In Jazz(はてなダイアリー版跡地&元『My Favorite Things』)

ジャンル不問で好きなものを最小単位で語るブログ

音楽鑑賞履歴(2015年6月)

月一恒例の音楽鑑賞履歴です。
音楽メーターの感想を記事にしてまとめてます。
うーん、11枚とかなり少ない月度になってしまったなあ。
そんなに余裕がなかったのかどうかはよく分からないですが。
なんだかんだで聞けなかった日が多かったように思います。
7月はなるべく聞くようにしたいなあと。
では、以下は感想です。

6月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:11枚
聴いた時間:262分

Knee Deep in the HooplaKnee Deep in the Hoopla
・85年発表1st(ジェファーソン・エアプレインからの通算では17th)。80'sを代表するソングライター陣を迎えてのポップチャート路線が色濃く現れた一枚。売れ線に大きくシフトした為、バンドに新風を入れる事には成功したが逆にバンドとしてのアイデンティティを売り渡した格好になった。
内容は当時のサウンドの流行がよく分かる内容になっていて、経年に耐えうる大ヒット1,2もある位なので悪くはないし、個性の有無を抜きにすればポップグループとしての水準は高い。ただこういう手段は所詮カンフル剤にしか過ぎず、バンドの寿命が縮まったのは言うまでもない。気軽に聴ける佳作かと。
聴いた日:06月05日 アーティスト:Starship
ベストベスト
・98年発表の日本独自廉価版ベスト。代表曲は大体網羅してるかと。映画の主題歌で大ヒットの9が目に付くが、それ以前のブラコンチックなダンサブルでメロウな楽曲がわりと楽しげ。セッションギタリストとして活躍してたから実力はある人だけど、自身の楽曲は結構ライトで淡いものが多い。
黒人的な深いグルーヴを求めるとちょっと辛いが、ディスコティックなダンスチューンとしては一定の需要がありそうな佳曲が出揃っていて、気ままに流していると楽しい。実は9は盗作疑惑があったりで、いろいろと難儀な曲でもあるけど、それを抜きにしても聞くべき箇所が充実してると思う。
聴いた日:06月10日 アーティスト:レイ・パーカー・Jr.
New York SceneNew York Scene
57年録音盤。クインテットドナルド・バード以外は全員白人。ウォーリントンの優雅なピアノタッチを中心にバードとフィル・ウッズのホーン勢がエネルギッシュにブロウするのが楽しげな感じ。ピアノは都市的で洒脱したタッチ。全体にリラックスした中で充実感のある演奏が繰り広げられている。
黒人にはない、ややあっさりした響きのハードバップでその辺りに洒脱した、白人のヒップな感覚が見え隠れしてる気がする。ライトなタッチの演奏だけど切れ味は確かな一枚。ジャズの旨味とコクは十二分に楽しめるプレイだと思います。わりと入門編にもいいかもしれない盤。ジャズの魅力が詰まってます。
聴いた日:06月10日 アーティスト:George Wallington Quintet
黒船黒船
・74年発表2nd。クリス・トーマスをプロデューサーに迎えたコンセプトアルバム。ジャポニズムかつスタイリッシュなフュージョンサウンドが特徴で、ハイカラという言葉がピッタリな一枚だと思う。イメージ的には長崎経由で渡来した舶来ものな一品。音だけ聞くと完全に70年代後半の音なのが驚異的
前作のグラムロック的な猥雑はキレイさっぱり洗練されて、恐ろしいくらいの艶と粋を手にしてる辺り、加藤和彦のセンスがいかに先鋭的だったかを物語っている。当時の世界レベルでも一線を画すほどの洒脱感に酔いしれる名盤。ファンキーな演奏もいいが9などの日本的情緒の現れる楽曲が良い味出してる。
聴いた日:06月11日 アーティスト:サディスティック・ミカ・バンド
うる星やつら TVテーマソング ベストうる星やつら TVテーマソング ベスト
・99年発売のTVOP&ED集。アニソンの代名詞の一つとしてあまりにも有名な1を始めとして、粒ぞろいの楽曲が揃っている。小林泉美が関わった曲がどれも印象的。サンバ・ラテン、カリビアンなどトロピカナルなメロディが贅沢に使われていて、それだけで華がある感じ。番組後期の曲も佳曲ぞろい
前半のディスコティック〜NW&フュージョンライクな曲に目を見張るが、後期の洗練されたファッショナブルな曲もアニソンとしては高水準。いかにも80年代中期のサウンドではあるが、一周回って悪くない。あまり楽曲自体が風化してないことからも考えれば、お化け番組だったなあと改めて感じる一枚。
聴いた日:06月12日 アーティスト:松谷祐子,Cindy,ステファニー,南翔子,ヘレン笹野,ヴァージン VS,小林泉美,成清加奈子,リッツ
無限の住人無限の住人
・96年発表6th。同名漫画の作者、沙村広明企画・依頼によって制作された一枚。コンセプトアルバムに思われがちだがそこまで反映されているわけではない。ただ人間椅子が奏でる、おどろおどろしい雰囲気はまさに漫画の雰囲気そのものであり、その質感だけでも合致してるためか聴き応えは十分。
人間椅子の特徴である、明治大正期の日本文学の残酷趣味的な歌詞とサバスに影響を受けたドゥーム系のHR/HMサウンドはその暗黒グルーヴを練り上げる演奏とともにじわりと聞く者の高揚感を上げてくる。漫画のイメージに囚われずとも彼らの個性が存分に発揮されている一枚。聞けば聞くほど味わい深い
聴いた日:06月12日 アーティスト:イメージ・アルバム,人間椅子
ナマで踊ろう(初回盤)ナマで踊ろう(初回盤)
14年発表2nd。荒廃としたリゾートで奏でられる終末の詩。妙にあっけらかんとしたモノクロームなトロピカル感と覚醒感のあるアーバンなサイケサウンドは近くて遠い心地良さと、それが裏返る絶望感が同居した甘い毒物。常にそれらが隣り合わせのような際どいバランス感覚をサラッと聞かせてくれる。
自分にはひどく幻想的な作品に聞こえるかな。現代を想起させるような寓話感はあるけど、その距離感は極めて一定で。警鐘を鳴らしているのかもしれないけど、あえて直截な言葉を使って、現実感を失くしてるっていう領域でサイケしてるような感じがする。その点で演奏と歌詞で二重にサイケ。
だからインスト版は演奏のサイケ感を楽しむためにあるんだろうなとか感じた。実際、聞くと違った味わいなのがよく分かります。歌詞が乗ると酩酊感が増すのでよりドラッギーな印象を感じる。もちろん歌詞がなくても酔いはするんだけども。聞けば聞くほど危うい一枚。個人的には5のハイハット捌きが好き
聴いた日:06月20日 アーティスト:坂本慎太郎
Vox PopuliVox Populi
・69年発表のおそらく唯一作。ブラジリアンソフトロックの名盤として長らく激レアだったらしい一枚。内容はスキャットを多用した目くるめくカラフルで軽やかなボサ・ノヴァがメイン。バカラック調のメロディやラテン・サンバの細やかなパーカッションがその彩りをさらに強調していると思う。
口に入れるとスッと解けてしまう砂糖菓子みたいな軽い味わいで、ブラジルらしい影のない陽気なメロディはハッピーなノリで楽しい。一番の聴き所はやはりスキャットと重層的なコーラスだろう。ソフトロックの定番とはいえ、この盤でも多重的で甘いコーラスラインが存分に聴ける。良盤です。
聴いた日:06月21日 アーティスト:Vox Populi
Dixie ChickenDixie Chicken
・73年発表3rd。バンドの代表作。セカンドラインやブルース、カントリーなどが混ざり合った独特のレイドバック感は極上という以外にない。ローウェル・ジョージを始めとしたメンバーのサウンドの組み上げ方が類を見ない、得体の知れないグルーヴ感は白人における最高峰のものではないだろうか。
ファンキーなのだが黒さはあまり感じられない。かといってブルージーではないのかといわれるとそうでもなくて。カントリーっぽいメロディや東洋(和)風な長調子が挟まれたりして、飄々と乾いた演奏が非常に不思議な感覚で耳に届いて、よく揺れる。アメリカの大地を感じるがどことなく無国籍な趣がある
耳に入ってくる、曲が奏でられる空間がとても隙間があるのだ。ものすごくシンプルな演奏で、テンポもゆったりで音数もそこまで多くないからか、聞こえてくる音が心地よく脳に響いてきて、ずっと聴き続けていたくなる、そんな一枚。時折ふっと聴きたくなり、その音を味わい深く噛み締める名盤です。
聴いた日:06月27日 アーティスト:Little Feat
シェイズシェイズ
76年録音盤。中期アメリカン・カルテットの一枚。曲名はおそらく後付けでアドリヴセッションによる演奏が纏められたものかと思われる。各メンバーのプレイの躍動感とテンションが漲っており、聴き応えがある。フリージャズのような即興性に満ちてはいるが前衛性は皆無なのが面白い所。
Bのチャーリ・ヘイデン以外がパーカッションも兼任してるのも起因してるのか、演奏自体もかなりパーカッシヴ。キースの弾くメロディアスさも相俟って、尖がった演奏にも拘わらず、存外ポップにも聞こえて、ジャズファン以外にも汎用性の高い作品だと思う。ただ分かり易さはあまりないので注意が必要。
聴いた日:06月28日 アーティスト:キース・ジャレット
FrontiersFrontiers
・83年発表8th。前作の流れからAOR系ハードロックのサウンドがさらにソリッドになり、哀愁感が際立つ一枚。失恋や別離といった内容の歌詞が多いためか非常にセンチメンタルな楽曲が多く、ポップな明るさはあまりない。一方で演奏のハードさはキャリアの中でも随一だと思う
感傷的な楽曲と相まってそのハードな演奏はヒリヒリとした痛みを伴ったもののように聞こえるし、S.ペリーの歌唱も以前のクリアなハイトーンというよりは少ししゃがれた響き(ツアーによる疲弊なのだろうが)を持ったものに変化しており、全体的にメランコリックな陰りがある。崩壊の兆しだったのかも
聴いた日:06月29日 アーティスト:JOURNEY

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