辛い熱気とテクニカルなジャズロックに、地中海の呪術的な怪しい雰囲気を醸し出す電子音ノイズが絡み合うと、イタリアでしか成立しないような闇の深い、唯一無二なサウンドになるのが面白いところ。前作に引き続き、彼ららしさが際立つアクの強い良作。

Crac! (Jewelcase)

Crac! (Jewelcase)

・74年発表3rd。恐らく全ディスコグラフィ中、最もキャッチーなアルバム。それゆえに最高傑作の呼び声も高い一枚。というのも過去2作にあった前衛色が薄く、おなじみの地中海サウンドにクロスオーバー、ジャズロックに重点を置いているので、テクニカル路線を貫いている作品とも言える。
もちろん彼らのアルバムを比較した中での聞きやすさなので注意は必要だが、音の肌触りは初期のWeather ReportやReturn To Foreverのようなサウンドをよりテクニカルにした作品で、そこにイタリアの熱き血潮を混ぜたような暴走アンサンブルが非常に聴き応えがある。
全体にバンドの特徴を上手く整理し、構成されているアルバムでクセを残しつつも、彼ららしさはしっかりと出している作品だ。デメトリオ・ストラトスのVoも健在だが、それでもテクニカルなインスト重視という印象が強く、これまでのダークで呪術的な趣も薄らいでいるも要因の一つだろう。初手にお勧めの名作。

Maledetti (Jewelcase)

Maledetti (Jewelcase)

・76年発表4th。前作のキャッチーな作風から一転、フリーキーなサウンドに傾いた作品。一番取っ付き辛いアルバムだろう。アヴァンギャルドサウンドではあるが、ファンキーなジャズロックの要素もかろうじて残っているのでまったく聞けないわけではないが、アプローチの自由度が格段に上がった。
フリージャズ的なインプロ、クラシカルなストリングス、人の咀嚼音や喋り声、飛び交う電子音ノイズ、そこにデメトリオ・ストラトスアナーキーな感性がコラージュされた、ジャズロックが鳴り響く。大衆受けなどまったく考慮しない、ひたすらにバンドの音楽性を追及した結果、尖がった物が完成した印象
この振れ幅の大きさが彼らの個性でもあり魅力でもあるが、いかんせんアクの強さとクセの強さにおいては随一のアルバムだろう。こういった前衛の中にコミカルさを感じるのにはフランク・ザッパ的な趣もあるが変態度はこちらの方が上手のような気もする。出来は悪くないが聞き返す頻度は低めな一枚。

1978(紙ジャケット仕様)

1978(紙ジャケット仕様)

・78年発表5th。デメトリオ・ストラトス在籍最終作(発表後脱退、その1年後白血病で死去)。原点回帰とでも言うべきか、地中海(ブルガリアン)サウンドを前面に押し出した作品。その一方でメンバーの脱退などもあり、サウンド自体はコンパクトにまとまった印象のある作りとなっている。
ジャズロックというよりは、そこから洗練されたフュージョンといった趣で彼らの全作中、もっとも軽やかなイメージの強い作品に仕上がっており、ギターよりもピアノやシンセの音が中心になっているのもこの盤のソフトな印象を与える一端となっていると思われる。より民族的でジャジーな音が鳴り響く。
かつてなく洗練された音に聞こえるのは時代の変容も恐らくはあるだろうが、なによりロック色があまりないせいにも思える。フリーキーだった前作の方向性も踏まえると、本作は再びタイトに引き締めたものなのだろう。比較的に聞きやすいが、インパクトの面ではやや他の作品に劣り、惜しさの残る一枚だ

音楽鑑賞履歴(2013年9月〜12月)増補改訂版。

音楽メーターで書いた感想のアーカイヴ記事、第二弾です。

音楽メーターが2017年5月に閉鎖することに伴い、感想をまとめていなかった時期(14年以前)の感想を取りまとめています。若干の加筆修正も。当時のままをなるたけ残しておきたい気持ちもあるので、やり出したころの投稿であんまり感想になってない部分を書き直したりしてます。そういう感じの増補改訂版です。

今回は13年の9月から12月いっぱいまでの感想を。記憶を頼りに出来るだけ既所持盤と新規購入分の区分けもしてます。「・」が付いているのが以前から持っているものになります。量が結構多いので、長めの記事になっていますので余裕の時にゆっくりとごらんいただければと。自分で聞いておいてなんですが、いろんなのを聞いてます。その辺りも楽しんでいただければ。

では以下から感想です。


Meters

Meters

・69年発表1st。ニューオーリンズ・ファンクの代表的バンド。アーシーでレイドバックした粘っこい、溜めの効いたファンクグルーヴが物凄く快感。全曲インストなのも、彼らの自信の程が伺えるというもの。スモーキーなオルガン、抜けのいいリズム、重みのあるベースライン、軽やかなギターリズム。
"2013-09-01 10:38:36"

Weather Report

Weather Report

・71年発表1st。マイルスの「Bitches Brew」という卵から孵った雛の一つ。新主流ジャズとかクロスオーバーとかフュージョンとか呼び名が固定されていてなかった混沌から抜け出たのは非常に白い音。キャンバスのようにまだ何も描かれていない平野に降り立った面々の処女航海を綴った一枚
コンボリーダー、ジョー・ザウィヌル特有の白い電子音に前のめった性急なドラム、そこに切り裂くように響くウェイン・ショーターのソプラノサックスがジャズを主張するがコンボの作り出す音はそれを塗りつぶしていくかのごとく、新しい音楽を紡いでいく感覚は黎明期ならではものだなと勢いを感じる。
"2013-09-01 13:28:42""2013-09-01 13:33:46"

Graham Central Station

Graham Central Station

・73年発表1st。チョッパーベースの祖、ラリー・グラハム率いるベイエリア・ファンクバンドの処女作。ニューオーリンズのある種の牧羊的なノリとは違い、粗野でキレ味のある都市的なソリッドさが目立つ。まだ洗練はされてないが、リズムボックスとベースとドラムの絡みなど総合的に聴き所が多い一枚
"2013-09-04 00:10:58",

Gazeuse

Gazeuse

・76年発表8th。全盛期の主要メンバーがいなくなり、ドラムのピエール・ムーランが中心になった最初の作品。以降の作品はピエール・ムーランズ・ゴングとして知られる。A・ホールズワースも参加、好演しているがメインはパーカッションとドラム。細やかなリズムの洪水はまさに桃源郷である。余談だが4のホールズワースのギターフレーズは同時期のアルバムからの流用。
"2013-09-04 10:21:41"

B-2 Unit

B-2 Unit

・80年発表2nd。シンセミュージックとダブ処理を重ねるという当時としては相当先鋭的な音になっている。同年に「Take Away/The Lure of Salvage」を発表し、本作にも参加しているA.パートリッジからの影響も見逃せない所。これもまたポストパンク的一枚だろう。
"2013-09-04 20:34:57"

ブラック&ホワイト・レイヴン

ブラック&ホワイト・レイヴン

・80年発表1st。AOR好きな人には万を辞してお勧めする傑作ですよ、これは。南アラスカ出身、かつインディアンの末裔というプロフィールを持つシンガーが歌い上げるのは極上のブルー・アイド・ソウル。1の流れるようなベースランニングを聞けばもう、素晴らしさが分かるかと。真面目に捨て曲無しの一枚しかも、リイシューのおかげかどうかは分かりませんが08年から活動を再開。28年ぶりの新作まで出してしまうというオマケつき。続く11年にもアルバムをリリースしてるので、世の中何があっても不思議じゃない。
"2013-09-04 22:20:13""2013-09-04 22:22:56"

U.K.

U.K.

・78年発表1st。クリムゾンに始まり隆盛を極めた70sUKプログレ最後の煌き。その割には結構楽曲がライトというかジャズロック的。英国特有の陰影の濃さが目立つ。ここでのA.ホールズワースのギターワークはキャリアピークといっても過言でないかと。最後を飾るには余りにもスマートハイセンスな一枚
"2013-09-08 11:34:16"

デンジャー・マネー(紙ジャケット仕様)

デンジャー・マネー(紙ジャケット仕様)

・79年発表2nd。最終作。ホールズワース&ブルーフォードが脱退、テリー・ボジオ加入でE.ジョブソンをメインにKeyトリオとなった2nd。前作と比べても明快なハイテクポップと化した。繊細だった音はよりパワフルにメリハリのついた楽曲が聞き応えあり。そして、J.ウェットンはUKからASIAへ。
"2013-09-08 19:19:57"

Asia

Asia

・82年発表1st。プログレの旨味を見事にポップスに昇華させたのが良くも悪くも最大のエポックメイキング。S.ハウとJ.ダウンズの煌びやかさをJ.ウェットンとP.パーマーの重戦車リズム隊が支える。今聞くと1と2のヒット曲以外が無駄に大仰過ぎて、まとまりの無さが目立つか。
"2013-09-09 22:09:21"

Alpha

Alpha

・83年発表2nd。ロジャー・ディーンのジャケットがサウンドの特徴を物語るようにジャングルを抜けた所に存在する滝の飛沫のようなカラフルな音洪水が耳に押し寄せる。燃え尽きるかのごとくテンションの高い演奏ながらアルバムとしてまとまりの良さも見せる一枚。1や5はその勢いが良く出てる曲かと
"2013-09-09 23:05:24"

Who Killed the Zutons

Who Killed the Zutons

・04年発表1st。ジャケットからも分かるようにB級映画的胡散臭さとUKらしからぬ土臭さとバッタモンのソウルっぽさが同居しているゾンビ・ミュージック。一見キワモノくさくもあるが、ポップにまとまっていて、面白い。ムードは暗いけど軽妙で、奇妙な感覚で楽しい一枚。夜に聞くのが似合うなあ。
"2013-09-11 01:42:59"

Royal Flush

Royal Flush

・61年録音盤。パーソネルにH.ハンコックがいるが自分はバリトンサックスのペッパー・アダムスとドナルド・バードのコンビが好き。突き抜ける高音のトランペッドに野太い低音のバリトンサックスが絡むグルーヴがたまらない。全体にはスムーシーな一枚。ゆっくりとした時間にじっくり静かに聞きたい。
"2013-09-11 03:12:28"

Thunder in My Heart

Thunder in My Heart

・77年発表5th。UK出身のポップシンガー。当時の流行(ディスコ)を踏まえつつ、AORっぽいスタイリッシュな楽曲がそろっており、その範疇に数えても良い感じ。今や知名度がマイナーになってる感もあるが地味ながらに良い曲と歌声を聞かせてくれる一枚。華やかさとクールさの真ん中みたいな作品
"2013-09-11 13:53:08"

Shadows & Light

Shadows & Light

・79年発表ライヴ盤。まずメンバーが凄い。J.パストリアス、M.ブレッカー、P.メセニー&L.メイズ…。ジャズフュージョン名うての名プレーヤー達が一堂に会しているにも拘らず音楽の世界観を取り纏めているのは他ならぬジョニ・ミッチェル。夕暮れから夜へ。その美しき儚さを記録した実録盤。
"2013-09-12 00:15:32"

Organix

Organix

・93年発表1st。ジャジーなヒップホップの代名詞ともいえるグループの正真正銘の処女作。生演奏による黒い深みに乗ったリズミカルなリリックはやはり発明といえるだろう。ラップというのもあって非常にドープな、鈍い輝きに心を掴まれる。ヒップホップでは言葉=楽器というのにはっと気付かされた。
"2013-09-12 22:18:34"

Korn

Korn

94年発表1st。重いドラム。のた打ち回るような5弦ベースの金属音。へヴィなリズムが地響きの如く揺れる。そこへVoのジョナサン・デイヴィスの闇の淵から降り注ぐ慟哭。音の印象はダーク。だがそれはファッションではなく、剥き出しの真性が楽曲に表れているのだろう。聞く者を枷で繋ぐ一枚。
"2013-09-13 23:26:13"

ザ・ベスト

ザ・ベスト

・97年発表ベスト盤。あくまでWHAM!のベストなのでG.マイケルのソロ名義でリリースした「Careless Whisper」は未収録。実働僅か5年間の中でここまでヒットソングを繰り出したのは素直に凄い。ポップスとソウルに根差した音楽性が上手く昇華されているのもまた天才たる所以か
"2013-09-15 01:03:36"

Dark Side of the Moon

Dark Side of the Moon

・73年発表7th。未だビルボードチャートにランクし続けてるらしい、正にモンスターアルバムだが演奏は至ってシンプル(SEはかなり凝っているが)。当時ベトナム戦争オイルショックなど世情に影を落とす出来事が多かった為、「人の狂気」というテーマの下に作られたのが普遍性を持ったのだと思う
複雑で高度な演奏、というので勝負できない分、コンセプトとメッセージ性で勝負をかけて、大成功したという一枚だと思う。世や人々の感情に憂う歌は宗教的厭世感を漂わせつつ、同時期、その前後の反戦フォークソングの時流にも乗っかっていて、日本でも大ヒットしたのはそこら辺の雰囲気を掴んだ物だと。
それ故にこの一枚の中で、場違いのようにも聞こえるD.ギルモアのブルージーなギターは作品のテーマとリンクし、狂おしく泣き咽んでいるんだよなあ。諦念に満ちたアルバムの中で物凄く感情的に響くから、印象に残るよね。
"2013-09-15 09:42:22""2013-09-15 09:48:26""2013-09-15 09:53:36"

Birds

Birds

・75年発表2nd。keyのRick Van Der Lindenをメインに据えたオランダのEL&P。本家の粗野っぽさを落として、よりクラシカルな方向に洗練させた音楽性が特徴的。ハードにドライヴするリズム隊にシンセやハープシコード、メロトロンが縦横無尽に暴れ回る鍵盤好き御用達の一枚
"2013-09-15 18:56:52"

Colour By Numbers

Colour By Numbers

・83年発表2nd。80年代を彩った代表盤の一つ。大ヒットの1もそうだが、ソウルにゴスペルやラテン、レゲエなどなどを上手く咀嚼して、ポップソングとして今なお聞ける音になっているのはさすが。下地がしっかりしているから古びてないんだろうなあ。収録曲ではギターソロ含みで7が一番好きです。
"2013-09-16 19:14:31"

Earthquake

Earthquake

・79年発表1st。ウリ・ジョン・ロートのソロ第一弾。深遠なる宇宙に煌くフレアの如き、コズミックな響きを与えるギターがこのアルバムの最大の魅力。ジミヘンの影響を受けたスピリチュアルで伸びやかなトーンは聞く者を宇宙の闇へと飲み込んでいく。歌声に難ありかもしれないが自分はこれはこれで。
"2013-09-17 01:22:22"

スターズ・タイム・バブルズ・ラヴ+1

スターズ・タイム・バブルズ・ラヴ+1

・70年発表4th。ジャンルがソフトロックだけにコーラスラインが非常に緻密なのだが、このアルバム、演奏も恐ろしく緻密である。ホーンやウッドにクラヴィネットなどがファンキーなベースに絡み合い、後のポストロックやラウンジ顔負けの楽曲陣が揃っている。9の「雨にぬれて」のカバーもなかなか。
"2013-09-17 15:28:59"
※レビューしたのを忘れて、後に再レビューしてます。

Imagine

Imagine

・71年発表2nd。代表曲である1が目立っているが全体としてはビートルズ時代を否定するかのような、ブルージーでアーシーな楽曲が目立つ。エルヴィスを生んだアメリカへの憧憬が見え隠れしているのかは定かではないがメロディの英国らしさを塗り潰そうとしている気はなんとなく感じられるなあ。
"2013-09-17 20:45:27"

OH!ベスト

OH!ベスト

・01年発表ベスト盤。二枚組のシングルベストアルバム。長い沈黙期間に出たタイトルなので当時アルバム未収録だったDisc1-1、Disc2-9〜11がまとめて収録されている。音の方はNW(WHAM!っぽい)×歌謡曲な初期を通過して、岡村節ともいえるPrince源流のエレクトロファンクが展開されている後半に行けば行くほど、楽曲ごとの質量が増えていって、特濃なセクシャルな世界が展開されるがさすがに窮屈。多才であるがゆえに創造の煮つまりが見えて、ここらひとまずの活動再開までさらに3年の月日が掛かっていることが何よりの証左になっているといえるだろう。しかし、切れ味のある曲ばかりだ。
"2013-09-18 00:41:40""2013-09-18 00:46:08

Closing Time

Closing Time

・73年発表1st。酔いどれ詩人の異名に違わず、閉店間際の場末のバーでウィスキーと紫煙の漂う、薄明かりのライト一つの下でピアノを弾き語る姿が目に浮かぶ。23歳の若さでこの渋い音楽が作れたのは古いフォーク、ジャズ、ブルース等を好み、ロックに興味を示さなかったという背景が大きいのかも。
"2013-09-18 09:50:26"

Tubular Bells

Tubular Bells

・73年発表1st。確かヴァージンレコーズの第一弾作品としても有名。ゆうに2000回以上のダビングを繰り返したとも伝わる当時19歳だったM.オールドフィールドの才気の迸りが凄い。映画「エクソシスト」にも使用されるが、その神秘的なイメージから万華鏡の如く変化するメロディは英国ならでは。
"2013-09-21 23:55:49"

Fireball

Fireball

・71年発表6th。第二期だと2作目。良くも悪くも1のインパクトが強いのと、In RockとMachine Headの間のアルバムというのが災いして地味な印象を与えている一枚。タイトな製作スケジュールだったために緩い構成になっている反面、バラエティにも富んだ内容になっていると思う。
"2013-09-22 13:53:42"

Kawana

Kawana

・76年発表4th。仏のジャズロックバンド。Magmaに在籍していたY.セファーとF.カーンが主軸となったシリアスミュージック寄りのジャズロック。特筆すべきはY.セファーのソプラノサックス。やたら高い音でブロウするのが面白い。クラシカルな緊張感と共に高度なアンサンブルが聞ける一枚。
"2013-09-25 23:17:49"

ウドゥ・ヴドゥ(K2HD/紙ジャケット仕様)

ウドゥ・ヴドゥ(K2HD/紙ジャケット仕様)

・76年発表5th。前後の作品からコンパクトな作風になった模様。1の軽快なリズムボックスに乗った疾走感溢れる一曲に始まり、全盛期時のベーシスト、Y.トップの地響き爆音ベースが唸っているのが最大の聞き所。やはりハイライトはそのベースが唸りに唸っている6だろう。ファンキーだが重厚な一枚
"2013-09-26 01:11:28"

Silence Yourself

Silence Yourself

13年発表1st。デビュー作。UK出身のガールズポストパンクバンド。ファッションでなくアディテュードとしてポストパンクを標榜しているだけあって、音は現代的ながらも骨太な感触を与えている。ただダブとか影響は無くてガレージだったりポジパンの雰囲気なのはあの時代の総合的なイメージなんだろうな
"2013-09-29 10:12:39"

いろはにほへと/孤独のあかつき

いろはにほへと/孤独のあかつき

13年発表12thSG。両A面シングル。「いろはにほへと」の方はいつもの椎名林檎であんまり面白みのある曲じゃないけど、NHK朝ドラ「カーネーション」の脚本、渡辺あやが作詞した「孤独のあかつき」の出来が素晴らしい。むしろ作詞を全部ほかの人に任せて、歌唱と曲に拘ったアルバムを作って欲しいと思わせる出来
"2013-09-29 10:32:31"

RANDOM ACCESS MEMORIES

RANDOM ACCESS MEMORIES

13年発表5th。聞き終えてまず全体の印象として浮かび上がったのは21世紀版「Thriller」だなというのとこれはSF的コンセプトアルバムなんだなという風に思った。タイトルの通り、記憶をランダムにアクセスしているからこそ、新旧のゲストミュージシャンが入り混じっていると
さらにEDMの源流であるディスコというポップミュージックの完成形を目指したアルバムで「完璧」が求められたアルバムであるといえるかな。で、本作は「タイムマシーン」という捉え方をすると非常にコンセプチュアルなんではないか。
前述と合わせるとDJのディグる行為がまさしく本作のアルバムタイトルでしょう。で、その象徴的楽曲がG.モロダー参加する3とラストナンバーの13。特に13は裏にミュンヘンサウンドを織り込んで、最後ラジオノイズで終わる辺りが非常に象徴的じゃないかと思った。良くも悪くも名盤
"2013-09-29 18:59:13""2013-09-29 19:03:24","2013-09-29 19:30:35"

UNLUCKY GIRL!!(初回限定盤)(DVD付)

UNLUCKY GIRL!!(初回限定盤)(DVD付)

12年発表デビューSG。かせきさいだあがカバーしたアニメ「戦国コレクション」のED、1を始めとする3曲入り。ニコニコ動画で活躍するOSTER projectがプロデュースしている。渋谷系ライクなポップソングでガーリーな雰囲気満載のシングルになっている。1のベースラインがいいのよね
"2013-09-30 00:43:27"

Live at Bestival 2012 [帯解説 / 国内盤] (BRC385)

Live at Bestival 2012 [帯解説 / 国内盤] (BRC385)

13年発表ライヴ盤。一応、公式リリースされたアルバムではキャリア初のライヴアルバムということになる(と思う)。12年9月に行われたライヴの実録。P.フックがいなくても きちんとNOの音になっているというかエレクトロニクスの進化が楽曲を更新している印象。バンドの過去と未来を捉えた一枚かと。
"2013-10-02 09:18:22"

BOSNIAN RAINBOWS (ボスニアン・レインボーズ: +bonus track)

BOSNIAN RAINBOWS (ボスニアン・レインボーズ: +bonus track)

13年発表1st。マーズ・ヴォルタを解散させたオマー・ロドリゲス・ロペスの新バンド。ベースレスのNW風サウンドを中心に、70年代を髣髴とさせるオマーの情感たっぷりの高濃度ギターフレーズが交じり合い、陶酔感の強い楽曲揃いになった。Voのテリ・ジェンダー・ベンダー嬢の歌声も良い。
"2013-10-02 22:45:13"

E・B・I・S

E・B・I・S

86年発表2nd。あえてシングル曲を収録せず、アルバムというフォーマットで勝負した1枚。彼らの個性はまだまだ荒削りのまま出ており、煌びやかな音の中に灰汁とりせずにそのまま押し出した感があるので面白い。スローナンバーの5・10が出色。ファンク色の強い曲もいい。
"2013-10-06 08:31:51"

SINGLES

SINGLES

87年発表編集盤。タイトルの通りシングルに収録された曲を集めているんだけど、A面収録は1と5のみで残りは全てカップリング曲の収録という捻くれまくった構成。しかし、米米CLUBというグループの特質を見事に捉えている。バブリーな面とそれをちゃぶ台返しするのが彼らの魅力なのだろうなあ
"2013-10-06 10:55:30"

GO FUNK(完全生産限定盤)(DVD付)

GO FUNK(完全生産限定盤)(DVD付)

88年発表4th。このアルバムから第二期米米CLUBサウンドといえるファンク色の強いブラックコンテンポラリーな音作りになった。とはいえ、ゴスペルだったりR&Bだったり雑多な音楽性になっている一方でバブリーなケーハクさも感じるかな。ちなみに初回限定仕様という形態も作った歴史的1枚。
"2013-10-06 13:16:12"

5 1/2(完全生産限定盤)(DVD付)

5 1/2(完全生産限定盤)(DVD付)

89年発表5th。前作のファンク路線がより強固になりジャポネスクファンク&ポップスを展開した作品。ジェームス小野田が大フィーチャーされているのもファンク度が高めなわけだが、要所要所でポップスサイドのカールスモーキー石井メイン曲がアルバム構成を引き締めている印象。しかもオリコン1位
"2013-10-06 14:34:31"

K2C(完全生産限定盤)(DVD付)

K2C(完全生産限定盤)(DVD付)

91年発表6th。内容は既存曲のリメイクとライヴ音源収録という企画盤的側面が強いがバンドの勢いがそのまま音に表れており、悪いわけが無いという出来。初回盤は8cmCDのライヴ音源つきでジャケットデザインも凝った作り。音は初期と第二期の融合を試みており、その後の布石にもなっている。
"2013-10-06 19:00:55"

Royal Scam

Royal Scam

・76年発表5th。まず「眩惑の摩天楼」という邦題がカッコいい。彼らのキャリアの中では最もロック色の強いアルバムだがそれ以上にニューヨークという都市の表裏を体現しているかと思う。中心街から各コミュニティの下町、はたまた裏路地まで情景が浮かび上がってくる。特に好きなのは1,5,6,9
"2013-10-16 08:24:46"

Without a Sound

Without a Sound

94年発表6th。J.マスシスのワンマンバンド化したアルバムで若干のサポートメンバー以外の演奏はほぼ一人でやってる。音はノイジーだが角が取れて丸みを帯びたポップになっている。疾走感よりはミッドテンポな余裕を持った曲が多く、そのユルさが割りと心地いい。アメリカンな乾いた音だよなあ。
"2013-10-16 20:39:37"

Hand It Over

Hand It Over

97年発表7th。バンドのキャリアに一旦幕を引いた一枚。このむちゃくちゃ気の抜けたジャケットデザインとは裏腹になにかやけっぱちさと終焉を感じるサウンドが不思議な印象。やりたいことを総ざらいというか、ユルい焦燥感とアメリカ特有の能天気な楽観が同居し、ノイズギターに色を加えている。
"2013-10-16 21:40:55"

Substance

Substance

88年発表編集盤。シングルをアルバムに収録しないポリシーだったバンドのシングルを全収録。後のNOに繋がる要素もあるがP.フックとS.モリスのリズム隊が暴れまわり、I.カーティスの低音ボーカルがソリッドなバンドサウンドを体現している。その中でも10の美しさはまさしくニューウェーヴ
"2013-10-18 22:27:35"

Zero Set

Zero Set

82年発表唯一作。コニー・プランク関連作。ジャケットが体を表すを地で行く一枚。クラウトロックの巨人たちが作り上げた人力テクノ。いや、電子音を駆使しながら、M・ノイマイヤーのドラムによる、インダリストリアルかつ呪術的リズムの快楽がなにか根源的な野性的感覚をリスナーに呼び起こしてくれる。時代を考えると早すぎた一枚
"2013-10-19 22:41:53"

75年発表6th。バンド名以上にフロントマンのマニュエル・ゲッチングが大きく表記されていることからも分かるようにバンドというよりソロプロジェクト化した一枚。ディレイ処理を駆使したギターの多重録音サウンドが聞き手を深く深く陶酔に沈ませていく。人力アンビエントテクノの傑作でしょうね。
"2013-10-23 11:10:48"

Amazing Bud Powell 2

Amazing Bud Powell 2

51年、53年録音盤。51年、53年のセッションを収めたブルーノート盤の第二弾。バド・パウエルのピアノが好きなところは天衣無縫な鍵盤捌きもそうなのだけど、時折見え隠れするクラシック音楽の部分。ソロを聞いていると、クラシックを歪ませ、ジャズに落とし込んでいる流麗さがまた素晴らしく、ずっと聞いていたくなる
"2013-10-27 14:20:24"

Amazing Bud Powell 3

Amazing Bud Powell 3

57年録音盤。57年のセッションを収録。不調と言われるこの時期のバドだがこのアルバムではメロウなタッチが凄くいい。出色はやはり4。タイトルの通りバッハを意識するも、奏法はまさしくバドのジャズピアノである。それ以外にも2と3か5とか好き。6〜8にはジャズトロンボーンの双璧の一人、C.フラーが参加
"2013-10-28 23:41:20"

ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル+2

ザ・ジニアス・オブ・バド・パウエル+2

50、51年録音盤。50年、51年のセッション盤。1〜4がトリオ編成、5曲目以降がソロ演奏。絶頂期の録音なのでもうピアノが縦横無尽に駆け巡る。ソロがまた素晴らしい。音の重ね方がクラシックっぽくもあるんだけど、リズムの跳ね方が黒人ならではもので、重厚な旋律が軽やかにスウィングしているのが何よりも魅力的。
"2013-10-31 00:10:49"

Lizard: 30th Anniversary Edition

Lizard: 30th Anniversary Edition

・70年発表3rd。既に1stのメンバーがR.フリップとP.シンフィールドのみで以後は、空中分解するのを持ちこたえながらバンドキャリアが積まれていくことに。全体の印象としては「麺がのびたラーメン」か。繊細で儚く、ゆったりしたリズムの曲が多いため、メリハリがないが1や4など佳曲もある
とはいえ、この弛緩した空気感は後のディスコグラフティにもあまり見られない雰囲気なので、まったり浸りたい時にはぴったりかも。
"2013-11-03 09:18:24""2013-11-03 09:19:21"

Inner Fires

Inner Fires

53年録音盤。53年にワシントンのクラブ、カヴァコスで録音されたライヴ。音質は余り良くないが療養復帰直後の録音であり、バドの演奏は全盛期さながら。しかし、それ以上にドラムのロイ・へインズのプレイが神懸かっている。4や11におけるソロ演奏は非常にテンションの高いもので聞き応えがある。bはミンガス
"2013-11-03 22:17:52"

Islands: 30th Anniversary Edition

Islands: 30th Anniversary Edition

・71年発表4th。フリップ&シンフィールド体制の最終作。荘厳かつ静謐な印象があり、前作の緩さが再度のメンバーチェンジによりきゅっと引き締められた。音楽的にはジャジーに向かっているが、2などの演奏の激しさはやはりクリムゾンらしくもある。初期4作では宮殿の次に一番まとまりのいい一枚。
"2013-11-06 14:16:41"

63年録音盤。晩年期の演奏で最盛期の迸るプレイはここにはないが終始リラックスした演奏が聴ける。66年に41歳の若さで亡くなるわけだけど、ここでのバドは若さと勢いにその身を任せるというよりむしろ余裕を持った円熟さすら感じられる。なにより彼の作品群の中でもとりわけクリアな音で聞ける一枚
"2013-11-06 22:26:06"

Jazz Giant + Bonus Tracks

Jazz Giant + Bonus Tracks

50〜51、54年録音盤。実質「Jazz Giants」と「The Genious Of Bud Powell」(+2曲)の2in1ディスク。まず全収録曲が4分未満と言うのに驚く。確かにレコードの収録時間の関係もあるがそれ以上に全盛期の稲妻のような演奏は正にパンクなジャズと言えよう
"2013-11-10 23:03:22"

バンブー

バンブー

70年録音盤。尺八奏者が和楽器奏者をメンバーに従えて、録音した和ジャズの名盤。特に1〜4までは琵琶、琴、和太鼓、鼓にウッドベースが入る構成での各種ソロパートがクールにアツい。5以降は尺八×ジャズバンドだがこちらも聞き応え十分。特に1や3での演奏は日本独特の墨絵の繊細な黒さと言える。
"2013-11-13 11:40:27"

90125

90125

・83年発表11th。80sサウンドの波に乗ったYesといえばいいだろうか。1の大ヒットは既に食傷気味だが、実はコンパクトな佳曲揃いの一枚だったりする。特に2〜7の流れなんか結構秀逸だと思う。Wトレヴァーが花を添えているが、7などのクリス・スクワイアのベースがよく歌っているなあと。
"2013-11-16 23:39:11"

HEAVY WEATHER

HEAVY WEATHER

・77年発表7th。前作ではゲスト参戦的だったJ.パストリアスが正式メンバーとして全面参加、グループの大ブレイクに繋がった一枚。それまでどことなく幻想的、牧歌的な雰囲気だったバンドの空気をスタイリッシュかつ都市的に引き締めたのが大ヒットの最大の要因なんだろうなと。言うまでもなく名盤
"2013-11-17 10:45:16",


サク゛ラト゛・コラソン・タ゛・テッラ/捧げもの

・84年発表1st。ブラジリアンプログレの雄、音はシンフォニックに瑞々しくカラフル。中心人物、マーカス・ヴィアナのヴァイオリンを始めとした大所帯のバンドであるが、その伸びやか、神秘的かつ開放感を溢れる一連の楽曲はユーロロックとは一線を画すか。リズミックよりメロディックという趣の一枚
"2013-11-17 14:12:48"

シンフォニア

シンフォニア

・87年発表2nd。シンフォニック度がさらに加速、ポップになった感のある一枚。空に広がる星々の壮大さと深遠さに思いを馳せたくなる、そんな煌びやかかつ雄大なメロディが美しい。雰囲気に浸るのもいいがM.ヴィアナのエレキヴァイオリンの超絶プレイなどアンサンブルも侮れない出来。
"2013-11-17 21:24:04"

自由の灯

自由の灯

・,91年発表3rd。一般に最高傑作と評判の高い一枚。シンフォニックな旋律にグループの中核、マーカス・ヴィアナがヴァイオリン終始弾きたおすのが今作の特徴。緩急を兼ね備えた演奏と軽やかに壮大なサグラドサウンドは燗爛の域に達している。上げ潮に乗ったグループの勢いがそのまま表れた作品だろう
"2013-11-17 23:58:29"

64年録音盤。マックス・ローチのリーダー作だがタイトルの通り、幻のジャズピアニスト、ハサーンをフィーチャーした唯一のアルバム。ローチのパワフルなドラムに負けず劣らずの力強いタッチはモンクやバドに匹敵する。流麗に奏でられるゴツいピアノの音の魅力は素晴らしく、録音がこれだけなのが残念。
"2013-11-20 08:58:10"

想い出のサン・ロレンツォ

想い出のサン・ロレンツォ

・78年発表1st。ソロワークスと平行してリリースされたパット・メセニー・グループの処女作。彼の音楽はフュージョンと言われるがちょっと語弊があるような気がする。さまざまな音楽の融合体という点ではフュージョンなんだけどアメリカンミュージックとしてはポストジャズとして連なる音楽だろう。
パット・メセニー・グループ,想い出のサン・ロレンツォ,,聴いた,ジャズの素養も汲みつつ、カントリーやブルーグラスのような柔らかく伸びやかな白人音楽の旋律が織り交ぜられて、組みあがった音楽がP.メセニーのコンテンポラルな音楽だといえそう。広大な草原を吹き抜けるようなメロディーはアメリカの大地を感じさせるなと。全曲良いが疾走感のある6がハイライト
"2013-11-20 11:24:54""2013-11-20 11:30:10"
※レビューしたのを忘れて、これも後に再レビューしてます。


教育

教育

・04年発表1st。ソロ活動に一区切りをつけた椎名林檎が結成したバンド。改めて聞くとソロ第三作「加爾基 精液 栗ノ花」の直後にロックへと向かいましたって印象が強い。シングル曲の2,3とかは新鮮だが、バンドの方向性はあんまり定まってなくて、椎名林檎の個性に引きづられてしまってるなあと。
"2013-11-21 21:04:14"

大人(アダルト) (初回限定盤)(DVD付)

大人(アダルト) (初回限定盤)(DVD付)

・06年発表2nd。GとKeyがメンバー変更されて、解散までの体制が整った一枚。1stでのバンドとしてのまとまりのなさから、角が取れた印象。椎名林檎のバンドというより、より東京事変というバンドが前面に押し出された。ロックに限らずポップを変幻自在に表現可能になったのが大きいかと。
"2013-11-21 23:09:40"

娯楽(バラエティ)

娯楽(バラエティ)

・07年発表3rd。椎名林檎が初めて作曲に関わらず、歌唱に専念した一枚。椎名林檎に掛かる負担が軽くなった分、楽曲もタイトルの通り、バラエティに富んでいるように思える。その為か捨て曲、外れ曲というのが見られないのも特徴かな。東京事変らしさを確立したという点では始まりの一枚ではないかと。
"2013-11-23 21:40:49"

スポーツ

スポーツ

・10年発表4th。1ののっけからのコーラスコラージュにビックリもするが、楽曲の瞬発力と躍動感に満ちた、まさしく「スポーツ」な出来栄えの一枚。構成もしっかりしてて、椎名林檎が作曲してる7を芯にタイトかつ華やかな演奏が凄くいいなあ。東京事変というバンドのピークを見事に捉えていると思う
"2013-11-23 22:45:53"

大発見

大発見

・11年発表5th。再び椎名林檎が作曲に加わり、1stのニュアンスが入り込んだことで東京事変が完成された&発見されたということで、ジャケットがこのような形なんだろうなあ。ビートルズの「AbbeyRoad」のような終焉を感じさせる一枚。前作に比べても少し楽曲の重みが違うのがまた。
"2013-11-24 09:13:03"

深夜枠

深夜枠

・12年発表編集盤。シングルカップリング曲集。新曲である1と13含んだ企画盤。ほぼ網羅しているが、全体にアルバムよりアダルティーな印象が強く残る楽曲が多い。カバー曲も数曲あるので、その辺りも起因しているのかも。アルバムが陽だとすると陰の雰囲気。だからこそタイトルも「深夜枠」なんでしょうね。
"2013-11-24 10:09:57"

color bars

color bars

・12年発表6th。ビートルズホワイトアルバム的ミニアルバム、そしてラストアルバム。メンバーが各々曲を書いて、敢えてバラバラの個性を際立たせた一枚。化学反応前の薬品をそれぞれ見ているような感覚。こうして見ると各メンバーも椎名林檎に負けず劣らずの作曲者だったんだと。5が突き抜けてる
"2013-11-24 10:39:47"

東京コレクション

東京コレクション

・12年発表ライヴベスト盤。さすがにベスト盤なのでライヴとしての一貫性はあんまり無くて、そっちは映像ソフト見てねということなんだろうか。わりとかっちりした演奏なのでそこまで面白みが無いけども、4〜10辺りの流れは結構好きかな。これで東京事変のCDのリリースは終了。有終の美を飾った
"2013-11-24 13:50:32"

Mysterious Traveller

Mysterious Traveller

74年発表4th。Bにアルフォンソ・ジョンソンが参加し、エキゾチックさがグループの音に加味された印象。全体としてはトワイライト、昼と夜の境目の輝きを捉えたような穏やかな眩しさを感じる幻想的な楽曲が多いか。J.ザウィヌルのナチュラルなシンセもそうだが、空間的な広がりを感じる一枚。
"2013-11-24 14:51:03"

Tale Spinnin'

Tale Spinnin'

75年発表5th。エキゾチックさを保ちながら、躍動感とリリカルさを研ぎ澄ました作品。よりファンキーに、土着的かつ幻想的にフュージョンしてる。J.パストリアス加入以前の集大成的内容。W.ショーターの光眩しい響きのSaxがJ.ザウィヌルのkeyが作り出す闇に混じった、陰影の濃い一枚。
"2013-11-24 16:54:53"

Black Market

Black Market

76年発表6th。2と6で遂にJ.パストリアスが参加。とはいっても本作のBは前作からのアルフォンソ・ジョンソンがメイン。アルバムの構成としては幻想的な趣が引っ込んで、神秘的なサバンナの奥地から人の住まう大地まで戻ってきた印象。1などのファンキーな曲が並ぶがまだアメリカ大陸は遠い。
"2013-11-24 17:52:40"


IN SOUNDS OF HAWAII STUDIOS

IN SOUNDS OF HAWAII STUDIOS

74年発表2nd。ハワイで開催されたSunshine Festivalでの出演後の打ち上げパーティでのスタジオライヴを収録。和やかな雰囲気の中、外道の演奏は恐ろしいまでにタイト。ハンマービートも仰天なほどに芯の入ったリズムは最後の8を披露するためと思うと実に計算高い構成で舌を巻く
"2013-11-25 00:08:30"

ペイント・ザ・スカイ ?ザ・ベスト・オブ・エンヤ

ペイント・ザ・スカイ ?ザ・ベスト・オブ・エンヤ

・97年発表ベスト盤。是非、音のいいヘッドフォンやオーディオシステムで聞いて欲しい。壮大で神秘的な優しいメロディは緻密な音作りが何層にも折り重なっており、大変奥行きのある楽曲が揃っているので。入門編としてもお勧めだがポップミュージックとしても聴けるものが多く、楽しめる一枚でもある
"2013-11-26 23:38:25"

DONJUAN LIVE(紙ジャケット仕様)

DONJUAN LIVE(紙ジャケット仕様)

80年発表ライヴ盤。Gにフラワートラヴェリンバンドの石間秀樹が参加。が、Voのショーケンのパフォーマンスが凄まじい。型に嵌らない自由闊達な歌唱は一聴の価値あり。演奏陣も負けず劣らず、後半に行けばいくほどグルーヴのテンションが高くなっていく。ハイライトはDisc2の1,4,5
"2013-11-27 21:38:11"

プライベート・アイズ

プライベート・アイズ

  • アーティスト: ダリル・ホール&ジョン・オーツ,ダリル・ホール,ジョン・オーツ
  • 出版社/メーカー: BMGビクター
  • 発売日: 1995/04/21
  • メディア: CD
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82年発表12th。彼らがアメリカのトップスターであると決定付けた大ヒットアルバム。そして80'sポップスの代表的名盤。全盛期というのもあって、タイトなスケジュールに忙殺されながらも製作された1,3の大ヒットのみならず6,7,10,11などハイクオリティの楽曲が揃った、充実の一枚
"2013-11-28 07:47:27"

神聖かまってちゃん(初回限定盤)

神聖かまってちゃん(初回限定盤)

13年発表1st。バンド神聖かまってちゃんのVo、の子のソロ第一作。内容は神聖かまってちゃんとして発表した曲のリメイク。演奏メンバーに演奏力のある面子を揃えたので、ローファイ感が薄まり、締まった印象がある。聞き応えは十分だが、これを売る狙いがいまいちよく分からない感じか。だが出来は良い
"2013-11-28 21:41:11"

Monster Movie

Monster Movie

69年発表1st。クラウトロックの代表的バンドの一つ。執拗なまでの反復ビートに重ねられていくベースにギターに電子音がカオスなグルーヴを巻き起こしている。ハイライトは20分超の4。異様な迫力を帯びたこの曲を聞いた後で大した事無かったはずの1〜3を聞き返すという無限ループに陥る名盤。
"2013-11-28 22:36:52"

Tago Mago (Reis)

Tago Mago (Reis)

71年発表3rd。流浪の日本人ヒッピーだったダモ鈴木をVoに迎えての第二作。従来の路線を踏まえよりフリーキーかつカオスティックなアンサンブルと化した。ダモ鈴木の日英言語入り交ざったデタラメ歌唱がグルーヴのマグマを煮詰めて噴火する。7の醒めたテンションで最後を締めくくるのがクールだ
"2013-11-30 20:28:34"

Lost Tapes

Lost Tapes

13年発表の3枚組未発表音源集。68〜77年までのライヴ音源、セッション音源などが収録されている。雑多な内容だが、どれも何で今まで埋もれていたんだ?という内容の密度の濃いものばかりで、通して聞くと結構、体力奪われる。しかしCANというバンドの可能性は広大なものであったと再確認する
Disc1は最初期、68年〜72年のセッション音源がメイン。マルコム・ムーニー期の音源とダモ鈴木期の音源が一挙に楽しめる。音はひたすらにカオス。民俗音楽的リズムが叩きつけられ暴力的なまでに暴発するエネルギーの熱量に圧倒される。2,5,9辺りが好きかな。テープ編集の技も見られる
Disc2も68〜74年ごろまでの音源だが、こちらは72〜74年ごろのダモ鈴木期のライヴ音源がメイン。どれもテンションが高い演奏だが6〜8までの長尺曲が白眉である。熱狂と覚醒の落差が興味深いか。とくにチルアウトしていく様はCANの後期サウンドの重要なモチーフだと見た。
Disc3は70〜77年のセッションとライヴ音源がメイン。特に74年以降のダモ鈴木脱退後の音源が中心。熱狂から醒めた雰囲気を感じるがチルアウトした中に潜むバンドの知性が見え隠れしていて、興味を引かれる。単に燃え尽き症候群ではなく、思考して、構築してるような冷却した視線が面白い。
"2013-12-01 10:02:03""2013-12-01 10:06:55""2013-12-01 10:12:41""2013-12-01 10:17:02"

Neu!

Neu!

72年発表1st。ハンマービートの創始者。CANの有機的な反復ビートに比べるとそこは本家。無機質な反復を徹底している。全編通して、エフェクティヴな音が鳴り響き、ノイズ空間を構築する。そこに介入する一切の感情は無いが、ただ響く音とリズムに身をゆだねる快感がこの一枚には確かにあるのだ
"2013-12-02 22:23:15"

Neu! 2

Neu! 2

73年発表2nd。制作費が足りなくてアルバム半分の曲しか録音できなかった彼らが残り半分を7と11のヴァリエーションで補うことでRemixという手法を先駆的にやってしまった怪我の功名的作品。人力Remixなのでアナログ感が半端ないが、補って余りあるサウンドに仕上がっていると思う。
"2013-12-02 23:18:38"

JAKE BUGG

JAKE BUGG

12年発表1st。当時18歳だった少年がUK音楽シーンに叩き付けた無骨なまでのロック&フォークソング。彼の凄さの本質はこれまで英国音楽が培ってきたメロディ感覚が既に借り物でなくインプットされた状態で自分の色を表現してる所。だからこそ、7,10,14などのスローな曲がより映えている
既にこの一枚だけで、Jake Buggという人物の描く音楽は完成されているからこそ、経年変化による熟成が今から楽しみだと思う。多分、何をやっても面白いものが出てくるだろう。これから10年、20年と長くコンスタントに楽しめるアーティストが出てきたなあという印象。2ndも購入済み。
,"2013-12-04 10:07:12""2013-12-04 10:10:34"

LEVEL3

LEVEL3

13年発表4th。もう色々凄い。なにが凄いって、アイドルグループが最先端のEDMに乗せて歌っているという状況だけでも凄いのに、しかもそれがヒットチャートの第一線で売れているポップソングでもある事実。分厚いシンセベースに四つ打ちリズム、アイドル性がこれらが高次元で成立してる一枚。
ここまで尖がったEDMなのにもかかわらずPerfumeの個性が消えていない辺りのバランス感覚もまた凄いよなあと。Sg曲のREMIXverもいいけど、脇を固める曲もレベル高い。6のように適度にガス抜きできる曲があるのも○。世界デビュー後第一弾としてもいい名刺がわりの出来だと思う。
"2013-12-04 12:57:54""2013-12-04 13:01:56"

初期傑作集

初期傑作集

89年発売ベスト盤。キャリア初期のベストアルバムで1st〜3rd収録曲から選りすぐった一枚。友川かずきの歌は生と死、孤独と愛を剥き出しの心と言葉で攻め立てる。苛烈さの中に、時折見える優しさもひっくるめて、彼の溢れる感情が聞く者の心を掴んで放さない。どれも一度は聞いてもらいたい言葉の鋭さが鮮烈に印象に残る。
"2013-12-04 14:57:03"

米米CLUB(完全生産限定盤)(DVD付)

米米CLUB(完全生産限定盤)(DVD付)

91年発表7th。初のセルフタイトルだが、中身は危険極まりないwファンの内では「ソーリー曲」といわれるアクの強いパロディ曲、およびノベルティソングを集めたライヴ盤。しかしこれこそが彼らの真骨頂だと思う。ライヴバンドであり、ネタに走ることも躊躇しない。特に12が異彩を放ちすぎている
"2013-12-04 18:37:45"

MORE LIGHT

MORE LIGHT

00年発表1st。Dinosour Jr.解散後の最初の作品。とはいってもやることは全く変わらずw ポップなノイズの嵐を最大限拡大解釈する趣でピアノやシンセが装飾音として絡んでくる辺りが面白いかなと。あいかわずノイズギターやメロディは言うまでも無くカッコいいです。
"2013-12-04 22:03:43"

Free So Free

Free So Free

,02年発表2nd。ノイズギターはそのままによりアメリカンロックの系譜に組み込まれていく様子が分かる一枚じゃないかと前作と比べても曲のアプローチの幅が広がっていてなおかつポップでノイジーで歪んだ開放感を感じる。07年のDinosourJr.再結成にはこの経験が生かされてると思う。
"2013-12-08 12:33:05"

ワトキンス・アット・ラージ

ワトキンス・アット・ラージ

56年録音盤。A.ブレイキーのジャズ・メッセンジャース初代ベーシストのリーダー作。心地よくスウィングするベースラインに誘われ、H.モブレー、D.バード、K.バレル、D.ピアゾン、A.テイラーが好演する。グッドタイムミュージックが保証できる一枚。全編聞き所多し。隠れた良盤かと。
"2013-12-08 17:33:58"

Fly With the Wind

Fly With the Wind

76年録音盤。ストリングスを交えたジャズロックといわれると、洗練されたものを思い浮かべるが、この作品においては否である。リーダーのM.マッコイのピアノを始めとして、ラテンフレーヴァー主体の情熱的なアンサンブルが聞ける。特にdrのB.コブハム、FlのH.ロウズのプレイが際立っている
"2013-12-08 18:43:18"

Beyond the Blue Horizon (Cti Records 40th Annivers

Beyond the Blue Horizon (Cti Records 40th Annivers

71年録音盤。G.ベンソンというと80年代のライトフュージョンやブラコン的なものを想像する方が多いかもしれないが活動履歴は60年代からなので長いキャリアなんですよね。この作品ではストレードアヘッドなジャズがフュージョン風味で聴けます。なによりもG.ベンソンの雄弁なギターが魅力的。
G.ベンソンは歌も上手いけど、ギターも相当な名手で、ウェス・モンゴメリー直系のオクターヴ奏法を駆使したぶっといトーンで流麗かつ速いソロを弾ける。このアルバムでも弾き倒してます。ジャズギターと言うのはこういうものだというのを事も無げに披露してるのがまた凄い。
"2013-12-08 21:37:10""2013-12-08 21:42:13"

Bad Benson

Bad Benson

74年録音盤。P.アップチャーチとの共演盤。スタンダード2曲、ベンソンとアップチャーチの作曲がそれぞれ2曲。+ボーナストラックが3曲。1のスタンダード曲からしてもうヤバい。ベンソンとアップチャーチのギターの絡みが恐ろしいくらいに聞き応えのある演奏になっている。
ストレートアヘッドなジャズっぽさを保ちつつ、なおかつテクニカルなフュージョンとしてもギターを弾きまくる様は圧巻。しかもまたP.アップチャーチにDrのS.ガッドの演奏がキレまっくていて、アンサンブルも尋常じゃない。ボートラも素晴らしい出来。なんだか色々極めている一枚だなあ。
"2013-12-08 22:51:31""2013-12-08 22:54:50"

ミスター・ゴーン(期間生産限定盤)

ミスター・ゴーン(期間生産限定盤)

79年発表8th。ワールド・ミュージックのセンスで4ビートのジャズをやると、とてもミステリアスな響きに生まれ変わった不思議なアルバム。ジャズであってジャズじゃない。しかしフュージョンである。ただこのグループを聞く初手としてはお勧めしがたいか。ザウィヌルのシンセの音色が面白い一枚。
"2013-12-09 22:09:00"

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

RIDE ON TIME (ライド・オン・タイム)

・80年発表6th。テープ版で視聴。氏の大ブレイク盤。先日亡くなった青山純氏が若干22歳で演奏メンバーとして名を連ねている。1〜大ヒット4にいたる流れが凄くいいかな。5は同名SF小説のオマージュ。爽やかな明るいアップテンポ曲とウェットなメロディが響くスローな曲が聞ける。特に自分は1と3が好きです。
"2013-12-10 22:32:25"

Live 2004

Live 2004

05年発表ライヴ盤。ジャパンプログレバンドKBB、通算だと三枚目のアルバム。2が次作に収録される曲でここでは新曲扱い。ヴァイオリンがメインのグループだがアンサンブルも磐石でどの曲もライヴならではの演奏で聞き応えが十分。Vlの壺井さんも素晴らしいが、他のメンバーもまた良い演奏です
"2013-12-11 13:18:10"

13年発表14th。7thのFRUITS CLiPPER以来の購入。8曲36分という余計なものが一切無いかのようなハードエレクトロ。もはやポップを通り越してプログレッシヴである。PCキーボートの各キーがアルバム、及び楽曲の名前となってる素っ気なさも凄いが、全ては8に集約されている。
2〜7までのストイックかつEDMの要素も孕んだエレクトロが最終的に雪が舞うかのような、ミッドテンポの8に至って終幕を迎えるのは構成として出来すぎている気もするなあ。8は坂本龍一の「Merry Christmas Mr. Lawrence」に肉薄してる印象があるなあ。褒めすぎかw
"2013-12-11 19:58:56""2013-12-11 19:59:12

ペパーランド

ペパーランド

92年発表8th。森高自身が作詞・作曲に更には全曲演奏(主にドラム)で参加し、アイドルから脱皮を試みた一枚。歌詞的には2,3,10辺りが目を引くが、音楽的には作詞作曲演奏まで自前でやった5の後の6。彼女独特の揺れるリズムとシンセだけという曲で面白いアレンジをしてる
あとビートルズを意識してなのか、録音ミックスが4トラックや8トラックを意識したような曲が多数合って、くっきりドラムと他の演奏が左右どっちかのチャンネルによってるのもこだわってるなあと。
,"2013-12-11 20:55:54"

LUCKY 7

LUCKY 7

93年発表9th。前作を聞いた後だと、1のフィルインドラムの音の大きさに度肝を抜かれる。全体的にはラブソングが主体だが1や9のユーモラスさがいい味。しかし、やはりドラムが凄い。ロックンロールナンバー、スローナンバーと緩急を付けてかつ個性が出ているというのは簡単に出来ることじゃない
"2013-12-11 22:30:50"


STEP BY STEP

STEP BY STEP

94年発表10th。12弦アルペジオの響きで始まり前作のリズムを強調した作りから全体のバランスを取ったマージービートオマージュな作品。6のビートルズカバー選曲が渋かったり、12や9辺りのバラエティさやスローな曲など、音楽性の幅が広がった。それ以上に生活感のある歌詞がいいなあとも。
"2013-12-12 21:57:59"

TAIYO

TAIYO

96年発表11th。ビートルズライクな楽曲にからっとしたアメリカンポップスの要素が混ざり、突き抜けて陽気な一枚になった傑作。彼女のドラムもこれがベストワークスじゃないだろうか。1とか7も凄いが、10や13のアプローチとか切れてるとしか言いようが無い。名盤といって差し支えない出来。
CM曲である3、12、アルバムタイトルソングだろう7辺りの作詞作曲してる曲のクオリティも凄いのだが、アルバムの通り「太陽」をテーマにした曲が多く、締めがビートルズカバーの15の選曲も納得。しかもこのカバー、わりと良カバーだと思うのです。余計なことを一切してないほぼ忠実な演奏が良い
"2013-12-15 00:22:43""2013-12-15 00:27:18"

PEACHBERRY

PEACHBERRY

97年発表12th。前作が夏真っ盛りの太陽燦々な内容だったのに対して、今作は枯葉舞う秋〜粉雪降り積もる冬をイメージしたような内容。彼女のドラムも細やかなリズムを刻んでいる。1,5,13のシングル曲も素晴らしい。あとレコード盤を意識したジャケットデザインもなかなか乙なものです。
その他、聞き所としてはボサノヴァ風の3やディスコティークな6、ラウンジハウステクノ的でドラムが炸裂してる8、かとなくスクエアーなAORな9、そしてまさかのインストナンバー12など、一筋縄じゃいかない音楽性の幅がとてもポップですよ。音楽好きなら見逃さない手はない一枚です。
"2013-12-15 13:42:03""2013-12-15 13:45:07"

今年の夏はモア・ベター

今年の夏はモア・ベター

98年発表13thで細野晴臣プロデュースの企画盤。サウンド面においては細野色が強く、要所要所で森高ドラムが聞ける位、本作ではほぼ歌に徹しています。とはいえ、細野氏特有の低音の響く涼しげな夏のポップサウンドといった趣。3,4が面白いかな。1,5のカバーについては曲がいいって事で。
"2013-12-15 14:43:37"

Sava Sava

Sava Sava

98年発表14th。現時点での最新作。3でスガシカオ、7で久保田利伸、9でCOILが楽曲提供。これらゲスト作曲陣が目立つのとは裏腹に冬の穏やかな寂しさ、終末感が漂う一枚。1や2、6が楽曲的に興味深いが全体的に枯れた味わいを感じる一枚。この作品を最後に長期の音楽活動休止に至った。
"2013-12-17 06:43:16"

Relayer

Relayer

・74年発表7th。パトリック・モラーツが唯一スタジオ録音で参加した一枚。リック・ウェイクマンの英国らしい重厚かつモッタリとしたクラシカルな音に比べて、モラーツはジャズが基調のソリッドな音とスピード感でバンドに新風を吹き込んだ。他メンバーの演奏もこの時期がピークなので聞き応え十分。
"2013-12-18 11:58:06"

ルミナス(期間生産限定アニメ盤)

ルミナス(期間生産限定アニメ盤)

12年発表6thSG。劇場版「魔法少女まどか☆マギカ」前後編に使用された1をリードトラックとするEP形式SG。彼女らの基調はエレポップだが、エレポップ特有の切ない響きを上手く歌声に乗せていると思う。2や3のような明るい曲でもその響きがあるかな。それがこのユニットの特徴であるのかも
"2013-12-18 20:49:58"

カラフル(期間生産限定アニメ盤)

カラフル(期間生産限定アニメ盤)

13年発表8thSG。劇場版「魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語」主題歌1がリードトラック。1は明るさの中に終末感の漂う刹那的な雰囲気だが、カップリングの2,3も別れと成長を描いた曲なのでそういう点では切ないエレポップな感覚がいい。自分は1のサビに入る直前のベースラインがとても好き。
"2013-12-18 21:29:56"

GIVE 'EM ENOUGH ROPE

GIVE 'EM ENOUGH ROPE

78年発表2nd。Drにトッパー・ヒードンが加入。音楽性も1stと後の名盤3rdの中間で、パンクスとUKパブロックがごっちゃになった暴力性と甘酸っぱさが両方感じられる。演奏はよりソリッドに、メロディはポップに、メッセージは攻撃的に。どちらの旨味も見事、抽出された聞き易い一枚かと。
シェルター・ソング e.p

シェルター・ソング e.p

13年発表EP。日本独自の限定EP。ビックリするくらいのサイケ。これ聞いて気付いたけどサイケって「煙」とか「霧」がなくてはならない音楽なんだなと。「煙」の方はこの時勢色々アレだけど「霧」の方はまだ健在なのね。霧の都のあった英国だからこそ「霧」なんだろうと。メロトロンな音もびしばし鳴ってる。
どの曲もシングル盤としてリリースされた曲ばかりなので濃密なサイケデリアである。きちんと過去のUKロックを通過した上で「現代のサイケ」として機能してるのが凄いなあと思う。お気に入りの順は2>4>5>3>1かな。どの曲もいいけど楽曲に対して演奏が埋没しない辺り、現代的だなあと思った。
"2013-12-22 12:48:22""2013-12-22 12:55:01"

SHANGRI LA

SHANGRI LA

13年発表2nd。リック・ルービンプロデュース、LA録音というのもあって、1stの曇り空に光が差し、陰影の濃さが露わになって、土の香りも匂うカラッとした仕上がりになった。エレキを導入した2,3あたりはあくまで飛び道具であって、彼の本質の一面でしかなく、後半の方が内容が濃い。
ギターの扱い方にしても、彼のパーソナリティを語るものではないんだろう。あくまで曲を作る、あるいは弾く「道具」であり、なによりもまず「歌」がなくてはならないという印象を持つ。そこを本質的に捉えているからこそ、10代という輝かしい時代を勢いあるままに駆け抜けている様がよく分かる一枚。
"2013-12-23 20:40:13""2013-12-23 20:44:11"

No More Heroes

No More Heroes

77年発表2nd。UK五大パンクバンドの一角。ヒットナンバーの6,7もそうだがJ.J.バーネルのゴリゴリベースが全編に鳴り響く。楽曲もパンクというよりむしろNWといった方がしっくり来るものが多く、その手の元祖的内容でもあるかと。だが、曲の疾走感はパンク以外の何者でもなく興味深い。
"2013-12-23 23:21:32"

Black & White

Black & White

78年発表3rd。音の中心が完全にJ.J.バーネルのベース。オールド・パンクスでも際立って速さより重低音を意識した一枚。歌詞もそうだが、後のポジパンやゴシック、及び日本のV系にも繋がっていそうなホラーなサウンドと世界観。これら潮流や耽美系NWの祖として記憶されるべき名盤だろう。
"2013-12-27 18:49:09"

熱狂雷舞(紙ジャケット仕様)

熱狂雷舞(紙ジャケット仕様)

79年発表ライヴ盤。柳ジョージ&レイニーウッドとホーンセクションを率いてのパフォーマンスは極上のバーボンのような豊潤なグルーヴに満ちている。カクテルライトの下、歌うショーケンのカッコよさも凄い。日本のロックの名盤として名高いのも納得できる。D1-2,5〜8、D2-3,4,7がいい
"2013-12-27 21:04:36"

Hiro Yanagida

Hiro Yanagida

71年発表2nd。原題「7才の老人天国」。前作よりよりキーボード主体のプログレに進化している。同時期の海外シーンに呼応しており、その影響が伺えるが模倣に陥っていない辺り、注目に値する。GSっぽさやクラシック、ジャズの香りも残しながらも、それらが混合した音は日本特有の物だと思う。
"2013-12-28 01:11:51"

ピエロ(紙ジャケット仕様)

ピエロ(紙ジャケット仕様)

72年発表唯一作。カルトGSグループ、ザ・ダイナマイツのVoの作品だが、ペーソスな日常を綴ったホンキートンクな楽曲が揃った良盤。当時流行した四畳半フォークのさめざめとした曲調よりこのカラっとした軽快さに歌詞が乗ってる方が好みだな。7,9が良いのとボートラ2曲も素晴らしい。
"2013-12-28 09:39:15"

Dance & Shake Your Tambourine

Dance & Shake Your Tambourine

・76年発表1st。まるでスターウォーズR2-D2がディスコを踊ってるような名曲1を中心に小気味良いディスコソング満載の一枚。スペーシーなシンセと一定のリズムを刻むドラム、しなやかなベースラインで自然にリズムを取って踊りたくなる。でも実はスターウォーズの公開は77年だったりする。
"2013-12-28 17:20:21"

Always & Forever: Best of

Always & Forever: Best of

・82年発表ベスト盤。ドイツは確かミュンヘン出身のディスコグループ。大ヒットかつ代表曲である1のようにジャジーな趣もあるファンキーなディスコソングが特徴、メンバーも分かるように白人黒人の混合バンドなので、メロディアスかつリズミカル、コーラスもよく、ヨーロッパらしいあっさり感が良い。
"2013-12-28 20:51:53"

This Heat

This Heat

79年発表1st。非常にインダストリーな音楽が魅力の一枚。奏でられる音に一切の感情が乗っておらず、工業製品のような冷ややかさが感じられる一方、ドイツのプログレバンド、CANの初期の如き、粗野な演奏の繰り返しが音に意味をもたらしている。方法論に頼らないポストパンクの名盤だろう。
"2013-12-29 00:33:25"

Joy of a Toy

Joy of a Toy

69年発表1st。ジャズロックバンドのソフトマシーンを脱退してリリースした一枚。カンタベリーシーンの雰囲気をそのままにおもちゃ箱をひっくり返したような奇想天外なアヴァンギャルドさとカラフルなポップさが同居する。一つ一つの曲でなにか遊びを発見しているような楽しさが溢れる演奏が面白い
"2013-12-29 10:49:22"

Shooting at the Moon

Shooting at the Moon

70年発表2nd。現在はボートラが付き、曲毎に分かれているが元は組曲形式の全4曲構成(所有のCDも同じ構成)。前作よりもポップサイドとアヴァンギャルドサイドの落差が過激になっているが不思議と違和感がない。当時17歳だったマイク・オールドフィールドもGで参加しているフリーキーな一枚。
"2013-12-30 10:51:29"

アラゲホンジ

アラゲホンジ

11年発表1st。民謡×ファンク&ヒップホップという音楽祭発見ミクスチャーが最大の魅力。祭囃子にダンスグルーヴが混ざり、民謡独特の歌唱が重なって、和風な感覚がリズムの波にうねるなんとも快感な音楽となっている。聞いていて凄く楽しいし、演奏もいい。ヨコノリなリズムで踊れる一枚。
"2013-12-30 12:35:03"

たからかぜ

たからかぜ

13年発表2nd。前作より演奏方面が充実した一枚だろう。オリジナル曲の比重が高くなっているのかダンスミュージックっぽさがより強く出ているように思うが民謡っぽさも薄れてはいない。土着性の強い要素を1のようにスタイリッシュに出来る強みは面白いが、もっと癖を強く出して欲しいなとも感じた
"2013-12-30 13:47:19"

Miami Pop Festival

Miami Pop Festival

13年発表ライヴ盤。68年のマイアミポップフェスティバルの演奏を収録。ジミのライヴにしてはやや平板な印象を受けるか。7とか8とかはソロが結構面白い様に感じたけども。過去に自分の聞いたライヴ盤と比べてもややインパクトに欠けるか。演奏も悪くないのだが、平均点を抜け出せてない印象。
"2013-12-31 09:46:28"

Future Days

Future Days

73年発表5th。ダモ鈴木在籍期最終作。1st以来の呪術的なアプローチから解脱したような無重力空間系サウンドがトランシーな感覚を呼び起こす。ダモ版「Moster Movie」なんだろうけどこの軽さに日本的感覚が入り混じってるかは定かではない。4の後腐れのなさは天下一品だと思う。
"2013-12-31 11:44:04"

音楽鑑賞履歴(2017年4月)No1057~1077

月一恒例の音楽鑑賞履歴。
今回から新体制での感想です。
といっても単純にはてなブログの下書き機能を利用して、商品リンクとTwitterに上げた感想を随時コピペするだけなのですがね。手間が若干増えましたけど、あんまり作業的には変わりがないのかなと。まだいろいろ試行錯誤してるので、細かな変更があるかとは思いますがよろしくお願いします。
今月は21枚。まあまあ聞けてますかね。微妙にヒップホップとエレポップ特集です。あと今年亡くなったジョン・ウェットンアラン・ホールズワースの追悼感想があります。どっちも好きなミュージシャンだったので亡くなってしまったのはすごく残念。一時代を築いた人々がこれからどんどん亡くなっていくんだろうなと思うと、寂しくはなりますがそうやって時代は変わっていくんだなあと。
とまあ、そんなところで以下から感想です。


ジャーニー・オブ・フォーサイト

ジャーニー・オブ・フォーサイト

99年発表2nd。ストリート色が強くなり、雑多な印象が強くなった作品。アタックの強いビートにフロウされるラップはますます強靭に。前作の先行きのない不安や将来に覆いかかる焦燥感に打ち勝とうと抵抗するようにどこまでも力強く、日々を生きる姿を活写していく。確実に成長を感じる内容だ。
特にトラックメイキングの切れ味が全編にわたって、冴え渡っており合間合間に入るSkitやインストもとても聴き応えのあるものになっているのも目を見張るし、後半に行くと前作で押し出されていた沈痛なリリカルさも滲み出てきて、このグループならではの透き通るようなドープさが素晴らしい。
シークレットトラックになぜかスティーヴィー・ワンダーの「太陽のあたる場所」のパンクカバーが収録されているのはご愛嬌ながら、前作の持ち味を保ちつつ、グループの可能性を押し広げた作品だろうと思う。陰鬱な印象からわずかな光明に向かって、一歩前進し、重苦しさが少し軽くなった一枚。

THE GOODFELLAZ

THE GOODFELLAZ

02年発表3rd。沈痛さや日々の虚ろさが漂うリリカルな部分がだいぶ希薄になって、よりハードコア、ギャングスタ感が強くなった作品。ほぼ全曲に渡って、フィーチャリングアーティストがくっつき、客演の多い一枚でもある。トラックのビートが強調されているのもあって、筋肉質な趣も感じられるか。
そういう点では一番ヒップホップらしいとも言えるが、あのダークで透明感のあるメロウさがないので好き嫌いが分かれるところか。そういう点では装飾の多いサウンドテクスチャとも言える。クラブ向きのキャッチーなチューンもあるので、内容的にもパーティ感のある作品かもしれない。
ファンキーさに限らず、スパニッシュな音を取り入れていたりで、前作までの趣とはまた勝手が違うが悪くはない。この盤を最後にグループは活動休止となってしまうが、また彼らの曲を聴いてみたいと思わせる内容であり安定を求めず、前進する所に彼らの良さを感じる一枚か。いつか再始動して欲しい所だ

A Funk Odyssey

A Funk Odyssey

・01年発表5th。前作からの路線を強化し、ディスコ&ソウル色が濃厚な一枚。初期の代名詞であるディジャリドゥの音色が聞こえなくなったのは残念ではあるが、代わりに70sディスコっぽいストリングスの重ね方や、ギターの16ビートカッティングなどがアルバムをコーティングする。
リリース当時は、グループ自体がマンネリ期に入って、一時期の飛ぶ鳥を落とす勢いが減退しつつあったが、今改めて聞き直すと、彼らが15年前に提示していた音がここ何年かのトレンドになっているのと同時に、先見の明があったことに驚きを隠せないというべきか。当時は流石に今さらディスコかと思った
だが、ここで繰り広げられている音にはナイル・ロジャースばりのギターカッティングがあり、十数年後にダフトパンクが提示するディスコビートのブリリアントな輝きやソウルの甘い響きが詰まっているのだ。とはいえ、ビートがややもったりして軽やかさがないのに当時のニュアンスを感じざるを得ないか。
そういった抜けの悪さが、この盤が芳しくない評価を受ける一因に思えるし、実際、コンスタントに1~2年の感覚でリリースしていた、次作のインターバルが4年と空いてしまう事となる。失敗作とは言い難いが傷跡の大きい作品だろうか。内容は充実しているし、再評価されておかしくない出来かと。

FUTURE IS NOW

FUTURE IS NOW

02年発表3rd。傑作の呼び声高い前作というハードルに気負わず、自分たちのスタイルをさらに研ぎ澄ませた印象を感じる作品。日本語でラップをやる事に対する強い拘りが彼らの軸のブレなさに繋がっているように思う。フロウとトラック、そしてビートが絶妙に絡み合うだけでとても気持ちいい音になる
前作が実直な形でソウルやファンクからの引用が多かったトラックも、今作ではバラエティに富んでおり、エレクトロやガラージュっぽいものやメロウなサウンドが入り込む辺り、ダンスフロア仕様になっている。そこへ乗っかってくるライムも日々の問題や環境問題など範囲が広くなり、より内容は濃くなった
そういう点では前作から正当進化したアルバムだと言えるが、前作のインパクトが大きい為か、今作の印象が割を食い、霞んでしまう形になっているのは惜しい所か。ポップなニュアンスも含んで、聞きやすくなっているし、楽しさではこちらに軍配が上がるかも。ただ彼らも本作で活動休止なのが残念だ。

・05年発表OST。同名TVアニメシリーズのサントラ第一弾。プラネテスやこの作品を手がけた後にコードギアスなどの音楽も担当する中川幸太郎による、西部劇チックなBGMがとても聴き応えのある作品。哀愁というべきか、勇ましさや感情を奮い立たせるトランペットのハイトーンが印象的だ
本作ではOPテーマ曲に和太鼓で有名な鬼太鼓座も参加したり、ED曲にはビーナス・ペーターの沖野俊太郎が歌っていたりもしていて、西部劇的な楽曲に限らず、遠い荒野の惑星で繰り広げられる物語をバラエティ豊かに色添えている。ストリングスとホーンの音に独特の雰囲気を感じる一枚だろう。

「ガン×ソード」O.S.T.II

「ガン×ソード」O.S.T.II

・06年発表OST。同名TVアニメシリーズのサントラ第二弾。こちらの方は、ストリングスに比重を置いた、シリアスかつ荘厳な響きの重厚な楽曲が多い。主に後半の展開に合わせた内容となっているが、所々に挟まれるアメリカ南部を思わせるディキシーランド調のコミカルなものも収録されている。
とはいえ、後半の激化するバトルやそういった緊迫感のある展開に沿った楽曲ばかりなので聞いた感触としては重々しさや深刻さが伝わってくる為、あまり繰り返して聞けないか。簡単に言えば、エンニオ・モリコーニ調をさらにドラマティックにしている感じだろう。ドラマの最高潮を盛り上げる壮大な一枚。


ガン×ソードO.S.T.Extra Edition

・07年非売品OST。同名アニメ作品のDVD全巻購入特典で貰えたサントラアウトテイク集。公式発売された二枚のサントラから漏れた楽曲と最終話エンディングに流れたOPテーマの別バージョンが収録されている。収録時間は30分足らずなので、特典として送られるのも納得はする。
楽曲の方は二枚のサントラに収録されている楽曲のバリエーションが主。アレンジの違いでだいぶ雰囲気が違ってたりといった差異を楽しむことができる。曲調としてはシリアスなものや穏やかなものが多く、あまり派手さがないのと既存曲の変奏であることからサントラ収録からあぶれたのも頷けるか。
とはいえ、一番の目玉はシリーズEDで流れたOPのロングバージョン。鬼太鼓座の和太鼓による間奏が長く、物語の幕引きをうまく盛り立てている楽曲だろう。あと第1話のファーストシーンで流れてくる音楽もここに収録されている。今となっては入手困難だろうがファンなら粘って探す価値のある一枚かと
なお画像からも分かるように、このサントラはCDのジュエルケースではなく、DVDのトールケースなので、探す時は要注意。DVD全13巻の背表紙+このサントラの背表紙で一綴りの絵が完成するので、そういったコレクター面からも集めておきたい。

ZAZEN BOYSIII

ZAZEN BOYSIII

・06年発表3rd。17年現在、彼らのディスコグラフの中で最もハードで重量感のある一作。ドラムの松下敦が加入して初のアルバムとなるが、その松下の重いビートを生かした内容となっている。同時に本作からKeyを導入しており、これが後の作品に大きく貢献する。そういう点では過渡期な趣も。
音の殺伐さとポストパンク感では本作が臨界点ギリギリの緊張感を出しており、曲によってはかなりアヴァンギャルドに突き抜けたものもあって、向井秀徳の読経的歌詞に乗せて、グルーヴを作り出そうとしているためにメロディらしいメロディがそこまでないというか非常にミニマルなバンドサウンド
工業製品のようなメタリックな質感が全編に渡って、彩られており、聞こえてくる印象は非常にヘヴィーなのがこの盤の特徴だ。なのでかなり重苦しさを伴い、繰り返して聞く頻度は少ない。全体的に質量が重いがサウンド的にはここまでが第一期。次作からは本作を起点に洗練の一途を辿る。密度は濃い一枚。

Reproduction

Reproduction

79年発表1st。後にエレポップグループとして大ブレイクするNWバンドの初作。が、彼らの一般的なイメージであるところの華やかさや煌びやかさはこの盤にはまったくといっていいほど皆無。どちらかというと初期のウルトラヴォックスなどと同様、電子音系のクラウトロックに影響された音が聞こえる
無機質なシンセのビートとメロディがダークに鳴り響く一方で、ヴォーカルラインはR&Bなどの影響を感じるソウルフルな歌唱だったりする。そこの妙味が大ブレイクに繋がる要素であるが、本作ではまだ手探りな感触が拭えず、彼ら自身も自分たちの方向性をつかみかねている印象を受ける。
一方でクラウトロック、ひいてはプログレのような組曲形式の曲もあり、そこら辺のバランス感覚がかなり独特ではある。エレクトロミュージック(テクノ)とダンスミュージック(ファンク)の関係性を考える上で、この未分化なサウンドは歴史的にも重要だろうと思う。この盤で二つの要素が邂逅している。
全てシンセサイザーの演奏による、シーケンサーやループするビート、ミニマルで硬質なメロディがポップに響くのは、おそらく彼らが楽器を弾けず、演奏手段としてシンセサイザーを選択したことが大きく起因してるものと思われる。シンセの未知なる可能性を模索し、切り開いたのだと。
そこから掴み取ったアプローチがポップミュージックだったし、それが彼らのやりたい事だったように思う。この盤でもクラウトロック調の前衛的なものよりかはシーケンサーを最大限利用した、エレクトロファンク調のものの方がより魅力的に思えた。後の姿に比べるとかなり趣は違えど、可能性に満ちた一枚

Travelogue

Travelogue

80年発表2nd。前作のアート性と商業性が混在していた内容から、ポップミュージックのフォーマットへと一歩踏み出した作品。商業性をある程度意識したものとなっているが、それはあくまで前作との比較して、ということなのでまだまだキャッチーさには欠ける内容ではあるが音楽性は高い。
今作も全編に渡ってシンセサイザーのみの演奏で、この未来の楽器に対する彼らの試行錯誤が見え隠れはしているものの、ポップミュージックの方法論に則って、楽曲が構成されたことで、硬質で無機質かつダークに響く電子音からは前衛性が払拭され、バラエティに富んだメロディが聞こえてくる。
当然ながら、シンセの音にはまだ華やかさや色鮮やかさは感じられないが、英国独特のウェットな感触のメロディが工業製品のような機械音で奏でられることによって、先のインダストリアルにも通じるダークで耽美的なポップが展開されているのが興味深いし、その先駆者的な音が今聞くと面白くある。
後のエレポップ、あるいはテクノポップ、テクノの通る道をこのグループが一度通過していると思うと、歴史的でもあると思う。また前作もそうだが03年のリマスター盤にはボーナストラックが収録されており、本盤収録のものにはグループの分水嶺となった曲が収録されている。
それが16曲目の「I Don't Depend On You」だ。本作も前作も音楽性は高いが、売れ行きは芳しくなく、もっと商業的な音楽を出せ、とレコード会社から彼らが命令された結果、The Men名義で送り出された代物なのだが、これが災い転じて福となすを地で行く、起死回生となった
この曲はメンバーがシンセサイザーで作ったメロディを、あとでレコード会社がセッションミュージシャンを使い、生音のベースとドラムを重ねたものとなっており、当時のグループの信条に反した一曲なのだが、これが後に大ブレイクするグループの雛形となるから面白い。
生音のボトムラインが加わることで肉感的なグルーヴが生まれ、無機質だったサウンド有機的な躍動感が出て、熱気を帯びた。メロディはシンセの電子音で、ビートが人間的な演奏というブレンド加減の絶妙さがとてもキャッチーな発明だった事が彼らの方向性を決定付けたのだ。
瓢箪から出た駒のような偶発的なものだったのだろうがこの鉱脈を推進する事となり、よりグループは商業的なポップミュージックへと傾倒していく。一方でシンセの可能性を突き詰めようとしたメンバーは脱退し、HEAVEN17を結成する事となる。NWという潮流を考える点では前作と合わせ重要な一作

Joshua Tree

Joshua Tree

・87年発表5th。彼らの代表作の一つ。プロデュース陣にブライアン・イーノとダニエル・ラノワを迎えての第二作目。ここまでのキャリアの集大成ともなった作品でもあり、世界的なブレイクを達成した作品でもある。内容はアメリカン・ルーツ・ミュージックからの影響が色濃いが明朗さは皆無だ。
彼らの出身地であるアイルランドのシリアスかつ厳格な趣とアルバムのアートワークスに押し出されているモノトーンの色調がアルバムの荒涼さと寂寥な印象を与えており、そういったバンド特有の透明感と、本作のサウンドが合わさることで独特なサウンドスケープが表出している。宗教巡礼にも似た雰囲気。
彼らの持ち味の一つでもある、欧米社会に警鐘を鳴らすメッセージ性の高さも相俟って、ポストモダン的な張り詰めた緊張感が支配している為、なかなか気軽に聞ける作品ではないが、前述した趣がシンプルな魅力となってポップに響いた序盤3曲が彼らの代名詞になっているのも興味深い。格調高い名盤だろう

Dare: Deluxe Edition

Dare: Deluxe Edition

81年発表3rd。大ブレイク作。前作からメンバーが二人抜け、女性Voが二人加入。前作の硬質さは残っているものの、前作で聞かれたNWやニューロマンティックらしい耽美な雰囲気を帯びたエレクトロポップスがさらに洗練された内容となった。またリズム面が非常に多彩になったのが最大の変化か。
80年に発表されたLM-1 Drum Machine(初代リンドラム)を活用し、生音の感触を残しながら、より人工感の強いポップソングを作り出していることに成功している。これによって前作までのシンセのダークな色合いの強いメロディ主体だった楽曲がよりビートポップらしくなった。
元々、ソウルフルな歌唱がグループの構成要素としてあった事と女性Voが加入したことによるボーカルの厚みも出たことも、キャッチーさも強化された一因だろう。当時の発言として、中心人物のフィル・オーキーが「エレクトリックABBA」を目指したとも言っていて、その意図も理解できる内容だろう。
アルバム構成的には全米でも大ヒットした10の「愛の残り火」をラストナンバーに持ってくることを意識した物となっていて、この曲の別格さがよく出ている。シンセのホワイトノイズとアナログだがデジタルなビートの半生な感触が蛍光灯のような明るさを放つ。時代を象徴する名盤の一つだ。なお12年に発売したデラックスエディションにて鑑賞。ボーナストラックも充実しており、ファンには嬉しい作りとなっている。

ファシネーション+4

ファシネーション+4

83年発表EP。Dareのデラックス・エディションのボーナスディスクとして付属しているもので後に単独に発売もされている。ここで注意したいのはこのリイシューがリリース当時の収録内容ではないということ。一部曲がリミックスで収録、なおかつ曲順が大幅に入れ替わっているので注意が必要だ。
それを踏まえてなお、この盤は全盛期の彼らを捉えた作品でもある。本作より曲によってはベースとドラムに生音を導入するようになり、よりソウルフルな質感が高まった。と同時に冷ややかな雰囲気も薄れ、体温を感じる温かみとシンセのめまぐるしい進化による音色の多彩さが強まって、華やかになった
そういう点ではこの盤収録のリミックスも含めて、充実した作品なのだが1の「Hard Times」の低音がホール&オーツの「I Can't Go for That (No Can Do)」だったり、他アーティストの楽曲を想起させるメロディラインが見受けられたりする。
もっとあからさまなのは3の「You Remind Me Of Gold」でサビが完全にクラフトワークの「The Robots」まんま。大ヒット作後でツアーなどに忙殺されていただろうとはいえ、練り込みが粗製な部分も否めない。が、楽曲として質は高いのでこれはこれで許容範囲か。
ブレイク後の勢いそのままに絶頂期の彼らの姿が窺える一枚として、EPながらかなり満足感のある一作だし、リイシューによって増補された所もあいまってアルバム一枚分のボリュームを楽しめることが出来るのがありがたいところ。80年代初頭の華やかなNWサウンドが好きなら聞いて損はない一枚だ。

Burning Bridges ~ Special Edition

Burning Bridges ~ Special Edition

83年発表1st。英国出身のエレポップデュオの初作。プロデューサーにNew Musikで知られるトニー・マンスフィールドを迎えて、制作されているだけあってその色合いが濃い。フェアライトCMIをいち早く導入したグループとしても知られており、そのクリアな音は当時の一線を画している
70年代末〜80年代初めの硬質な音に比べると、本作のシンセの音は非常に柔らかい印象を持つ。トニー・マンスフィールドの淡い色彩感覚も影響が強く、水がパシャパシャと弾けるような瑞々しさがあるのが最大の特徴で、そういった雰囲気が英国ならではの湿り気を帯びたメロディと重なっている。
生音というか、ベースやギター、ドラムなどの人力演奏もフェアライトの旋律に絡んでいるのもあり、エレポップながら透明感やナチュラルな響きを演出しているのが面白く、サウンド的にはNew Musikの延長線上にある点でも非常に興味深い作品である。かといってオーバープロデュースになってない
60sポップスをエレポップに落とし込んだようなエヴァーグリーンな響きを作り出しているのは他ならぬグループの二人であり、トニー・マンスフィールドはプロデューサーとして自分の個性を彼らに寄り添わせているし、波長が合ったという事なのだろう。意外とNY的な洒脱感も匂わす、80sの良盤だ。

Sellotape

Sellotape

12年発表2nd。スコットランドネオアコバンド。シューゲイザーっぽさとドリーミーな感覚に拍車がかかって、周りが白い光に包まれて、足元が見えなくなってしまうほどの眩さにキラキラとしたメロディが強烈に響いてくる。ドラッギーではないが、非常に白昼夢な印象の強い疾走感があふれる。
ストロボライトが絶えず点滅して、視界を遮り、ホワイトアウトしていくサウンドの鮮烈さやドリーミーなメロディが突き抜けていて、そのイメージの奔流に押し流れてしまいそうになってしまう。そうやって焼きついた残像が煌びやかな光の中に溶け込んでいくさまが美しくもある。個性を一段と強めた一枚。

・01年発表3rd。現在はエリック・クラプトンのツアーサポートメンバーも務めるブルースシンガー&ギタリストの第三作。コテコテのブルースというよりは、かなりロッキッシュな肌触りのブルースであり、砂埃が煙りそうなドライヴ感溢れるプレイが魅力的。またジミヘンさながらのサウスポーでもある
ミディアム〜スローナンバーでも甘くならない、武骨かつ辛口な演奏もなかなか味わい深く、スワンプロックさながらの泥臭さと現代っぽさも兼ね備える、ギターフレーズの芳醇な響きが冴え渡る。モダンブルースとしても、ブルースロックとして聞いても十二分に楽しめる良作。骨太なギターを味わえます。

Speak and Spell

Speak and Spell

81年発表1st。後にYazooやイレイザーなどのユニットで活動することになるグループの中核、ヴィンス・ニールが主導して製作された初作にして唯一作。それゆえに以降の作品と本作とは趣が異なる。ここではグループの代表曲でもあるヒットソング11を含むエレポップが聞ける。
やはり80年代に入るとシンセサイザーで奏でられる音数が増えてその分だけ、多彩なサウンドになっているのが特徴で、本作もその恩恵を受けている作品といえるだろう。シンセサイザーだけで演奏が構成できる時代に突入した事が伺える近未来的なサウンドがやはり楽しいか。
とはいえ、ポップなサウンドではあるが同時期に存在していた他のエレポップユニットに比べても、彼らはやたらと筋肉質でマッシヴな印象を感じるか。他のグループが耽美的な趣を持つ一方で、硬質でしなやかなバネを持った音といえばいいだろうか。低音がずっしりと響く感じがそういうイメージを強める。
メロディもブラックミュージック起因のものというより、クラシックや賛美歌と言った厳格さや重厚さがまず先に立って、よりマナーというか形式に従ったものに沿って、奏でられている。神聖なもの、と言うと流石に言い過ぎだと思うが宗教的な響きが感じられた。もちろんソウル的なフレーバーもある。
本作はヴィンス・ニールの一人舞台であり、彼の個性が前面に出ているものばかりだが、ヒットした曲にはやはりポップソングマナーともいうべきR&B調が混ざっているのが興味深いか。既に完成された音がゆえに、彼は一作のみで脱退、残されたメンバーは活動を続ける事となる。迷いなく傑作の一枚だろう
A Broken Frame

A Broken Frame

82年発表2nd。今なお続く現体制での実質的な1stアルバム。前作のポップな趣とは打って変わって、陰影のコントラストが際立ち、絵画のような奥行きとニュアンスが前面に出た作品となった。商業的な華やかさより、芸術的な誠実さによって、一気に音楽性を高めてきた。
中心人物だったヴィンス・ニールの脱退を経て、マーティン・ゴアがサウンドの中核となった事がこの大きな変化をもたらしているが、前作では感じられなかったセンシティヴな繊細さと情感豊かな緊張感が影の濃さを伴い、厳格に響くのが一線を画す。他のエレポップ勢と比べても芸術性の高さを感じる。
ポップなテクスチャーから剥き出しになったアーティスティックな一面がグループの作風として認知されることによって、以後30数年に渡る息の長い活動を支える原動力になっているのは間違いないだろう。意外に、低音とリズムの響きに拘りのある作品。エレクトロの音楽性を一段階上に持ち上げた重要作だ

Lifetime: The Collection

Lifetime: The Collection

・92年発売編集盤。ロック界にも影響を与えているジャズドラマーであるトニー・ウィリアムスのアルバム、「Believe It」('75)と「Million Dollar Legs」('76)を収録した2in1。彼のパーマネントなバンド、Lifetimeの第二期編成が収録されている。
本作に収録されているアルバム二作の注目どころはなんと言っても、ギターのアラン・ホールズワースの参加だろう。渡り鳥ミュージシャンである彼が二作続けて全面参加というのはかなり珍しいといえる。しかもアメリカの音楽シーンに呼ばれての参加なのも、割と異色さが際立つ。
内容は同時多発的に世界で勃興しつつあった、ジャズロック/クロスオーバー(後にフュージョン)的なサウンドで、リーダーのトニーをはじめとした、密度の濃い演奏が繰り広げられている。時代的な音といえばそれまでだが、当時の熱気は確実に伝わってくる、鋭い切れ味には目を見張るか。
ホールズワースの活躍度から言えば、断然「Believe It」に軍配を上げる。楽曲を2曲ほど提供しているのもあって、このメンバーで作り出されるケミストリーが味わえるし、アメリカンミュージック起因のカラッとした味わいにあの独特で湿度の高い高速フレーズが混ざり合う、不思議さが妙味だ。
対して「Million Dollar Legs」の方は、「Believe It」に感じられるスペーシーな感覚が薄れ、よりファンキーな路線へとシフトしているために、ホールズワースの存在に場違いな印象を受けるのが惜しいか。実際プレイの方も、お仕事として割り切っている雰囲気を感じる。
とはいえ、ラストナンバー(本作の13)でそれまでの鬱憤を晴らすようなソロを繰り出していて、面目躍如な趣も。トニーのドラムについては、後進への影響が多大すぎて、当時は先進的だった演奏もあまり目新しさがないように感じられてしまうのは後追いの弊害だろう。一粒で二度味わうには格好の一枚。

Larks' Tongues in Aspic

Larks' Tongues in Aspic

・73年発表5th。一度目の再結成&新体制での初作。、といってもあまり間を置かずリリースしているので活動的には地続きな印象もある。心機一転、フリップ以外のメンバーが総入れ替えになった結果、ヨーロピアンで神秘主義的な雰囲気は薄れて、エスニックでパーカッシヴな音が全面に出た。
Yesから引き抜いてきた、ビル・ブルーフォードのドラムとパーカッションのジェイミー・ミューア変拍子が強調され、西洋の音楽形式から離れて、よりフリーフォームな音楽に移行した感もあるのが当時としては斬新だったし、今聞いてもその切れ味については衰えを知らない鋭さがある。
後にポリリズムを積極的に取り入れていくことになるが、特にリズムへの追求(と即興演奏)に音楽性の活路を見出したことと前作までの叙情性がうまくブレンドされたことでバンドの可能性が大きく広がったのは言うまでもない。全編にシリアスな緊張感がメタリックに響き、宗教的でもある。
エスニックな響きも奏でるデヴィット・クロスのヴァイオリン、さらにはバンドの叙情性を一手に引き受ける、ジョン・ウェットンのメランコリックな歌、どれ一つとして欠けることが許されない、クリムゾンが一つの完成形を見た作品でもある。代表作にして名盤。が、それはほんの一瞬の煌きでもあった。

スターズ・タイム・バブルズ・ラヴ+1

スターズ・タイム・バブルズ・ラヴ+1

・70年発表4th。後進バンドに多大な影響を残した、伝説的なソフトロックバンド。日本においてはコーネリアスが自身のレーベル、トラットリアよりリイシューしたことで紹介された事でも知られている。ホーンやストリングスなどを多用した、高度なアンサンブルと複雑なコーラスワークが目を引く。
バカラックなどのオールドタイムなアメリカンポップスを下敷きに、時にさわやかに、時にドリーミーに繰り広げられているが、バンド名と同様、自由自在に複雑怪奇なメロディと演奏が織り交ぜられるのには舌を巻く。一歩間違えば、白昼夢的なサイケ/プログレサウンドなのだが、ポップスの縛りが功を奏す
ブライアン・ウィルソンが提唱した、ポケット・シンフォニーというでも言うべき音を事も無げに成立させているメンバーの手腕、そのポップネスには感嘆せざるを得ない。アルバム全体もぴんと張り詰めた緊張感の下、さっと溶ける砂糖菓子のように儚げさを感じさせる。最高傑作という呼び声も高い一枚だ。